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<夏のエピソード後編(3):美女の才能2> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第99回
<夏のエピソード後編(3):美女の才能2>


夕食は自前で準備しなければならない宿だった。
でっかい牛肉の塊を買ってきてあり、アロンとレソフィックが塩とスパイスを塗り込んで、勇夫が炭火を熾してそれを焼き、タマネギやパプリカ、酢を利かせたタレを用意した。この辺はバーベキュー慣れしている3人だ。
女子側は裕美子、ダーニャ、イザベルが中心になってサラダやつけ合せを、つまみ類を美女が調理した。
なんと美女が実は料理がうまかったりして驚かれる。


美女がガーリックを利かせたアサリバターや、ベーコン入りのチーズオムレツなどのおつまみを作ると
「ほら、アロン。ビールと合うよ」とテーブルに出す。
「美女、売り込んでるなあ」
レソフィックがアロンに差し出されたはずの料理に真っ先に手をつけながら言った。
アロンも逃げるのに精いっぱいである。
「料理も得意とはね、驚いたよ。でもジャンルはつまみ?夜の商売っぽくて美女に合ってるなあ」
「夜の商売?失礼な!」
なぜかハウルも悔しがる。
「美女が料理できるなんて、ちっきしょー。いいもん!うちには裕美子がいるから。裕美子、なんか言ってやってよ」
「美女さん、すごい上手。ほら、おむれつの火加減、いい具合ですよ」
「えー?ほめちゃうの?」
「だって難しいんですよ、こうふわって作るの」

酒も振る回わられて宴会も進み、ほろ酔いの中、一部は花火に講じていた。
バルコニーからそれを眺める一行。その中にいた美女がまた何気に歌を口すさぶ。
部屋の中も外もそれに聞き入ってしまった。

歌が終わったところで美女が、
「おーい、花火、もっとやってよー」
と庭に声をかける。
花火をやっていた勇夫が上を向いた。
「今の美女?へー、手が止まっちゃったよ」
部屋にいたハウルも
「美女って美人なだけじゃなくて、いろんな才能あるんだ。見直したわ」
「あんたの食いしんぼうと派手な行動も才能と思うけど」
ウォルトも感心していた。
「たいしたもんだぜ。あやうくプリン食う手が止まるところだったぜ」
シャノンが聞く。「止まらなかったの?」
「がんばって食い続けたぜ。俺は美女に勝ったんだ。すげーだろ」
「うん、すごいと思う。あんた人間じゃないよ」
「ぬわぁにぃー」

14章_3_011挿絵s.jpg
14章_3_012挿絵s.jpg
絵はクリックするとちょっとおおきくなります


カーラはアロンの近くにいたが、落ち込んでいた。
「みんなすごいわ。私、なんにもできない・・」

それにしてもC組は仲がよすぎるというか、話題のアロンの周りを除くと、これだけいい環境のところに集まっておきながら、夏の思い出を作るようなカップルが誕生する気配もないのが難点だった。


次回「夏のエピソード後編(4):大近眼は陸も海も同じ」へ続く!

前回のお話「夏のエピソード後編(2):美女の才能」
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コメント 2

ケンケン@

ウォルトのプリンはBigなんですね(笑)
by ケンケン@ (2010-06-30 20:31) 

TSO

ケンケン@さん、xml_xslさん、c_yuhkiさん、niceありがとうございます。

ケンケン@さん、コメントいつもありがとございます。
ウォルトくんはBigでなくても霞を食ってるだけで体重を維持できるという設定です。(^^;
シーズン3くらいまで続けばエピソードがあるんですが・・・

by TSO (2010-07-01 22:20) 

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