<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(8):各ペアの予定> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第356回
<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(8):各ペアの予定>
2学期が始まって、ハウル達がさっそくアロン達の席のところに詰め寄って、夏休み後半自分達の相手しなかったことを問い詰めたのは第1部の通り。
裕美子はこれの直接の当事者ではないので、アロンの横の席でそのやり取りをやや心配げに様子見しているだけだった。
だが裕美子は裕美子で放課後リーダーに声を掛けられ、今度の週末に映画に行こうと誘われた。夏休み中に会ったとき話を受けて承諾していたのだが、日程だけが決まってなかったのだ。
「9月でプログラムが変わったんですよ。これなら裕美子さんでもいいかなあと思って。いままでチケットの指定の土日第2回上映時間は幼児向け映画でしたからね」
リーダーが手にしていたペアペアチケットは曜日と上映時間が指定されているというもので、上映内容では選べないという変な券だった。
「わたしの都合は大丈夫です。それで、何の映画ですか?」
「海洋ドキュメンタリーです。興味ありますか?」
「いいですね。自然科学は好きですよ」
「よかった。すみませんね、映画を選べない券で。ここの映画館だけでしか使えない券なんですよ。生徒会長から貰った物なんですけど」
「大丈夫です。ここ、ローカルルールなお店多いですよね。わたしも最近ようやくここの考え方に馴れてきました」
「そういえば裕美子さんはこの春に引越されてきたんでしたね」
問題を起こした中学と縁を切るため、裕美子は遠く離れた片いなかへ越してきたのだった。
それを掘り起こされて、裕美子は一瞬さっと顔から血の気が引いた。
思い出したくもない。その話題で話を続けたくない。
「お友達と離ればなれになっちゃって、さぞ寂しいでしょう」
「・・・いいえ。ここでお友達ができましたから」
ここでリーダーは急にカチコチな口調に変わった。
「ゆ、ゆ、裕美子さん、・・あっちで、か、彼氏とかは?」
思いも寄らない問いが来たので、思わず顔を上げてリーダーを見入ってしまった。微笑んではいるが、口元はおぼつかず震え脂汗が一つ垂れて、なんか不安そうにしている。
「こんなちんちくりんに、そんな人いるわけないでしょう」
とたんにリーダーの顔がぱあっと明るくなった。
「こんな魅力的な人放っとくなんて、なんて見る目のない学校だ」
金曜日。
明日はリーダーと映画に行く日。他の人達もペアの人と1日遊ぶということにしているはずだ。
『ハウルさんは勇夫君とシュークリーム食べに行くっていうし。カーラさんとアロン君も、もうどこ行くか決めたのかな』
カーラとお手洗いに行った裕美子は、明日のことをカーラに聞いてみた。
「カーラさん、明日の予定、決まったんですか?」
カーラはばつの悪そうな顔をした。
「え?・・・えへへへ・・実はまだ・・」
「アロン君とお話してないんですか?」
「うん、別に・・。アロン君も何も言ってこないし・・」
『アロン君もカーラさんも、お互いがペアになってること判ってるのよね?気が合わないこともなさそうなのに・・』
お互いあまり深く付き合いたくないというならそれは願ったり叶ったり。でもどちらも満更ではない様に見えるんだけど・・・。特にカーラさんは想いを寄せているんではないのだろうか。
もやもやした気持ちが高まって、思わず聞いてしまった。
「カーラさん・・、アロン君のこと・・嫌いなんですか?」
「そ、そんなことないよ。遊んでて楽しいし・・・彼のこと嫌いなんて人、ほとんどいないんじゃない?」
『そのアロン君と、カーラさん公認ペアなんですよ。ならもっとアロン君と・・・み、見たくないけど・・』
「アロン君って、結構みんなに中立だよね・・」
カーラが思い深げにそんなことを言う。裕美子はふわっと顔を上げた。確かに特定の人をひいきしている感じはない。ちょっと悪戯入りながらも、誰とでも良くしてくれる。だけど、もう一歩親密な仲に踏み込もうとすると、高い壁が現れる。あの美女さんもそういうところに立ち入ろうとしたから、あからさまに避けられてしまった。勿論嫌がるのはそういう行為に対してだけだから、普段は普通に接してくれるけど・・・
『もしかして、カーラさんもその壁を恐れているの?自分も踏み込んだら、避けられるかもって心配してるの?』
「・・・わたし達とのグループ交際には承諾してくれたんだから、ハウルさんグループは特別に見られてると思いますよ?カーラさん、大丈夫ですよ」
なんでわたし慰めてるんだろう。くっついてほしくないのに。
「やっぱり、許嫁がいるからかなあ。・・・あの人可愛い娘だったし」
裕美子はびくっとした。あの許嫁は偽物。裕美子がやった偽物。そもそも許嫁という話自体が作り話だ。事情を知っている裕美子としては、的外れな事に心配しているカーラがもどかしく見えた。
