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オリエンテーリング (7) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第7回
<オリエンテーリング (7)>

大きな岩が突き出たところでB班は止まった。5分もせずA班がそこに到着した。
「勇夫、早いなお前ら。ちょっと休憩して行けよ」
「よお、アロン。どうだ?そっち。リーダー、ちょっとキューケイ!」
A班にいる天月勇夫とレソフィック・ルザルトはアロンの幼友達で、気心知れた長い付き合いである。
「なんだよ、チェックポイントで休んだばっかりじゃないか」
A班のリーダーはチャン・リーウェイ。リーダーを買って出るほど先頭に立ちたい男である。
レソフィックも休憩に援護である。「情報交換は大事だろ。休む価値あるって。まあちょっと待てや」
「じゃあ、5分な」
A班、B班入り混じっての休憩になった。
勇夫がルート状況を聞いてきた。
「この先どんな道だ?」
アロンが答える。
「道なんてねぇよ。洗濯板のようにある尾根と谷をいくつも越えるんだ。森ばかりだから、高いところに登ったときにしか行き先は見えないし。でもウォルトがすごく方向感覚よくてさ、ほとんど狙ったルートで来れたんだ」
「へえ、その割には時間かかってるじゃんか」
「イザベルとウォルトが結構疲労ひどくてさ。ペースゆっくりだから。ところでそっちの道は?」
これにはレソフィックが答えた。
「中間チェックポイントへ登るところ以外はほとんど渓谷沿いだった。明確な道はやっぱりなくって進みづらいんだけど、基本川に沿っていく感じだから、ルート的にはそんな難しくないよ。ただ1回違う川に行っちゃって、1時間タイムロスしたんだ」
勇夫が付け加える。「それでリーダーがすげえ怒っちゃってさ。チャンは、まあ責任感もあるし負けず嫌いなのはいいんだけど、少々自分の意見を押し付け気味でいかん」
アロンは驚いた。「1時間タイムロスしてここ?。ってことは順調なら1時間前にここ通過してたかもしれないんだ。いいペースだな」
「俺らの班、体育会系だからな。テニス、サッカー、バスケ、俺とレソフィックは知っての通りだ」
そうなのだ、勇夫、レソフィック、アロンは少々武道をやっている。
テニスとはミシェル・グレイスのことだ。長身に優男な顔立ちで、女の子に人気のありそうな奴である。
サッカーはパウロ・サンチェス。175cmの南米系の血筋は、ぶつかってもびくともしなさそうな足腰をしている。
バスケといえばキャリー・バルモア。女子ながらクラス一の187cmという長身。バスケ部優待生として入学している。
「あの小さいメガネと美少女も体育会系か?」
メガネとは小泉裕美子。背丈は150cm台半ば。相当視力が悪いらしく、おとなしくってまるで目立たないところにメガネをかけているので、よけい表情がよくわからない。
美少女とはシャノン・レイベン。こちらは小泉よりさらに小さい150cm台前半。さらりとした金髪の長髪で、可憐という言葉がぴったりあう女の子だ。
「2人とも小柄だから身が軽いみたいで、別に足手まといにはなってないよ」
A班にはさらにハウル・レリコールという女子がいる。ハウルは背丈160cm。こちららも顔やしぐさはかわいい系なのだが、考えや行動がやたらと過激で、そのエネルギッシュぶりから、ここで運動部系に遅れを取るとは到底考えられなかった。
「いいな、お前のところの班。森の木もなぎ倒して進めそうだ」


次回「オリエンテーリング (8)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (6)」
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コメント 1

TSO

いよいよ主人公を取り巻くC組のメンバーが揃いました。
彼らの1年間を綴ろうというのがこの物語なのです。
しかし分校という設定にして一クラスの人数を少なくもっていったとはいえ、18人のキャラを書かなければならないんですから、たまには忘れさられる人も出るかもしれません。(^^;

by TSO (2010-01-11 16:26) 

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