<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(6):会場の決定> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
----------
「片いなか・ハイスクール」連載第286回
<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(6):会場の決定>
締め切りが迫っているとのことで、レソフィックは海賊事件の記事を書こうと戻ってきた小テストの紙の裏に下書きしていたが、なんだか頭をガリガリ掻いていた。
「あれー、ここどうだったっけな・・」
休み時間なのでハウルとクリスティンがやってきて、
「書けた?記事」
と野次馬な顔を2つ揃えた。
「いや。記憶が曖昧なところがあってな。いっか、話作っちゃえば」
「だめよぉ~、ちゃんと正しく私の活躍書いてくれなきゃ~」
上半身を右に傾けてニコニコしてるが、これは詳しく取り上げろという催促だろうか。
「クリスティンの活躍って何だっけ?・・・ハウルは車で暴走してるのしか思い出せねえし」
「何ですって?!」
ハウルはその活躍はお気に召さないようだ。
「・・・心配だわ。やっぱり変なこと書かないよう手伝った方がいい気がしてきたわ。どうせこの週末で作らなきゃいけないんでしょ?」
「週末っていうか、土曜の昼過ぎっから出かけるから、金曜の放課後か、その夜しかやる時間ねえんだけどな」
締め切りをそっちのけに、しっかり遊ぶ予定を入れているトンデモ記者であった。
「やる事やってからじゃなきゃ、遊んじゃだめよお~」
クリスティンが似合わずまともなことを言うが、顔は叱っているには程遠いニコニコ顔である。
「金曜の夜ぅ~?みんなで手伝だってあげようかっていうのに、いきなりハードル上げるわねえ」
「あ?みんなって誰だ?ほんとに手伝ってくれんのか?それはありがたいけど、学校の放課後くらいじゃ全然足りないと思うがなあ」
ハウルは腕組んでほんのわずかな時間思考すると、レソフィックの机に両手を着いて顔を突き出した。
「いいよ、アンタん家で。アンタん家でやろう」
「え?お前、俺んちまで来る気?」
「だって放課後だけじゃ終わんないんでしょ?」
「それどころかいつまでかかるかわかんないってのに。そんなすぐできるとは思えねえし」
「アンタん家なら遅くまで騒いでても大丈夫でしょう?一人暮らしだから」
「騒ぐのはダメだって。時間は構わねえけど・・・」
「じゃあ、できるまでエンドレスよ」
「ええ?!ちょっ、ちょっと待て。できるまでって、夜中までかかってもいる気か?」
『仮にも一人暮らしの男の家だぞ!』
ハウルとはいえ、一応女の子である。さすがのレソフィックもびっくりだが、この人も見かけは相当な上玉なのだ。ちょっと期待するものが上がってくる。しかしその辺はちゃんと見越しているハウル、一言添えた。
「ちゃんと記事書くのが目的よ。勘違いしないでよね。変な事するようだったら暴れちゃうから」
『ハウルの暴れるってのはアレか?』
海賊事件で文字通り暴れ回ったハウルを思い出して、自分の部屋が壊滅していく様がいとも簡単に想像できた。主導権は男にはないと悟り、レソフィックは少し肩を落とした。
「そ、そういやさっき、みんなで手伝うって・・・あと誰が手伝いに来るんだ?」
ハウルは横にいたクリスティンを指した。
「まずクリスティン」
「はい。お手伝いしますよぉ~」
「えーと、あとは調整するから女子の方。そっちも男子の人選しなさい。なるべく全容を知っている人の方がいいわ」
「最後までいた人達がいいかもね~」
クリスティンはそれとなく注文を加えることを忘れなかった。
