<第2部:第4章 クラス委員決め(5):イザベルのお礼アタック2回目> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
夏らしいTOP絵に変えたい変えたいと思いつつ、ぜんぜん絵が仕上がらなかったのですが、なんとか夏に間に合いました。ってもう8月もあと少しで終わり。1週間で引っ込むかもしれません。(^^;
そしたら来年また使おう。(--;
フルサイズの絵はもう1つの記事でご覧ください。
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「片いなか・ハイスクール」連載第268回
<第2部:第4章 クラス委員決め(5):イザベルのお礼アタック2回目>
週が開けてまた月曜日がやってきた。
その後もイザベルはアロンのところに来たり話をしたりしている気配がなかった。
『あれからイザベルさん来ないんですけど・・席にいてもこっちに振り向くこともないし・・。どうしちゃったのかしら。なんだかすごく心臓に悪いんですけど・・』
知らないところで会っているのだろうか。もしかしてもうアロン君が断ったとか?
月曜日は生徒会がある。裕美子が行く準備をしている傍らではアロン達が帰り支度をしていた。
するとそこにダーニャがやってきた。
「はいこれ。イザベルの愛第二段よ。今度は本人に直接感想言ってあげてね」
また例の紙袋、イザベルが作ったクッキーの入った紙袋がアロンの机に置かれた。
「あ、そうそう勇夫、レソフィック!こんどはつまみ食い一切禁止だからね!」
向こうでまたその紙袋の中身に狙いを定めていた2人にダーニャはいち早く釘をさした。
「えー?こっぴどく疲れてるときは効きそうな甘さだったのに」
勇夫が残念そうに言った。
『こないだアロン君も甘過ぎって言ってたっけ。よっぽど甘かったのね。・・ってことは今回のは味を調整してきたってことかしら。イザベルさんやりますね・・』
何の音沙汰もないと思っていたが、水面下ではしっかり次の準備がされていたのだ。じわじわと詰め寄るようなイザベルのアタックに裕美子の胸がズキズキと痛む。精神にボディブローのように効いてくる。
つらい。進展具合が見えないから想像するしかなくて、精神的に疲れる。でもまだアロン君と付き合うには至ってないことは判った。あなたはどう想っているの?
するとアロンは別の組からやってきた男子に呼び止められていた。
「すまんが君、ダーニャさんの彼氏?」
「はあ?なんでよ」
「違うの?何か彼女にもらってたし・・・」
「ダーニャは他の人に頼まれて、俺にコレ持ってきただけだよ」
『そういえばダーニャさんはなぜこんなにイザベルさんの為に骨を折ってあげてるんだろう。オリエンテーリングで仲良しになったからかな・・』
別の組の男子が立ち去った後、レソフィックが鞄を担いでアロンの横に来て耳打ちしていた。
「知ってっか?ダーニャって他のクラスで人気あるらしいぞ」
「ほお」
「あいつ美女とよくいるだろ。美女はハードル高すぎるってんで、ダーニャ狙いの男が結構いるって話だ」
にやにやしながら男の子達は家路についていった。
『教室中が恋の語らいでいっぱい・・春だからかしら。・・考えてみればわたもそうですけど・・・・片思いですけど・・・』
「小泉さん、生徒会行きましょう」
チャンが裕美子のところににこにこしてやってきた。
『こんなわたしでも、男性と話する機会は結構あるんですね』
無事学校生活が送れるか心配していたというのに、女子だけでなく男の人からもこうして普通に接してもらっている。こんなになれるなんて予想もしてなかった。
恋も・・できるならしたいけど、まずは学校のことちゃんとやらなきゃ。
自分としてはやや引き締まった趣で、傍からは残念ながら無機質な感じで、チャンの後ろに付いて生徒会室に向かった。
生徒会では全体会議の後、備品入出庫係で打ち合わせが行われた。
なんだかんだ言って結局2年生はキッカ先輩が引き続きこの係りをやっていた。
「5月分の補充は例年の数で発注してあるから。明日納入されます。すみませんけど明日は小泉さんしかいなくって、受け取るのお願いしていいかしら?受け取ったらそのまま倉庫に入れておくだけでいいから。その後の仕分け作業とかは後日みんなでやりましょう」
「作業説明に受け取り後やることも書いてあるから、わかる範囲でやってみます」
「ありがとう。でも無理しないで。分からなかったらいいから。本当はちゃんと横について教えなくちゃなんだけど・・」
「は、はい。できるところまでやってみます」
「搬入するだけでも一人じゃ何回か往復するわよ。チャン君呼んどこうか?」
裕美子は一瞬考えた。ちょっと思うものがあった。
「あ、・・・あの、当てがあるので、大丈夫です。必要なら自分で頼みます」
「そう」
「じゃ、倉庫の鍵はここね。持ち出すときはこの台帳に記入してからね」
「はい」
裕美子は鍵の場所を確認すると、その鍵をぎゅっと握った。
『まだ・・決まってないもの・・・』
次回「第2部:第4章 クラス委員決め(6):やんちゃ坊主達」へ続く!
