<夏のエピソード後編(4):大近眼は陸も海も同じ> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第100回
<夏のエピソード後編(4):大近眼は陸も海も同じ>
2日目のこと。
アロンは困っていた。まだおさななじみをどうするか解決できない。
『素直に誤った方がいいか。パンツ脱がされるくらいで許されるならまだマシかも・・』
岩場のある浅瀬のあたりを歩いていたら、、岩の上にちょこんと座った裕美子がいた。
「あれ?小泉。どうしたの?みんなあっちで泳いでるぜ。ハウルが水中騎馬戦やるとか」
「アロン君。いえ、ちょっと一人でボーっとしたくって。」
「ふーん。ハウルのテンションについてけないって?」
「ち、違うんです。ちょっと本当に海眺めてたいって思っただけで・・それより、おさななじみの人、迎えに行かなくていいんですか?そろそろ・・」
「ああ、うん・・まだ、かな?」
「そう・・」
アロンもしばらくそこで大海原を眺めていた。
「アロン君、海好きですか?」
裕美子が口を開いた。
「大好きだよ」
「そうですか・・わたしは、あまり好きじゃないんです」
「小泉、泳げないの?」
「いいえ?得意じゃないけど、一応泳げます。」
「じゃあどうして?なんかおぼれたことがあってトラウマがあるとか?」
「いいえ。わたし目が悪いから、水の中もぼやっとしか見えないし、つまらないっていうか・・もっと見えたら面白いんでしょうけど。メガネつけて泳げたらいいのに」
「でも、裸眼じゃ普通は見えないからねえ」
「?・・どういうことですか?」
「・・・・あの、水中メガネとかゴーグルつけて泳いだことある?」
「いいえ」きょとんとしている。
「人間の目は水の中で目あけてもぼんやりとしか見えないよ。カエルみたいにレンズがでてくればいいけど。だから水中でもよく見えるように水中メガネってのがあるんだよ。知らなかった?」
「目のいいアロン君でも、ぼんやりとしか見えないんですか?」
「そうだよ。本当に知らなかったの?」
「知りませんでした・・・空気中でもメガネないとぼんやりなので・・」
あははははは
笑われて裕美子は珍しく赤くなった。
「わ、笑わなくたって・・」
「ごめんごめん。小泉も意外とぼけたところがあるじゃん。あはっ、ははは」
「もう、怒りますよ」
「ごめんごめん。ほら水中メガネあるから、見てきてご覧よ。ここ岩場だから、岩のすき間にカニとか小魚とかいるんじゃない?でも手突っ込むとウツボとかいたら危ないからね」
「借りていいんですか?」
「いいよ。16年思ってた常識を覆してきなよ」
「わたし12月生まれだから、まだ15才です。じゃ、借りますね。あの、メガネ持っててくれます?」
「いいよ」
裕美子はメガネを取ってアロンに渡した。
あれ・・?誰だ?アロンは裕美子の顔を見て思った。
一方裕美子はメガネを外してしまったことで、アロンの目線がどこ見ているか正確なところがわからない。
「・・わたしの顔見てます?なんか、へん?」
「い、いや。メガネ取った小泉ってそんなだったっけ?・・なかなか・・な・・顔してるじゃん」
「え?いやだ、からかわないでください。じゃ、ちょっと行ってきます」
次回「夏のエピソード後編(5):5分だけおさななじみ」へ続く!