「全容を知ってる最後までいた人か・・」
レソフィックは候補者を指で数え始めた。
「それじゃ、またあとで」
ハウルも女の子側の話をつけに向かった。
そもそもレソフィックの家に押しかけようという話を持ちかけたのには、カーラを後押ししようという魂胆があったからなのだ。クリスティンが何気なく人選に注文したことで、レソフィックはアロンを仲間に加えるはずである。あとはアロンを気に入ってるというカーラをそこに連れて行けばいい。
ハウルとクリスティンは真っ直ぐカーラの席にやってきた。カーラの席の前ではちょうど裕美子が掲示物を貼っているところだった。
「レソフィックの広報の海賊事件記事、書くの手伝うってことにしてきたわよ。今度の金曜日だから」
前振りしてあったので、それを聞いたカーラはぽっと顔を赤くした。
クリスティンは机の横に座ると、ニコニコした顔をカーラに寄せて付け加えた。
「それとなく催促してきたから、アロン君とかも来ると思うよ」
「そ、そう」
「一晩で片付けるんだって。だから金曜は夜遅くなるわよ」
「え?金曜じゅうに全部書き上げるの?」
「あいつ一人暮らしだからエンドレスオッケーよ。泊まるつもりで行くからね」
「と、泊まり?男の人の家に?!」
カーラが真っ赤になった。
「心配ならリーダー呼んどく?」
それを聞いた途端、カーラは平静に戻った。
「そ、それなら、安心ねぇ・・・」
でもちょっと残念そうであった。にしてもリーダー、完璧なストッパーとして女の子にも認識されているとは、ドジ担任よりよっぽど保護者である。
裕美子は掲示物を貼りながらその会話を聞いていた。
『アロン君もいるの?夜遅くなるかもっていうのに・・そんなところに女の子達で行くの?』
胸がきゅうっとして、締め付けられるような感じがした。
学校の事とはいえ、男の人の家で一晩一緒に過ごすかもというような約束は、晩熟(おくて)の裕美子にはとてもできないことである。そんなことを躊躇うことなく決めてしまうハウルにいつもながら凄いなと思ったが、問題はそこにアロンがいるということだ。
クラスの女の子達がアロン君と一晩・・・そんなの、苦しすぎる。
『わたしも・・そこにいたい』
そう思ったとき、ハウルがぱっと顔を上げ、
「とは言っても女の子3人だけじゃねー。いざって時のために手勢増やしときたいわね」
と言って女の子を補充しようと辺りを見回しに入った。すぐ、そばにいた裕美子と真っ先に目が合った。
「裕美子、行く?お泊りになってもいいなら」
「あ・・行きます」
裕美子は反射的に答えてしまった。答えた直後、何を言ったか気付いて心臓がバクバクしだした。
『ど、どうしょう!男の人の家に、それもレソフィックさんの家だっていうのに、行くって言っちゃった!お泊まりになるかもって言ってるのに!』
あの苦手なレソフィックの家である。
で、でも、アロン君がいなかったら絶対行くなんて答えていない。むしろこれは何も考えずに答えちゃったことに感謝すべきだわ。
激しく脈打つ胸に手を当てて、裕美子は神様に感謝した。
「裕美子ちゃんも最後までいたメンバーだもん。ちょうどいいわよね」
恋敵とは知らず、カーラは喜んで裕美子を迎え入れた。
「ユミちゃんがいれば私の活躍も余すところなく思い出してもらえそうだわ~」
クリスティンも歓迎のようだ。
「でもユミちゃん即答でOKなんて、ちょっと意外かしら」
「そうね」
カーラがまた頬を少しピンクにして嬉しそうに言った。それを見て、
「カーラ。おうちの人にはハウルの家に泊まりに行くっていうのよ。男の人の家って言っちゃだめよ~?」
クリスティン抜かりなく注意した。
「え?!あははは、い、い、言わないわよ」
どもってるどもってる。もしかしてと危ないところだった?
