<入寮(2):寮の様子> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第196回
<入寮(2):寮の様子>
1月12日、火曜日。
学校が終わるとアロンはバイクで裕美子の家へ行き、荷物をバイクにくくりつけると寮へ運んだ。
寮の方ではハウルが待っていて、荷物を受け取ると部屋へ運び込んだ。
アロンは4回ほど往復すると、荷物は全部運び終えた。
最後の輸送で裕美子も後ろに乗って一緒に寮へ行った。
荷物持って寮に入ろうとすると、寮の管理人がアロンを止めた。
「こらあ!女子寮に男が入れるわけないだろう。お前そこまで!」
「えー?これ部屋に運び入れるのもだめ?」
「当たり前だ!それにしてもなんだい、今度の寮生は。お手伝い付き、ヒモ付きかい。優雅だね」
「ひも!」
ハウルが降りてきた。
「ご苦労さん。部屋の中はあたしが手伝うから、アロンはいいよ」
「ハウルさん、ごめんなさい。いろいろすみません」
「いいのよ~」
ハウルはそう言って2人をちょっと脇に引き込むと
「なんかあの管理人もそうだけど、なーんか雰囲気よくない感じがするのよねー」
「え?」
「ちょっと心配ね。気を付けてね」
「まじ?大丈夫かなあ」
「とにかく入ってみないことには・・荷物はゆっくり後で整理しますから、これ運び入れたら一服しに行きましょう」
荷物を部屋に入れ、休憩しに外へ出ようとしたらまた寮管がやってきて
「門限は19時だからね。遅れるんじゃないよ」
と意地悪げに言った。
ハウルが
「19時?早すぎない?」
と言うと寮管が、
「今日は初日だからいいけど、食事当番のときは17時に戻ってもらわないとだからね」
とルールをダメ押しする。
「17時じゃ、部活とか委員会活動とかあると間に合わないです」
明らかに無理な日がある裕美子はちょっと困った。
アロンも疑問を口にする。
「そもそも食事当番て何?自分で作るの?寮で食事出してくれないの?」
寮管は当たり前のように答えた。
「寮で出すんだよ。持ち回りで生徒達も手伝ってね。部活とかは他の寮生と日をうまく調整しとくれ」
ともかく寮を出て、3番ストリートにある片田舎唯一の小ぎれいなコーヒーショップへ行った。
「今日はわたしのおごり。ハウルさん、パフェ食べます?」
「えー?いいの?やったぁ」
「アロン君もいいですよ。ホットドック頼んであげましょうか」
「う!、ピンポイントで目を付けてたところを・・」
「注文してきますね。大丈夫ですよ、わたしのお金じゃないですから遠慮なく」
裕美子は注文しに奥へ行った。
「心の中読まれてるなあ。ちょっと小腹がすいたなって思ってたんだ」
「私も甘いのに目が行ってたところだったのよね。気が利くっていうんじゃなくて、読まれてるよね」
毎度ながら裕美子に舌を巻く2人であった。
待っている間、寮に上がれなかったアロンはハウルに聞いた。
「ところで寮の中ってどんななの?」
「こじんまりした一人部屋だけどさあ。ま、部屋は普通なのよ。ただ高校生が住んでる寮にしちゃ、なんていうか活気がないていうか・・・」
「裕美子もおとなしいから、騒がしくないのはいいんじゃない?」
「うーん、それとは違うのよ。裕美子はおとなしい部類だけど、メリハリがちゃんとあるでしょ。あの寮はずっと、どよ~んとした空気なんだよね・・・。そう、空気って言えば、ヤニっぽい臭いもした」
「ヤニ?たばこ?」
裕美子が戻ってきた。ハウルはそのまま話を続ける。
「誰かたばこ吸ってるのかなあ。寮管ならいいけど・・」
「部屋でなんとなく臭うあれですか?管理人さんとはいえ学生寮の部屋に来て吸うのは、今時分好まれない行為ですし・・寮生の誰かって気がします」
「大丈夫かなあ。心配だなあ」
「とにかくまずは住んでみないと。これもアロン君やハウルさん達と学園生活続けるために選んだ道ですから」
次回「入寮(3):食事当番」へ続く!