「カーラさんは、誕生日を祝ってもらえた人ですよ。もう特別な人じゃないですか」
「なんであんな事したんだろうね」
・・まだ疑うの?。わたしが羨むような事してもらってるのに、まだそんなこと言うの?。カーラさんはずっとわたしよりアロン君と近しいところにいるというのに。あなたがいらないというならわたしが・・・
「・・なら、わたしがアロン君と週末過ごしてみようか」
言ったその場で裕美子ははっと自分の口を詰むんだ。
『何てこと言ってしまったの?!』
しかし挑発的なこと言われたはずなのに、カーラは意外や静かなままで反応を示さなかった。
「・・そうだよね。グループ交際許してもらえてるんだし、アロン君のペアにしてもらってるんだし、あたしが動かなきゃいけないんだよね・・」
そう。あなたはそれをやって許される人。
裕美子は打ちひしがれたように上半身から力が遠のいていった。
「ごめんね、変な心配かけちゃって」
「・・・いえ」
裕美子は一瞬でも自分が口にしてしまった言葉に狼狽した。
わたしはアロン君と付き合うわけにいかないといのに。そんなことしたら彼にとって不幸だというのに。どうしてわたしはあんな事言ってしまったんだろう。
だからと言ってカーラさんを強く推してあげるというのも違う・・
カーラさんは大切な友達だけど・・
アロン君といい仲にはなって欲しくない・・
お手洗いから教室に戻った裕美子とカーラは、クリスティンの席のところにレソフィックが来て話してるのを見てそこに立ち寄った。
この2人は明日どうするのだろう。
緩やかなにっこり顔のクリスティンにカーラが話し掛けた。
「クリスティンは明日『シューちゃん』行かないの?」
シュークリーム屋の『シューちゃん』へは、明日ハウルと勇夫が行こうとしている。ハウルといつも行動を供にしているクリスティンだから、てっきり一緒に行くのだと思われた。
それに答えたのはレソフィックだった。
「『シューちゃん』なら連れてってやろうかって言ったんだけど、クリスティンがいやなんだって」
意外な答えだった。
「だってハウルったら、あんなに食べるのに太らないのよ。話によるとそのシュークリーム、すっごいおっきいっていうじゃない。ハウルのペースに付き合ってたらこっちがお相撲さんみたいになっちゃうわ」
「じゃ、明日はクリスティン、めずらしくハウルと別行動なのね。何するの?」
「レソフィック君がサイクリングに連れてってくれるんですって」
無防備な微笑みをレソフィックに向けて言うので、裕美子はクリスティンの身が凄い心配になった。
「へぇ!やるわね~。さっそくデートさそったんだ。もうそんなにラブラブなの~?」
カーラは全然心配をかける様子はなく、むしろレソフィックを肘で突っついて煽っている。
「べ、別に、まだそういう仲じゃないけどさ。そんなに太るの気にするんなら、なんか運動しようかって思って」
「ハウルはいつ運動してるのかしら」
「あいつはいつだってじっとしてないからカロリー消費がハンパじゃないんだろ。勇夫もそうだよな」
レソフィックは顔を上げて教室を見回したが、当のハウルも勇夫も姿がなかった。じっとしていることのない2人。さらに言うと、移動するときはたいてい走っている。
「確かに椅子が温まる暇もないくらいすぐ席立つわよね。そっか、あれが太らない秘訣なのね。・・・お相撲さんは1回座れば4人分くらいの座席を温めそうだから、だからあんな太ってるのね・・あれ?」
「太るのと大きな尻とどっちが先だ?」
クリスティンが珍しく自分でおかしなことになったことに気付いたようなので、レソフィックがそのポイントを指摘する。
「ニワトリが先か卵が先か・・・ああ!椅子が温ったまってる!レソフィック君、ちょっと散歩行きましょう!」
「しまった、異世界へのツボに・・・」
立ち上がったクリスティンは、レソフィックの肘をがっちりと捕獲すると、引きずるようにレソフィックを廊下へ連れ出そうとした。
「カーラ、ユミちゃ~ん、そんなわけで今週末は遊び相手自分で探してね」
裕美子は身を案じなければならないのはレソフィックの方だったと改めて思い起こした。
同じように口を半開きにして唖然としているカーラ、やや錯乱した様子で裕美子を見下ろした。
「あはは・・・、ユミちゃん、何して遊ぼっか」
また・・。まだそうやって逃げるんですか。
「カーラさん、それでいいんですか?・・・・そしたらわたしアロン君と遊んじゃってもいいのかしら?」
今度は半ば本気で言った。
「ええ?あそ、そうよね。一応私アロン君とペアにしてもらったし・・・アロン君どこだろ、明日暇かな・・」
暇に決まってるでしょ。いつもの遊び相手はみんな連れ出されちゃってるんだから。
カーラはきょろきょろして席を立った。
次回「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(9):ペアペア映画鑑賞」へ続く!