「広報の・・お仕事ですよね?」
カーラが遊びに行くかのようにやけにうれしそうな感じなので、裕美子は一応聞いてみた。
「も、もちろんそうよ」
カーラはまだ血色のいい状態から覚めやらぬ顔で答えた。
「とは言っても、男の子のおうちだもんねぇ。ちょっとばかし浮き立っちゃってるのよね」
「ななな、なに言ってるの。そ、そ、そういうクリスティンは心配じゃないの?男の人の家」
「平気よぉ、ハウルがいるし」
「あ、なるほど」
「ちょっと、何納得してるのよ」
「あ、あの、学校関係の行事のことで集まるんですよ・・ね?」
「言った通り広報の記事書きに行くのよ。ちょっとそっちの人達、何を浮かれてんの」
「私はいつも通りよぉ?」
「クリスティンは逆にいつも無防備すぎだわ」
「む、無防備って、鎧でも着ていけばいいの?」
クリスティンが鎧を身に付けて剣でも構えている様はいかにも頼りないが、萌えキャラとしてはマニアに受けそうな絵柄じゃないだろうか。きっと鎧の下には何も着けてないにちがいない。
クリックすると大きくなります
「あ、あたし別に浮かれてなんかいないわよ!夜遅くなるっていうから・・心配してるだけじゃない。ねえ裕美子ちゃん」
裕美子の目から見ても浮き足立っちゃってるカーラに同意を求められても・・という感じだが、確かに夜遅くまで男の人の家にいるっていうのは普通なら心配もある。でも・・
「ハウルさんがいるなら、多少遅くなっても安全だと思います」
「だ、だからなんでそうなるの!!」
金曜の終礼が終わったところでレソフィックがハウルのところに来た。
「ほんとに手伝ってもらえるんか?」
「そのつもりよ。変なこと書かれたらたまんないもん。まあ楽しくやりましょうよ」
「やれやれ・・・」
ハウルが来るっていうのがいったいどう転ぶのかぜんぜん想像つかないが、連れてくるメンバーに期待することにしよう。
レソフィックも覚悟を決めた。
「じゃあ、ハウルはお仲間を連れてきてくれる?」
「男子は誰が来るの?」
「いつものアロンと勇夫。それにリーダーを呼んでるよ」
「そっちは4人か。わかった。帰ったらなるべく早く行くようにするね」
「よろしく」
次回「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(7):待ち合わせ」へ続く!
前回のお話「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(5):広報記事の決定」
対応する第1部のお話「第1部:第9章 レソフィックの広報記事」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2013 TSO All Rights Reserved
最後に第1部で出てきたセリフが登場しました。ようやくこのお話も第1部のラインに追いついたということですね。
ところでまったく持って更新が遅れていたのは、挿絵を入れたいと思っていたからです。クリスティンの鎧姿、見てみたいなぁと。
でもぜんぜん進まなくて、4月1日の記事を挟んでも目処が立たないので、ひとまず今ある色なしの状態で一旦アップすることにしました。へたくそな線画を悟られないよう小さな絵にして。そのうち色や背景を入れようと思います。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
ぽちっと応援してください。
----------
「片いなか・ハイスクール」連載第286回
<第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(6):会場の決定>
締め切りが迫っているとのことで、レソフィックは海賊事件の記事を書こうと戻ってきた小テストの紙の裏に下書きしていたが、なんだか頭をガリガリ掻いていた。
「あれー、ここどうだったっけな・・」
休み時間なのでハウルとクリスティンがやってきて、
「書けた?記事」
と野次馬な顔を2つ揃えた。
「いや。記憶が曖昧なところがあってな。いっか、話作っちゃえば」
「だめよぉ~、ちゃんと正しく私の活躍書いてくれなきゃ~」
上半身を右に傾けてニコニコしてるが、これは詳しく取り上げろという催促だろうか。
「クリスティンの活躍って何だっけ?・・・ハウルは車で暴走してるのしか思い出せねえし」
「何ですって?!」
ハウルはその活躍はお気に召さないようだ。
「・・・心配だわ。やっぱり変なこと書かないよう手伝った方がいい気がしてきたわ。どうせこの週末で作らなきゃいけないんでしょ?」
「週末っていうか、土曜の昼過ぎっから出かけるから、金曜の放課後か、その夜しかやる時間ねえんだけどな」
締め切りをそっちのけに、しっかり遊ぶ予定を入れているトンデモ記者であった。
「やる事やってからじゃなきゃ、遊んじゃだめよお~」
クリスティンが似合わずまともなことを言うが、顔は叱っているには程遠いニコニコ顔である。
「金曜の夜ぅ~?みんなで手伝だってあげようかっていうのに、いきなりハードル上げるわねえ」
「あ?みんなって誰だ?ほんとに手伝ってくれんのか?それはありがたいけど、学校の放課後くらいじゃ全然足りないと思うがなあ」
ハウルは腕組んでほんのわずかな時間思考すると、レソフィックの机に両手を着いて顔を突き出した。