前回のお話「入寮(1):荷造り」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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「片いなか・ハイスクール」連載第196回
<入寮(2):寮の様子>
1月12日、火曜日。
学校が終わるとアロンはバイクで裕美子の家へ行き、荷物をバイクにくくりつけると寮へ運んだ。
寮の方ではハウルが待っていて、荷物を受け取ると部屋へ運び込んだ。
アロンは4回ほど往復すると、荷物は全部運び終えた。
最後の輸送で裕美子も後ろに乗って一緒に寮へ行った。
荷物持って寮に入ろうとすると、寮の管理人がアロンを止めた。
「こらあ!女子寮に男が入れるわけないだろう。お前そこまで!」
「えー?これ部屋に運び入れるのもだめ?」
「当たり前だ!それにしてもなんだい、今度の寮生は。お手伝い付き、ヒモ付きかい。優雅だね」
「ひも!」
ハウルが降りてきた。
「ご苦労さん。部屋の中はあたしが手伝うから、アロンはいいよ」
「ハウルさん、ごめんなさい。いろいろすみません」
「いいのよ~」
ハウルはそう言って2人をちょっと脇に引き込むと
「なんかあの管理人もそうだけど、なーんか雰囲気よくない感じがするのよねー」
「え?」
「ちょっと心配ね。気を付けてね」
「まじ?大丈夫かなあ」
「とにかく入ってみないことには・・荷物はゆっくり後で整理しますから、これ運び入れたら一服しに行きましょう」
荷物を部屋に入れ、休憩しに外へ出ようとしたらまた寮管がやってきて
「門限は19時だからね。遅れるんじゃないよ」
と意地悪げに言った。
ハウルが
「19時?早すぎない?」
と言うと寮管が、
「今日は初日だからいいけど、食事当番のときは17時に戻ってもらわないとだからね」
とルールをダメ押しする。
「17時じゃ、部活とか委員会活動とかあると間に合わないです」
明らかに無理な日がある裕美子はちょっと困った。
アロンも疑問を口にする。
「そもそも食事当番て何?自分で作るの?寮で食事出してくれないの?」
寮管は当たり前のように答えた。
「寮で出すんだよ。持ち回りで生徒達も手伝ってね。部活とかは他の寮生と日をうまく調整しとくれ」
ともかく寮を出て、3番ストリートにある片田舎唯一の小ぎれいなコーヒーショップへ行った。
「今日はわたしのおごり。ハウルさん、パフェ食べます?」
「えー?いいの?やったぁ」
「アロン君もいいですよ。ホットドック頼んであげましょうか」
「う!、ピンポイントで目を付けてたところを・・」
「注文してきますね。大丈夫ですよ、わたしのお金じゃないですから遠慮なく」
裕美子は注文しに奥へ行った。
「心の中読まれてるなあ。ちょっと小腹がすいたなって思ってたんだ」
「私も甘いのに目が行ってたところだったのよね。気が利くっていうんじゃなくて、読まれてるよね」
毎度ながら裕美子に舌を巻く2人であった。
待っている間、寮に上がれなかったアロンはハウルに聞いた。
「ところで寮の中ってどんななの?」
「こじんまりした一人部屋だけどさあ。ま、部屋は普通なのよ。ただ高校生が住んでる寮にしちゃ、なんていうか活気がないていうか・・・」
「裕美子もおとなしいから、騒がしくないのはいいんじゃない?」
「うーん、それとは違うのよ。裕美子はおとなしい部類だけど、メリハリがちゃんとあるでしょ。あの寮はずっと、どよ~んとした空気なんだよね・・・。そう、空気って言えば、ヤニっぽい臭いもした」
「ヤニ?たばこ?」
裕美子が戻ってきた。ハウルはそのまま話を続ける。
「誰かたばこ吸ってるのかなあ。寮管ならいいけど・・」
「部屋でなんとなく臭うあれですか?管理人さんとはいえ学生寮の部屋に来て吸うのは、今時分好まれない行為ですし・・寮生の誰かって気がします」
「大丈夫かなあ。心配だなあ」
「とにかくまずは住んでみないと。これもアロン君やハウルさん達と学園生活続けるために選んだ道ですから」
次回「入寮(3):食事当番」へ続く!
前回のお話「入寮(1):荷造り」
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xml_xslさん、bitさん、くぼたんさん、ケンケン@さん、りたーむさん、akechiさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-04-30 22:48)