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オリエンテーリング (5) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第5回
<オリエンテーリング (5)>

20分ほどの昼食と休憩をしてB班は出発した。
次なる目標は中間チェックポイント、はげ山から見える2つ向うの尾根の上の大きな岩である。
「クスス山から下るいくつもの尾根と、その間の谷をまっすぐ貫く方向にチェックポイントがある。わざわざきついルートたどらされるように仕組まれてるぜ」ジョンも仕掛けが見えてきてうんざりしてきた。
一つ目の尾根を越えるポイントは、ちょっと尾根が切れこんで低くなっているところを選んで目指したが、こんもり深い森と、降りてみると小さな起伏のある複雑な地形の谷底になっていて、底近辺を通過するとき、方向が怪しくなってしまった。
磁石を持っているものの、さっぱりわからなくなったアンザックがアロンに声をかけた。
「どっち方向だっけ?」
「いやあ、だいたいこっちだろうけど、俺もよくわかんねえや」
「ま、迷ったんですかぁ?」クリスティンがすごい不安そうな顔をする。
「あれ?美女さん、ウォルトどうした?」とアンザックがシャルロットに聞く。
「だいぶペースが落ちてたよ。イザベルとなかよく倒れてんじゃない?」とシャルロット。
来た方を見渡すと、しんがりを務めるジョンの頭が見えた。

ウォルトとイザベルが木の杖をつきながらやってきて、追いつくとどっと座り込んだ。
「アロン、俺、水が尽きた」ウォルトが空の水筒を振る。
「3リットルは持ってたろ?」
「飲み干した」
「水の補給も考えなきゃか」
「下りきったら底の方に沢くらいあるんじゃなない?」カーラが水のありそうな方を指した。
「そうだな。でもあそこまで下ったら戻るの大変だぜ。ウォルト、進む方向がよくわかんなくなったんだけど、どっちの方だと思う?」
「え?この方角だろ」と自身満々に手を上下して行く先を示した。
「ウォルト君、方向感覚すごいねえ」とカーラが感心する。
「へえ、空間を把握する能力に長けてるんだな」アロンも感心した。
「じゃあ褒美に水くれ」
「しょうがねえなあ」
「私もまだあるから、あげるわ」とウォルトの水筒は、カーラとアロンによってで1リットル近く補充された。

次回「オリエンテーリング (6)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (4)」
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コメント 1

TSO

下書きしてたとき、オリエンテーリングの話は、中盤と終盤部分のあらすじしかありませんでした。それをちゃんと書かなきゃと、キャラの性格を紹介しつつ頭から一通り書こうと思ったら、なんだかこんな長編になってしまっています。
ここまでごしょごしょ書かなくてもいいような気もしますが、書き出すと筆が勝手に動くもので・・・
ま、後々に使えるネタもこういう中から生まれることもありますし。
by TSO (2010-01-07 22:26) 

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