「いいよ、アンタん家で。アンタん家でやろう」
「え?お前、俺んちまで来る気?」
「だって放課後だけじゃ終わんないんでしょ?」
「それどころかいつまでかかるかわかんないってのに。そんなすぐできるとは思えねえし」
「アンタん家なら遅くまで騒いでても大丈夫でしょう?一人暮らしだから」
「騒ぐのはダメだって。時間は構わねえけど・・・」
「じゃあ、できるまでエンドレスよ」
「ええ?!ちょっ、ちょっと待て。できるまでって、夜中までかかってもいる気か?」
『仮にも一人暮らしの男の家だぞ!』
ハウルとはいえ、一応女の子である。さすがのレソフィックもびっくりだが、この人も見かけは相当な上玉なのだ。ちょっと期待するものが上がってくる。しかしその辺はちゃんと見越しているハウル、一言添えた。
「ちゃんと記事書くのが目的よ。勘違いしないでよね。変な事するようだったら暴れちゃうから」
『ハウルの暴れるってのはアレか?』
海賊事件で文字通り暴れ回ったハウルを思い出して、自分の部屋が壊滅していく様がいとも簡単に想像できた。主導権は男にはないと悟り、レソフィックは少し肩を落とした。
「そ、そういやさっき、みんなで手伝うって・・・あと誰が手伝いに来るんだ?」
ハウルは横にいたクリスティンを指した。
「まずクリスティン」
「はい。お手伝いしますよぉ~」
「えーと、あとは調整するから女子の方。そっちも男子の人選しなさい。なるべく全容を知っている人の方がいいわ」
「最後までいた人達がいいかもね~」
クリスティンはそれとなく注文を加えることを忘れなかった。
「全容を知ってる最後までいた人か・・」
レソフィックは候補者を指で数え始めた。
「それじゃ、またあとで」
ハウルも女の子側の話をつけに向かった。
そもそもレソフィックの家に押しかけようという話を持ちかけたのには、カーラを後押ししようという魂胆があったからなのだ。クリスティンが何気なく人選に注文したことで、レソフィックはアロンを仲間に加えるはずである。あとはアロンを気に入ってるというカーラをそこに連れて行けばいい。
ハウルとクリスティンは真っ直ぐカーラの席にやってきた。カーラの席の前ではちょうど裕美子が掲示物を貼っているところだった。
「レソフィックの広報の海賊事件記事、書くの手伝うってことにしてきたわよ。今度の金曜日だから」
前振りしてあったので、それを聞いたカーラはぽっと顔を赤くした。
クリスティンは机の横に座ると、ニコニコした顔をカーラに寄せて付け加えた。
「それとなく催促してきたから、アロン君とかも来ると思うよ」
「そ、そう」
「一晩で片付けるんだって。だから金曜は夜遅くなるわよ」
「え?金曜じゅうに全部書き上げるの?」
「あいつ一人暮らしだからエンドレスオッケーよ。泊まるつもりで行くからね」
「と、泊まり?男の人の家に?!」
カーラが真っ赤になった。
「心配ならリーダー呼んどく?」
それを聞いた途端、カーラは平静に戻った。
「そ、それなら、安心ねぇ・・・」
でもちょっと残念そうであった。にしてもリーダー、完璧なストッパーとして女の子にも認識されているとは、ドジ担任よりよっぽど保護者である。
裕美子は掲示物を貼りながらその会話を聞いていた。
『アロン君もいるの?夜遅くなるかもっていうのに・・そんなところに女の子達で行くの?』
胸がきゅうっとして、締め付けられるような感じがした。
学校の事とはいえ、男の人の家で一晩一緒に過ごすかもというような約束は、晩熟(おくて)の裕美子にはとてもできないことである。そんなことを躊躇うことなく決めてしまうハウルにいつもながら凄いなと思ったが、問題はそこにアロンがいるということだ。
クラスの女の子達がアロン君と一晩・・・そんなの、苦しすぎる。
『わたしも・・そこにいたい』
そう思ったとき、ハウルがぱっと顔を上げ、
「とは言っても女の子3人だけじゃねー。いざって時のために手勢増やしときたいわね」
と言って女の子を補充しようと辺りを見回しに入った。すぐ、そばにいた裕美子と真っ先に目が合った。
「裕美子、行く?お泊りになってもいいなら」
「あ・・行きます」
裕美子は反射的に答えてしまった。答えた直後、何を言ったか気付いて心臓がバクバクしだした。
『ど、どうしょう!男の人の家に、それもレソフィックさんの家だっていうのに、行くって言っちゃった!お泊まりになるかもって言ってるのに!』
あの苦手なレソフィックの家である。
で、でも、アロン君がいなかったら絶対行くなんて答えていない。むしろこれは何も考えずに答えちゃったことに感謝すべきだわ。
激しく脈打つ胸に手を当てて、裕美子は神様に感謝した。
「裕美子ちゃんも最後までいたメンバーだもん。ちょうどいいわよね」
恋敵とは知らず、カーラは喜んで裕美子を迎え入れた。
「ユミちゃんがいれば私の活躍も余すところなく思い出してもらえそうだわ~」
クリスティンも歓迎のようだ。
「でもユミちゃん即答でOKなんて、ちょっと意外かしら」
「そうね」
カーラがまた頬を少しピンクにして嬉しそうに言った。それを見て、
「カーラ。おうちの人にはハウルの家に泊まりに行くっていうのよ。男の人の家って言っちゃだめよ~?」
クリスティン抜かりなく注意した。
「え?!あははは、い、い、言わないわよ」
どもってるどもってる。もしかしてと危ないところだった?
