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<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(1):男子を捕捉できず> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第349回
<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(1):男子を捕捉できず>


川原でのバーベキューの後、アロンとレソフィックは短期バイトに精を出していた。

「勇夫は本当にバイト行かなくて大丈夫なんか?」
「来週キャンプツーリング行くんだろ?ガソリン代とかあるか?」
「んー。まだ財布の中に現ナマあるし、平気だと思うがねえ」

『こいつはアホだから無くなってみねえと実感できねえんだ』
『ほっぽって俺らはバイト行こうぜ』
アロンとレソフィックはヒソヒソと耳打ちして認識を合わせた。

「おめーらいない間にキャンプ地下見しとくよ」
「さらに使い込む気か。知らんぞもう」
「底を着いても俺は貸さねえからな」

二人の呆れて半開きになった目線もなんのその、意気揚々とキャンプ準備をする勇夫であった。




Enter Enter mission...

「だれだろ・・。あ、ハウルさんだ。・・・もしもし」
・・(ハロー、文科省のものですけど。このたびの教育費補助制度の改訂で学費が戻ってきます。振り込みますので口座番号とID、暗証番号を教えてください)・・
「突っ込みどころ満載ですが、どこの振り込めサギですか?。しゃれになりませんよ、ハウルさん」
・・(やーねー、バレバレ?)・・
「着信番号通知でハウルさんって出てるし・・」
・・(冗談はさて置いてー。裕美子、明後日お泊まり会やるから来ない?)・・
「・・・」

お泊まり会・・。

そう聞いて裕美子はまたためらってしまった。
7月の初旬にホタル鑑賞に行った時、その足でハウルの家に泊まろうと誘われたことがあったが、その時も断っていた。他人への不信感が拭えない。そんな中でもハウル達は信用していいと、頭ではそう分かっていた。だけど、一晩一緒に過ごす、一緒に寝たり話ししたりする。つまり自分を晒す時間が増える。そのことにどうしても体が抵抗してしまう。

・・(ねー、ガールズトークしようよー。一晩お布団の中でさあ)・・

ハウルさん達とはもう何度も遊んでるし、一緒に泊まりになったことも何回かある。だというのに何が怖いんだろう。どうしても乗り気にならない。

「・・ごめんなさい。その日はちょっと用事が・・」
・・(えー?じゃあ昼だけとか夜だけとかでもいいのよ)・・
「すみません。その日一日空いてないです・・」
・・(そう。残念ねえ。来週はカーラ家族で旅行行っちゃうんだって。だからその前にって思ったんだけど。しょうがないね、シャノンでも誘ってみようかな)・・
「すみません」
・・(うん、いいよー。また機会作ったら誘うから。ところでその後リーダーからは何かお誘いとかあった?)・・
「いいえ。でもリーダーとは来週生徒会の用事で会いますけど」
・・(夏休みなのに?生徒会?)・・
「本校とかとの交流会があるんです。レクリエーションみたいなものですけど・・」
・・(大変ねえ。リーダー達とも遊ぶ予定立てようと思ってたんだけど。グループ交際だからさあ・・。その日はずらさないとなのね)・・
「ハウルさんは遊ぶ予定で一杯ですね。夏休みの宿題大丈夫ですか?」
・・(あははは・・。ヤバいわ!)・・
「そっちの予定も入れないとですよ」
・・(分かった分かった。じゃあまた連絡するね)・・
「はい。誘ってくれて、ありがとうございます。・・・今回は、すみませんでした」
・・(気にしなくてよ~。バイバイ)・・

電話は切れた。

こんなに良くしてもらってるのに・・・。わたし、だめだな・・






晴れた日も~雨の日も~しあわせだったら~…

アロンがケータイを取った。

「ハウルだ。もしもし」
・・(あー、国税局の者ですが、バイクの税金に間違いがありまして、不足分を振り込んでいただきたいのですが。今から言う口座にお願いします)・・
「アホか。ハウルだろ。用事ないなら切るぞ」
・・(待ちなさい!私と知ってその対応?!用事あるから電話してんだけど)・・
「何だよ」
・・(あのさー、勇夫と連絡付かないんだけど)・・
「俺らもだ。昨日からバイクで出かけっぱなしで、たぶん圏外をうろついてるか電池切れだろ。週末には帰ってくると思うけど。」
・・(今週いっぱいいないの?あんたらは?)・・
「俺とレソフィックはバイト」
・・(暇しとけっていったじゃん!)・・
「そうは言っても遊ぶ金も稼いどかなきゃだしなあ」
・・(しょうがないなあ。週末勇夫が帰ってきたところ捕まえるか)・・
「何の用?もし連絡ついたら何か伝えとくか?」
・・(あんたら私らとグループ交際してること忘れてないでしょうね)・・
「え?あ・・そのことで?」
・・(そっちから誘ってもいいんだからね)・・
「は、はあ・・」
・・(女の子からこんな、一歩間違えれば破廉恥なこと言ってるのに、その冷めた反応はナニ!)・・
「じ、じゃあ泊りがけの計画とか立てるぞ」
・・(わかった。カーラに伝えとく)・・
「え?!ウソ、冗談!」
・・(・・・ヘタレめ)・・
「な、なにーっ!」
・・(まあいいわ。週末また連絡取るから。じゃあね。(ブツッ))・・

一方的に切れた電話を見つめて呆れ顔のアロン。

「たまに勇夫のとこにハウルから電話かかってたみたいだけど、いつもこんな調子なのか?」





さてその週末。ではなくその1日前の金曜日の昼間。
アロンのケータイのメールに勇夫からの着信があった。

・・(いいキャンプ場めっけた。明日から3人分予約取っといたから、土曜現地合流な。あと、ガスストーブのカートリッジを使い切ったので、俺の分も余分に持ってきてくれ。んじゃ。)・・

「なっ。あいつ、家帰らないつもりか?・・つもりだよな、この文面の通りなら」

当然のごとく電話をかけても圏外で通じなかった。
一方、レソフィックもバイト先で同じメールを読んでいた。

「あのフーテン野郎」

しばし、色々、重々考えた後、休み時間にレソフィックは1本の電話をかけた。

「もしもし。・・ああ、俺、レソフィックだけど。うん、しばらく。・・今夜、会えるかな?」






週末。満を持して電話をかけたハウルはまたも歯軋りしていた。

「勇夫どころか、アロンもレソフィックも連絡つかなくなったんだけど!!」


次回「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(2):ラジオ体操」へ続く!

前回のお話「第2部:第11章 ピクニック(8):お片付けして帰りましょう」


対応する第1部のお話「第1部:第16章 改めてカップルで(1):遊んでくれなかったなー?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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新章入りました。第1部にはない夏休み終盤のお話から始まります。
裕美子ちゃんのケータイの着メロは毎度のガルパンでしたが、アロン君はなんと!山登りも好きなんですかね?

※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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