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【予告・目次】片いなか・ハイスクール [片いなか・ハイスクール]

ひょんなことから学園ラブコメを連載しようと思い立ちました。

本当は技術があればマンガで描きたいところですが、無理なので文字にします。
『片いなか・ハイスクール』
思いつくままに筆を走らせたいと思います。

あ・・もう当初構想と違ってきているかも。。。



<目次>

==第1部==

第1章  オリエンテーリング
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
(8)(9)(10)(11)(12)(13)(14)

第2章  入学式
(1)(2)

第3章  初登校日
(1)(2)(3)(4)

第4章  表彰式

第5章  クラス委員

第6章  イザベルのお礼アタック
(1)(2)(3)(4)

第7章  ダーニャの恋愛相談所
(1)(2)(3)

第8章  俺の家は海賊
(1)(2)(3)(4)(5)(6)じいちゃんは海賊?(7)31年前(8)レグラド・ラーの正体(9)レグラド・ラーの最期(10)拉致(11)勇夫脱出(12)出航(13)リー教授(14)レグラド・ラーの舵の秘密(15)追跡者(16)不審船(17)警部捕まる(18)イサオ、センニュウニセイコウス(19)リー教授が来る?!(20)救出を手伝うぞ!(21)勇夫の偵察報告(22)警察は間に合わん!(23)俺たちで救出する!(24)救出作戦開始!(25)女の子もやるなあ(26)爆走少女ハウル(27)海賊の増援接近!(28)レグラド・ラーの舵の仕掛け(29)じいちゃん助けて!(30)ワリルドノア座礁!(31)リー教授乗船!(32)船の上の様子(33)形勢逆転!(34)アロン達発見される!(35)アロン達を迎えに行くぞ!(36)裕美子の作戦(37)迎撃!(38)一網打尽!(39)わしの後を継ぐか?

第9章  ソフィックの広報記事
(1)女の子らしく?(2)飲んだことないんですけど(3)カーラってお酒入ると・・(4)リーダーも変身?!(5)それで、広報の記事は?

第10章  リーダー相談する
(1)リーダーの相談(2)カーラもついでに(3)リーダー自ら誘う(4)リーダー、引っ掻き回す(5)「また、頼むな」「えー?もういいよ」

第11章  7月のホタル鑑賞
(1)2人で行けばよかったんじゃない?(2)見学ツアー(3)リーダーがいます(4)脈あるのかしら(5)あなたも私を探して

第12章  カーラの誕生日
(1)ケーキ手に入らず(2)せっかく会ったのに(3)思い立ったが吉日(4)秘密のルートらしい(5)飢えた勇夫が見つけた店(6)私のため?

第13章  夏のエピソード前編
(1)恋愛相談所にいたのは・・(2)脱げないパンツで対抗?(3)とうとう来た!(4)約束の人?(5)美女、口説く(6)会わせてやる!(7)どうする?どうする?

第14章  夏のエピソード後編
(1)臨海学校開校!(2)美女の才能(3)美女の才能2(4)大近眼は陸も海も同じ(5)5分だけおさななじみ(6)水中騎馬戦(7)ユカリ(8)ナニモノ?

第15章  ピクニック
(1)バーベキューしよー(2)女の子集合中(3)男の子買い出し中(4)ハウルとクリスティンの印象(5)カーラと裕美子の印象(6)女の子達から見ると?(7)カレシか僕(しもべ)か(8)バーベキュー当日(9)ハウルと勇夫はどうなった?(10)カーラとアロンはどうなった?(11)裕美子とリーダーはうまくいってるか?(12)それじゃクリスティンとレソフィックにまとめてもらいましょう(13)女の子達のデザート(14)いつでも暇しといてよね!

第16章  改めてカップルで
(1)遊んでくれなかったなー?(2)各々別行動(3)片いなか映画館(4)3人に効き目バッチリ(5)そしてみんな合流

第17章  アロンの誕生日
(1)カーラのプレゼント

第18章  校外展覧会絵画展
(1)展覧会委員(2)写生大会(1)(3)写生大会(2)(4)写生大会(3)(5)美女は諦めてない(6)行かずして風景を描く(7)再びポタ山(8)次なる手(9)最後の1枚

第19章  ばれた正体
(1)ばれた正体

第20章  学内ライブ
(1)あの後(2)男子の反応(3)カーラの憂鬱(4)美女に引っ立てられる(5)まずは美女から(6)ユーリ、美女を制す(7)でこぼこが合う人

第21章  決戦!
(1)カーラの決意(2)告白!(3)答え(4)裕美子の気持ち(5)裕美子かユカリか

第22章  球技大会
(1)C組女子バレーの秘密兵器(2)対決!バレー部員(3)裕美子負傷!(4)ご指名(5)本番試合の行方は?(6)この人の横がいい(7)ほっぺた

第23章  誰よりも前から
(1)一つの傘の下で(2)誰よりも前から(3)今日もわたしの傘で(4)家まで(5)返事(6)アロンの部屋で(7)大好き!