「広報の・・お仕事ですよね?」
カーラが遊びに行くかのようにやけにうれしそうな感じなので、裕美子は一応聞いてみた。
「も、もちろんそうよ」
カーラはまだ血色のいい状態から覚めやらぬ顔で答えた。
「とは言っても、男の子のおうちだもんねぇ。ちょっとばかし浮き立っちゃってるのよね」
「ななな、なに言ってるの。そ、そ、そういうクリスティンは心配じゃないの?男の人の家」
「平気よぉ、ハウルがいるし」
「あ、なるほど」
「ちょっと、何納得してるのよ」
「あ、あの、学校関係の行事のことで集まるんですよ・・ね?」
「言った通り広報の記事書きに行くのよ。ちょっとそっちの人達、何を浮かれてんの」
「私はいつも通りよぉ?」
「クリスティンは逆にいつも無防備すぎだわ」
「む、無防備って、鎧でも着ていけばいいの?」
クリスティンが鎧を身に付けて剣でも構えている様はいかにも頼りないが、萌えキャラとしてはマニアに受けそうな絵柄じゃないだろうか。きっと鎧の下には何も着けてないにちがいない。
クリックすると大きくなります
「あ、あたし別に浮かれてなんかいないわよ!夜遅くなるっていうから・・心配してるだけじゃない。ねえ裕美子ちゃん」
裕美子の目から見ても浮き足立っちゃってるカーラに同意を求められても・・という感じだが、確かに夜遅くまで男の人の家にいるっていうのは普通なら心配もある。でも・・
「ハウルさんがいるなら、多少遅くなっても安全だと思います」
「だ、だからなんでそうなるの!!」
金曜の終礼が終わったところでレソフィックがハウルのところに来た。
「ほんとに手伝ってもらえるんか?」
「そのつもりよ。変なこと書かれたらたまんないもん。まあ楽しくやりましょうよ」
「やれやれ・・・」
ハウルが来るっていうのがいったいどう転ぶのかぜんぜん想像つかないが、連れてくるメンバーに期待することにしよう。
レソフィックも覚悟を決めた。
「じゃあ、ハウルはお仲間を連れてきてくれる?」
「男子は誰が来るの?」
「いつものアロンと勇夫。それにリーダーを呼んでるよ」
「そっちは4人か。わかった。帰ったらなるべく早く行くようにするね」
「よろしく」
次回「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(7):待ち合わせ」へ続く!
前回のお話「第2部:第6章 レソフィック宅の宴会(5):広報記事の決定」
対応する第1部のお話「第1部:第9章 レソフィックの広報記事」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2013 TSO All Rights Reserved
最後に第1部で出てきたセリフが登場しました。ようやくこのお話も第1部のラインに追いついたということですね。
ところでまったく持って更新が遅れていたのは、挿絵を入れたいと思っていたからです。クリスティンの鎧姿、見てみたいなぁと。
でもぜんぜん進まなくて、4月1日の記事を挟んでも目処が立たないので、ひとまず今ある色なしの状態で一旦アップすることにしました。へたくそな線画を悟られないよう小さな絵にして。そのうち色や背景を入れようと思います。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
ぽちっと応援してください。
にほんブログ村 |
にほんブログ村 |
にほんブログ村 |
☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆
コメント 0