前回のお話「第2部:第4章 クラス委員決め(4):年間行事」
対応する第1部のお話「第1部:第6章 イザベルのお礼アタック」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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まだ決まってない。だから裕美子は着々と進めることにします。続きはまた次回へ。
TOP絵にも使いました2012年夏バージョンイラストについては記事を分けましたので、そちらでご覧ください。
→「真夏のTOP」へ
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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そしたら来年また使おう。(--;
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「片いなか・ハイスクール」連載第268回
<第2部:第4章 クラス委員決め(5):イザベルのお礼アタック2回目>
週が開けてまた月曜日がやってきた。
その後もイザベルはアロンのところに来たり話をしたりしている気配がなかった。
『あれからイザベルさん来ないんですけど・・席にいてもこっちに振り向くこともないし・・。どうしちゃったのかしら。なんだかすごく心臓に悪いんですけど・・』
知らないところで会っているのだろうか。もしかしてもうアロン君が断ったとか?
月曜日は生徒会がある。裕美子が行く準備をしている傍らではアロン達が帰り支度をしていた。
するとそこにダーニャがやってきた。
「はいこれ。イザベルの愛第二段よ。今度は本人に直接感想言ってあげてね」
また例の紙袋、イザベルが作ったクッキーの入った紙袋がアロンの机に置かれた。
「あ、そうそう勇夫、レソフィック!こんどはつまみ食い一切禁止だからね!」
向こうでまたその紙袋の中身に狙いを定めていた2人にダーニャはいち早く釘をさした。
「えー?こっぴどく疲れてるときは効きそうな甘さだったのに」
勇夫が残念そうに言った。
『こないだアロン君も甘過ぎって言ってたっけ。よっぽど甘かったのね。・・ってことは今回のは味を調整してきたってことかしら。イザベルさんやりますね・・』
何の音沙汰もないと思っていたが、水面下ではしっかり次の準備がされていたのだ。じわじわと詰め寄るようなイザベルのアタックに裕美子の胸がズキズキと痛む。精神にボディブローのように効いてくる。
つらい。進展具合が見えないから想像するしかなくて、精神的に疲れる。でもまだアロン君と付き合うには至ってないことは判った。あなたはどう想っているの?
するとアロンは別の組からやってきた男子に呼び止められていた。
「すまんが君、ダーニャさんの彼氏?」
「はあ?なんでよ」
「違うの?何か彼女にもらってたし・・・」
「ダーニャは他の人に頼まれて、俺にコレ持ってきただけだよ」
『そういえばダーニャさんはなぜこんなにイザベルさんの為に骨を折ってあげてるんだろう。オリエンテーリングで仲良しになったからかな・・』
別の組の男子が立ち去った後、レソフィックが鞄を担いでアロンの横に来て耳打ちしていた。
「知ってっか?ダーニャって他のクラスで人気あるらしいぞ」
「ほお」
「あいつ美女とよくいるだろ。美女はハードル高すぎるってんで、ダーニャ狙いの男が結構いるって話だ」
にやにやしながら男の子達は家路についていった。
『教室中が恋の語らいでいっぱい・・春だからかしら。・・考えてみればわたもそうですけど・・・・片思いですけど・・・』
「小泉さん、生徒会行きましょう」
チャンが裕美子のところににこにこしてやってきた。
『こんなわたしでも、男性と話する機会は結構あるんですね』
無事学校生活が送れるか心配していたというのに、女子だけでなく男の人からもこうして普通に接してもらっている。こんなになれるなんて予想もしてなかった。
恋も・・できるならしたいけど、まずは学校のことちゃんとやらなきゃ。
自分としてはやや引き締まった趣で、傍からは残念ながら無機質な感じで、チャンの後ろに付いて生徒会室に向かった。
生徒会では全体会議の後、備品入出庫係で打ち合わせが行われた。
なんだかんだ言って結局2年生はキッカ先輩が引き続きこの係りをやっていた。
「5月分の補充は例年の数で発注してあるから。明日納入されます。すみませんけど明日は小泉さんしかいなくって、受け取るのお願いしていいかしら?受け取ったらそのまま倉庫に入れておくだけでいいから。その後の仕分け作業とかは後日みんなでやりましょう」
「作業説明に受け取り後やることも書いてあるから、わかる範囲でやってみます」
「ありがとう。でも無理しないで。分からなかったらいいから。本当はちゃんと横について教えなくちゃなんだけど・・」
「は、はい。できるところまでやってみます」
「搬入するだけでも一人じゃ何回か往復するわよ。チャン君呼んどこうか?」
裕美子は一瞬考えた。ちょっと思うものがあった。
「あ、・・・あの、当てがあるので、大丈夫です。必要なら自分で頼みます」
「そう」
「じゃ、倉庫の鍵はここね。持ち出すときはこの台帳に記入してからね」
「はい」
裕美子は鍵の場所を確認すると、その鍵をぎゅっと握った。
『まだ・・決まってないもの・・・』
次回「第2部:第4章 クラス委員決め(6):やんちゃ坊主達」へ続く!
前回のお話「第2部:第4章 クラス委員決め(4):年間行事」
対応する第1部のお話「第1部:第6章 イザベルのお礼アタック」
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まだ決まってない。だから裕美子は着々と進めることにします。続きはまた次回へ。
TOP絵にも使いました2012年夏バージョンイラストについては記事を分けましたので、そちらでご覧ください。
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☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆
可愛いです~
by macinu (2012-08-29 11:23)
U3さん、ぼんぼちぼちぼちさん、yamさん、ゆきママさん、toramanさん、あいか5drrさん、青竹さん、「直chan」さん、(。・_・。)2kさん、macinuさん、bitさん、やまさん、niceありがとうございます。
macinuさん、コメントありがとうございます。
この娘たちはこんなもんじゃないはずなんです。もっともっと可愛くなるように精進します。
by TSO (2012-09-05 22:52)