前回のお話「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(7):明日の作戦」
対応する第1部のお話「第1部:第16章 改めてカップルで(1):遊んでくれなかったなー?」
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やっと第1部に追いつきました。この夏休み明けのところは、第2部は第1部の隙間に入るような話になってます。
時系列でいうと
「第1部:遊んでくれなかったなー?」
「第2部:各ペアの予定」
一部ちょっと被って
「第1部:各々別行動」
という流れになります。
第1部ではマンガチックな挿絵が入ってましたね。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(8):各ペアの予定>
2学期が始まって、ハウル達がさっそくアロン達の席のところに詰め寄って、夏休み後半自分達の相手しなかったことを問い詰めたのは第1部の通り。
裕美子はこれの直接の当事者ではないので、アロンの横の席でそのやり取りをやや心配げに様子見しているだけだった。
だが裕美子は裕美子で放課後リーダーに声を掛けられ、今度の週末に映画に行こうと誘われた。夏休み中に会ったとき話を受けて承諾していたのだが、日程だけが決まってなかったのだ。
「9月でプログラムが変わったんですよ。これなら裕美子さんでもいいかなあと思って。いままでチケットの指定の土日第2回上映時間は幼児向け映画でしたからね」
リーダーが手にしていたペアペアチケットは曜日と上映時間が指定されているというもので、上映内容では選べないという変な券だった。
「わたしの都合は大丈夫です。それで、何の映画ですか?」
「海洋ドキュメンタリーです。興味ありますか?」
「いいですね。自然科学は好きですよ」
「よかった。すみませんね、映画を選べない券で。ここの映画館だけでしか使えない券なんですよ。生徒会長から貰った物なんですけど」
「大丈夫です。ここ、ローカルルールなお店多いですよね。わたしも最近ようやくここの考え方に馴れてきました」
「そういえば裕美子さんはこの春に引越されてきたんでしたね」
問題を起こした中学と縁を切るため、裕美子は遠く離れた片いなかへ越してきたのだった。
それを掘り起こされて、裕美子は一瞬さっと顔から血の気が引いた。
思い出したくもない。その話題で話を続けたくない。
「お友達と離ればなれになっちゃって、さぞ寂しいでしょう」
「・・・いいえ。ここでお友達ができましたから」
ここでリーダーは急にカチコチな口調に変わった。
「ゆ、ゆ、裕美子さん、・・あっちで、か、彼氏とかは?」
思いも寄らない問いが来たので、思わず顔を上げてリーダーを見入ってしまった。微笑んではいるが、口元はおぼつかず震え脂汗が一つ垂れて、なんか不安そうにしている。
「こんなちんちくりんに、そんな人いるわけないでしょう」
とたんにリーダーの顔がぱあっと明るくなった。
「こんな魅力的な人放っとくなんて、なんて見る目のない学校だ」
金曜日。
明日はリーダーと映画に行く日。他の人達もペアの人と1日遊ぶということにしているはずだ。
『ハウルさんは勇夫君とシュークリーム食べに行くっていうし。カーラさんとアロン君も、もうどこ行くか決めたのかな』
カーラとお手洗いに行った裕美子は、明日のことをカーラに聞いてみた。
「カーラさん、明日の予定、決まったんですか?」
カーラはばつの悪そうな顔をした。
「え?・・・えへへへ・・実はまだ・・」
「アロン君とお話してないんですか?」
「うん、別に・・。アロン君も何も言ってこないし・・」
『アロン君もカーラさんも、お互いがペアになってること判ってるのよね?気が合わないこともなさそうなのに・・』
お互いあまり深く付き合いたくないというならそれは願ったり叶ったり。でもどちらも満更ではない様に見えるんだけど・・・。特にカーラさんは想いを寄せているんではないのだろうか。
もやもやした気持ちが高まって、思わず聞いてしまった。
「カーラさん・・、アロン君のこと・・嫌いなんですか?」
「そ、そんなことないよ。遊んでて楽しいし・・・彼のこと嫌いなんて人、ほとんどいないんじゃない?」
『そのアロン君と、カーラさん公認ペアなんですよ。ならもっとアロン君と・・・み、見たくないけど・・』
「アロン君って、結構みんなに中立だよね・・」