第24章  そして再び仲間
(1)待ち合わせ(2)ご報告(3)初デート

第25章  12月
(1)月曜日(その1)(2)月曜日(その2)(3)月曜日(その3)(4)金曜日(その1)(5)金曜日(その2)(6)金曜日(その3)

第26章  消化試合の過ごし方
(1)期末試験終了(2)クールダウン?(3)まずはクリスマスが決定!(4)年末年始も決定!

第27章  クリスマスと誕生日とNew Year
(1)裕美子んち集合!(2)クリスティン打たれる(3)クリスマスパーティー(4)明日来てね(5)明日?(6)プレゼント

第28章  スキー旅行
(1)宿はハウルが取った(2)バスもハウルが手配した(3)ウォルトvsイザベル(4)計算高い人?(5)実はすごく怖い人?(6)大部屋(7)やっぱり雪崩発生(8)夜の語らい(9)カウントダウンイベント(10)カラオケ大会(11)A Happy New Year!(12)残念でした

第29章  3学期
(1)始業式(2)転校に仲間達は(3)転校の行方

第30章  入寮
(1)荷造り(2)寮の様子(3)食事当番(4)もう一人の1年生(5)改善要求(6)自主作成ルール

第31章  同棲
(1)決意(2)お願い(3)許可

第32章  初夜
(1)初夜(1)(2)初夜(2)(3)初夜(3)(4)お風呂上り(5)やっと就寝(6)隣人達(7)許可2(8)寮引き上げ(9)直訴(10)ベッド交換

第33章  アロンの両親一時帰国
(1)裕美子部屋探し?(2)裕美子部屋探し?(3)裕美子をどうする?(3)久々の対面(5)裕美子初対面(6)空きが出るまで

第34章  バレンタイン
(1)お菓子の市場(2)あげる人いっぱい?(3)リーダーにも(4)生殺しの儀式(5)彼女は能面?(6)俺には見せる顔(7)バレンタイン当日(8)何かありそうでない夜(9)やっちゃいました

第35章  ダーニャの保健体育
(1)1日遅れのバレンタイン(2)裕美子の対策

第36章  牛丼騒動
(1)半額券(2)いやがらせ(3)精神ダメージ(4)ハウル反撃(5)ワンダーウーマン(6)玄関でばったり

第37章  過去との決別
(1)レイ・サクラギ(2)異常反応(3)人殺し(4)事件との関係(5)自殺の真相(6)捜索活動(7)あのとき支えてくれた人(8)もう一人じゃない(8)かつての姿(10)もう逃げない!もう負けない!(11)新学期に向けて(12)出発点

<片いなか・ハイスクール第1部完結しました!>

==第2部==

第1章  出発点
(1)入学式の日(2)運命の人との出会い

第2章  初登校日
(1)隣の席(2)彼を想うとできたこと(3)歓迎準備

第3章  オリエンテーリング
(1)班分け(2)体育会系の猛者たち(3)ミスコース(4)第2チェックポイント(5)意見割れ(6)中間チェックポイント(7)B班との合流(8)B班を迎えに(9)わたしもクラスの一員(10)表彰式

第4章  クラス委員決め
(1)推薦(2)備品入出庫係(3)イザベルのお礼アタック(4)年間行事(5)イザベルのお礼アタック2回目(6)やんちゃ坊主達(7)初仕事(8)本当のお願い(9)ダーニャの相談所(10)アロンの答え、裕美子の答え

第5章  俺の家は海賊
(1)アンザック君ち行こう(2)出かけ前の朝(3)カモメのマーク(4)あるはずのない遺物(5)時計の針が再び動き出す(6)ダイジェスト(7)エピローグ

第6章  レソフィック宅の宴会
(1)在庫台帳上の黒板消し(2)黒板消しの実在庫(3)黒板消しを壊した人たち(4)黒板消しの予約在庫(5)広報記事の決定(6)会場の決定(7)待ち合わせ(8)お買い物(9)レソフィックの家(10)お料理(11)記事作り再開(12)とうとう宴会へ(13)裕美子の知らぬ世界(14)真夜中(15)ゲロ吐き兄ちゃん事件(16)モーニングコーヒー(17)朝食準備(18)朝ごはん(19)リーダー告白失敗