前回のお話「夏のエピソード後編(3):美女の才能2」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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<夏のエピソード後編(4):大近眼は陸も海も同じ>
2日目のこと。
アロンは困っていた。まだおさななじみをどうするか解決できない。
『素直に誤った方がいいか。パンツ脱がされるくらいで許されるならまだマシかも・・』
岩場のある浅瀬のあたりを歩いていたら、、岩の上にちょこんと座った裕美子がいた。
「あれ?小泉。どうしたの?みんなあっちで泳いでるぜ。ハウルが水中騎馬戦やるとか」
「アロン君。いえ、ちょっと一人でボーっとしたくって。」
「ふーん。ハウルのテンションについてけないって?」
「ち、違うんです。ちょっと本当に海眺めてたいって思っただけで・・それより、おさななじみの人、迎えに行かなくていいんですか?そろそろ・・」
「ああ、うん・・まだ、かな?」
「そう・・」
アロンもしばらくそこで大海原を眺めていた。
「アロン君、海好きですか?」
裕美子が口を開いた。
「大好きだよ」
「そうですか・・わたしは、あまり好きじゃないんです」
「小泉、泳げないの?」
「いいえ?得意じゃないけど、一応泳げます。」
「じゃあどうして?なんかおぼれたことがあってトラウマがあるとか?」
「いいえ。わたし目が悪いから、水の中もぼやっとしか見えないし、つまらないっていうか・・もっと見えたら面白いんでしょうけど。メガネつけて泳げたらいいのに」
「でも、裸眼じゃ普通は見えないからねえ」
「?・・どういうことですか?」
「・・・・あの、水中メガネとかゴーグルつけて泳いだことある?」
「いいえ」きょとんとしている。
「人間の目は水の中で目あけてもぼんやりとしか見えないよ。カエルみたいにレンズがでてくればいいけど。だから水中でもよく見えるように水中メガネってのがあるんだよ。知らなかった?」
「目のいいアロン君でも、ぼんやりとしか見えないんですか?」
「そうだよ。本当に知らなかったの?」
「知りませんでした・・・空気中でもメガネないとぼんやりなので・・」
あははははは
笑われて裕美子は珍しく赤くなった。
「わ、笑わなくたって・・」
「ごめんごめん。小泉も意外とぼけたところがあるじゃん。あはっ、ははは」
「もう、怒りますよ」
「ごめんごめん。ほら水中メガネあるから、見てきてご覧よ。ここ岩場だから、岩のすき間にカニとか小魚とかいるんじゃない?でも手突っ込むとウツボとかいたら危ないからね」
「借りていいんですか?」
「いいよ。16年思ってた常識を覆してきなよ」
「わたし12月生まれだから、まだ15才です。じゃ、借りますね。あの、メガネ持っててくれます?」
「いいよ」
裕美子はメガネを取ってアロンに渡した。
あれ・・?誰だ?アロンは裕美子の顔を見て思った。
一方裕美子はメガネを外してしまったことで、アロンの目線がどこ見ているか正確なところがわからない。
「・・わたしの顔見てます?なんか、へん?」
「い、いや。メガネ取った小泉ってそんなだったっけ?・・なかなか・・な・・顔してるじゃん」
「え?いやだ、からかわないでください。じゃ、ちょっと行ってきます」
次回「夏のエピソード後編(5):5分だけおさななじみ」へ続く!
前回のお話「夏のエピソード後編(3):美女の才能2」
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☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆
予定より1週間もアップが遅れてしましました。
なんと、片いなか・ハイスクール連載第100回アニバーサリー!
こんなに続けて物事に取り組むなんて、ちょっと自分では脅威です。(@o@)
挿絵描こうとしてアップが遅れたわけですが、ようやく気に入った顔が描けました、「第9章 ソフィックの広報記事」にあった、メガネ取るとかわいいと噂の裕美子です。彼女は次回もうひとつ芸?を披露することになってます。
by TSO (2010-07-09 21:47)
連載100回おめでとうございます!!
・・・裕美子ちゃん、えらく可愛いですね!!(驚)
(えらく=凄くって通じますか?)
次回も楽しみにしています!!
ではでは~
by copper (2010-07-09 22:01)
こんばんは!
連載100回なんですね!
おめでとうございます。
by やま (2010-07-09 22:23)
連載100回、おめでとうございます(^-^)
100回なんてすごいですね!
裕美子ちゃん、可愛くていいですね~
アロンの気持ちが分かります(笑)
by ケンケン@ (2010-07-10 11:30)
copperさん、やまさん、xml_xslさん、aspirebeatさん、c_yuhkiさん、ヒロさん、dorobouhigeさん、ケンケン@さん、いっつもniceありがとうございます!
copperさん、やまさん、ケンケン@さん、コメントありがとうです。
ページ規定のない無責任ブログ小説ですから、手元には駄文はたくさんあるので細切れにすれば100や200は軽くいくネタありますが、絵も加えて地道にアップとお礼を書き続けたのはけっこう驚きなんです。見てくれてる人がいるっていうのがやっぱり力になってるんですね~。
copperさん、ケンケン@さん、裕美子かわいいですか?ありがとうございます。キラキラをちりばめた効果でしょうか?(^^;
「えらく」って埼玉でも十分通用しますよ(^^)。薩摩なら「おにごつ」とかいうのでしょうか?(おに=鬼。すごくって意味に使われるとか・・)
少女漫画見てキラキラ部品作った甲斐がありました。なにしろかわいくなきゃこの先話が盛り上がりませんから。(^^)
小説でスタートしてますから、美女にしろカーラにしろ裕美子にしろ、どんなかわいさかは皆さんで思い描いて補完してもらっていいのですが、元来マンガで描きたかったって思いもあるので・・・でもやっぱり絵は下手ですねぇ。
さてカーラのゆるい想いが続いてるところに、いきなり美女が割り込んで大混乱と思いきや、意外や近くに伏兵の登場で、この先どうなっていくんでしょう?なんにしてもうらやましいアロン君です。
by TSO (2010-07-10 17:45)