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<クリスマスと誕生日とNew Year(5):明日?> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第178回
<クリスマスと誕生日とNew Year(5):明日?>


ソファーに座りながらアロンはメールを打っていた。
そしてラジオの時報が0時を告げると、送信ボタンを押した。

『本当の誕生日おめでとう』

「誕生会もイヴのパーティーと一緒にやっちゃったけど、本当は今日だからな。裕美子のことだからもう寝てるだろうけど」

しかし意外やすぐに返事が返ってきた。

『ありがとう。今、これる?』

「・・・どういう意味だ?裕美子の家に今来いってことか?日付変わったし、次ぎ会うときはアレするんじゃ・・」

とりあえず返事を打つ。

『まだ起きてたの?行ってもいいよ』

その返事もすぐにやってきた。一言。

『来て』

アロンはそのメールの返事を見て顔が赤くなった。

「朝までも・・待てないってことかな?だとしたら・・それにしても大胆な・・・」

アロンは厚着をしてバイクで裕美子の家に向かった。




外の気温は一段と冷えていた。透明な空気は星を瞬きもさせず、それがまた空気の冷たさを一層引き立てていた。しかしウインタージャケットにオーバーパンツも履いて、完全な冬装備のアロンは、この程度の気温はなんでもなかった。
なお風をもろに浴びるバイクでの体感温度は、通常の気温より10度は低くなる。

裕美子のマンションに着くと、来客用の駐車場にバイクを止めて裕美子にメールした。

『今マンションの下にいるよ』

メールの返事はなかったが、代わりに玄関に裕美子が現れた。パジャマ姿でカーデガンを羽織っている。どんな顔で出てくるんだろうと思ったが、至って普通だ。いや、メガネの奥はうれしそうである。

「ごめんなさい。わたし、馬鹿なことしちゃって・・」
「呼んでくれてうれしいよ」
「バイクで来たの?寒かったでしょう。上がって?」

玄関あたりでちょっと会うだけかと思っていたので、家に上がれと言われたのにはびっくりした。だって家族がいるだろう。

「え?でもそれは・・」
「あんまり賑やかだったから、疲れてみんな寝ちゃってる。大丈夫よ」

裕美子は恥ずかしげにアロンの手を取ると、手を引いてエレベーターへ引っ張っていった。
裕美子の手は、とても温かく、やさしく、やわらかだった。


次回「クリスマスと誕生日とNew Year(6):プレゼント」へ続く!

前回のお話「クリスマスと誕生日とNew Year(4):明日来てね」
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コメント 2

TSO

xml_xslさん、くぼたんさん、HAtA.さん、bitさん、いつもniceありがとうございます。
by TSO (2011-02-11 22:18) 

TSO

あいか5drrさん、kuzeさん、りたーむさん、タッチおじさんさん、いつもniceありがとうございます。
by TSO (2011-02-13 22:47) 

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