カーラが思い深げにそんなことを言う。裕美子はふわっと顔を上げた。確かに特定の人をひいきしている感じはない。ちょっと悪戯入りながらも、誰とでも良くしてくれる。だけど、もう一歩親密な仲に踏み込もうとすると、高い壁が現れる。あの美女さんもそういうところに立ち入ろうとしたから、あからさまに避けられてしまった。勿論嫌がるのはそういう行為に対してだけだから、普段は普通に接してくれるけど・・・
『もしかして、カーラさんもその壁を恐れているの?自分も踏み込んだら、避けられるかもって心配してるの?』
「・・・わたし達とのグループ交際には承諾してくれたんだから、ハウルさんグループは特別に見られてると思いますよ?カーラさん、大丈夫ですよ」
なんでわたし慰めてるんだろう。くっついてほしくないのに。
「やっぱり、許嫁がいるからかなあ。・・・あの人可愛い娘だったし」
裕美子はびくっとした。あの許嫁は偽物。裕美子がやった偽物。そもそも許嫁という話自体が作り話だ。事情を知っている裕美子としては、的外れな事に心配しているカーラがもどかしく見えた。
「カーラさんは、誕生日を祝ってもらえた人ですよ。もう特別な人じゃないですか」
「なんであんな事したんだろうね」
・・まだ疑うの?。わたしが羨むような事してもらってるのに、まだそんなこと言うの?。カーラさんはずっとわたしよりアロン君と近しいところにいるというのに。あなたがいらないというならわたしが・・・
「・・なら、わたしがアロン君と週末過ごしてみようか」
言ったその場で裕美子ははっと自分の口を詰むんだ。
『何てこと言ってしまったの?!』
しかし挑発的なこと言われたはずなのに、カーラは意外や静かなままで反応を示さなかった。
「・・そうだよね。グループ交際許してもらえてるんだし、アロン君のペアにしてもらってるんだし、あたしが動かなきゃいけないんだよね・・」
そう。あなたはそれをやって許される人。
裕美子は打ちひしがれたように上半身から力が遠のいていった。
「ごめんね、変な心配かけちゃって」
「・・・いえ」
裕美子は一瞬でも自分が口にしてしまった言葉に狼狽した。
わたしはアロン君と付き合うわけにいかないといのに。そんなことしたら彼にとって不幸だというのに。どうしてわたしはあんな事言ってしまったんだろう。
だからと言ってカーラさんを強く推してあげるというのも違う・・
カーラさんは大切な友達だけど・・
アロン君といい仲にはなって欲しくない・・
お手洗いから教室に戻った裕美子とカーラは、クリスティンの席のところにレソフィックが来て話してるのを見てそこに立ち寄った。
この2人は明日どうするのだろう。
緩やかなにっこり顔のクリスティンにカーラが話し掛けた。
「クリスティンは明日『シューちゃん』行かないの?」
シュークリーム屋の『シューちゃん』へは、明日ハウルと勇夫が行こうとしている。ハウルといつも行動を供にしているクリスティンだから、てっきり一緒に行くのだと思われた。
それに答えたのはレソフィックだった。
「『シューちゃん』なら連れてってやろうかって言ったんだけど、クリスティンがいやなんだって」
意外な答えだった。
「だってハウルったら、あんなに食べるのに太らないのよ。話によるとそのシュークリーム、すっごいおっきいっていうじゃない。ハウルのペースに付き合ってたらこっちがお相撲さんみたいになっちゃうわ」
「じゃ、明日はクリスティン、めずらしくハウルと別行動なのね。何するの?」
「レソフィック君がサイクリングに連れてってくれるんですって」
無防備な微笑みをレソフィックに向けて言うので、裕美子はクリスティンの身が凄い心配になった。
「へぇ!やるわね~。さっそくデートさそったんだ。もうそんなにラブラブなの~?」
カーラは全然心配をかける様子はなく、むしろレソフィックを肘で突っついて煽っている。
「べ、別に、まだそういう仲じゃないけどさ。そんなに太るの気にするんなら、なんか運動しようかって思って」
「ハウルはいつ運動してるのかしら」
「あいつはいつだってじっとしてないからカロリー消費がハンパじゃないんだろ。勇夫もそうだよな」
レソフィックは顔を上げて教室を見回したが、当のハウルも勇夫も姿がなかった。じっとしていることのない2人。さらに言うと、移動するときはたいてい走っている。
「確かに椅子が温まる暇もないくらいすぐ席立つわよね。そっか、あれが太らない秘訣なのね。・・・お相撲さんは1回座れば4人分くらいの座席を温めそうだから、だからあんな太ってるのね・・あれ?」
「太るのと大きな尻とどっちが先だ?」
クリスティンが珍しく自分でおかしなことになったことに気付いたようなので、レソフィックがそのポイントを指摘する。
「ニワトリが先か卵が先か・・・ああ!椅子が温ったまってる!レソフィック君、ちょっと散歩行きましょう!」
「しまった、異世界へのツボに・・・」
立ち上がったクリスティンは、レソフィックの肘をがっちりと捕獲すると、引きずるようにレソフィックを廊下へ連れ出そうとした。
「カーラ、ユミちゃ~ん、そんなわけで今週末は遊び相手自分で探してね」
裕美子は身を案じなければならないのはレソフィックの方だったと改めて思い起こした。
同じように口を半開きにして唖然としているカーラ、やや錯乱した様子で裕美子を見下ろした。
「あはは・・・、ユミちゃん、何して遊ぼっか」
また・・。まだそうやって逃げるんですか。
「カーラさん、それでいいんですか?・・・・そしたらわたしアロン君と遊んじゃってもいいのかしら?」
今度は半ば本気で言った。
「ええ?あそ、そうよね。一応私アロン君とペアにしてもらったし・・・アロン君どこだろ、明日暇かな・・」
暇に決まってるでしょ。いつもの遊び相手はみんな連れ出されちゃってるんだから。
カーラはきょろきょろして席を立った。
次回「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(9):ペアペア映画鑑賞」へ続く!
前回のお話「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(7):明日の作戦」
対応する第1部のお話「第1部:第16章 改めてカップルで(1):遊んでくれなかったなー?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2015 TSO All Rights Reserved
やっと第1部に追いつきました。この夏休み明けのところは、第2部は第1部の隙間に入るような話になってます。
時系列でいうと
「第1部:遊んでくれなかったなー?」
「第2部:各ペアの予定」
一部ちょっと被って
「第1部:各々別行動」
という流れになります。
第1部ではマンガチックな挿絵が入ってましたね。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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2015-12-19 07:00
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コメント(2)
☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆
人それぞれで表現の仕方は色々あるからいちいち口を出すべきではないともうけれど、
>それを掘り起こされて、裕美子は一瞬さっと顔から血の気が引いた。は、
>過去を掘り返されて、裕美子は一瞬さっと顔から血の気が引いた。
と云う表現の方が良い様な気がするなぁ。
by justice (2015-12-25 17:33)
Ujiki.oOさん、やってみよう♪さん、たかまささん、yu-papaさん、HIDEand爺さん、いっぷくさん、剣心さん、(。・_・。)2kさん、ネオ・アッキーさん、ミミ☆ハムさん、justiceさん、niceありがとうございます。
#このところずっとniceのお礼サボっててスミマセン。ご訪問返しでお許しください。
justiceさん、コメントありがとうございます。
小説ではない方のハンドルネーム(?)というところが違った緊張感を醸し出します。(汗)
文章表現の指摘を受けたのは初めてかもしれませんね。親身になってよく読んでいただいているということです。大変ありがたいことです。
確かに代名詞を使っておきながら指し示す適切なものが直前にないですね。”それ”が指すものは「片いなかへ越してきた」ことではないですし、ついでに”掘り起こされて”というのも表現よくないです。というのはリーダーの言動がきっかけで裕美子が自分から嫌な思い出を掘り起こしちゃったわけなので。
よく見返すと根本的にしっくりしません。‥難しいですね。
国語力がアレなので、添削されたら真っ赤っかになって修正の嵐でしょうから、よほど恥ずかしい状態にならない限り本文の方は直さないつもりです。
あ、でもご指摘、ご感想等は遠慮なくコメント欄の方へお寄せくださいませ。
by TSO (2015-12-26 23:35)