第7章  隣町への買い物
(1)安全巡視(2)放課後のお誘い(3)正しいお誘い(4)待ち合わせ(5)隣町へ移動(6)帽子屋さん(7)夏の旅行計画

第8章  7月のホタル鑑賞
(1)放課後ティータイム(2)中庭と東広場の穴の正体(3)頼られるって(4)ヘビーデューティー・ライスクラッカー(5)無意識の危機感(6)ホタル見学ツアー(7)お泊りの約束(8)腹ごしらえ(9)ホタル乱舞(10)泊れなかった、けど・・

第9章  宿探しと美女の告白と許嫁
(1)宿を探せ(1)(2)宿を探せ(2)(3)宿を探せ(3)(4)宿を探せ(4)(5)宿を探せ(5)(6)美女の告白(7)許嫁(8)一度きりの今年の夏を

第10章  夏のエピソード
(1)海へ出発(2)快速シーサイドライン号(3)特急の通過を待ってます(4)ダリ・ビーチで露店に寄ってます(5)夕食前にシャワーです(6)中庭で夕食です(1)(7)中庭で夕食です(2)/ (8)中庭で夕食です(3)/ (9)中庭で夕食です(4)/ (10)中庭で夕食です(5)/ (11)いなかった幼なじみ/ (12)タンデムしちゃいます/ (13)ビキニだって着ちゃいます/ (14)理想の娘にだってなっちゃいます/ (15)わたし達の仲を見せつけちゃいます/ (16)誘ってくれたら、応えます

第11章  ピクニック
 (1)恐れていた明確なライバル(1)(2)恐れていた明確なライバル(2)(3)カレシ候補選び?(4)バーベキュー当日(5)河原(6)回想、またまた裕美子の恥ずかしいシーン (7)あれは二人だけの思い出に (8)お片付けして帰りましょう

第12章  女の子たちのグループ交際反省会
 (1)男子を捕捉できず(2)ラジオ体操(3)ハウルのお古の服(4)カーラから借りた本(5)ペアペアチケット(6)会長のペアチケット(7)明日の作戦(8)各ペアの予定(9)ペアペア映画鑑賞(10)アロン君の家に初めてお邪魔

第13章  アロン君の誕生日
 (1)残暑の倉庫作業(2)マグカップ粉砕(3)裕美子のプレゼント(4)カーラのイケイケプレゼント




<Charactors>

Ainoさんにリクエストして「片いなか・ハイスクール」のキャラクターを描いてもらいました!
TSOのイメージにもぴったり合致!というか、Ainoさんの方がかっこいい!かわいいんです~
katainaka1.jpg

katainaka2-07eee.jpg


Charactor design of Ainoさま



ふぉおっふぉっふぉ。
Ainoさんに描いてもらったキャラクターの配置そのままにTSO版を作ってみました。
並べられてしまうと歴然たる腕の差で引け目を感じてしまいますが・・・そこはAinoさんが描かれなかった残りのメンバーを描き加えているということで、オリジナルキャラをお許しください。
katainaka1(TSO).jpg


どうですか?Ainoさんは小説のみでキャラを想像して描かれたのです。すごいですね!
当時まだ絵としてのキャラデザインが確立してなかった人物については、Aino版キャラが与えてくれた影響がいかに大きかったことか。
(モロバレですね。まんまってやつもいるんじゃ・・・)
(2010/8/17追加)



登場人物紹介ページを追加しました。

片いなか・ハイスクール 登場人物紹介
(2012/3/17追加)




<片いなか・ハイスクール第1部イメージソング>

5代目なっちゃんとこ星羅さんの「数字と恋」です。(Youtubeからお借りしています)

この小説の下書きを書いている頃発表された曲で、のりのいい曲と歌詞がすごくマッチして、聞きながらよく書いたものです。でも小説の子達は電車通学はしてないんですけどね。


<片いなか・ハイスクール第2部オープニングイメージソング>

浜田麻里さんの- Tele-Control - (Youtubeからお借りしています)

携帯電話がこんな普及する以前の曲ですね。伝えたい、伝えて欲しいというのを軽快なリズムで刻むオープニングにふさわしい曲だと思います。

<片いなか・ハイスクール第2部エンディングイメージソング>

こちらも浜田麻里さんの- Border -(Youtubeからお借りしています)

エンディングに向いてそうなバラードです。これも古い曲ですが、メロディ、歌詞はともに時代を超えてる気がして好きな曲です。
第2部は裕美子が主人公。オープニング、エンディングとも彼女の心の気持ちがどこかにあるようなのをチョイスしています。




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オリエンテーリング (1) [片いなか・ハイスクール]

連載第1回
<オリエンテーリング (1)>

『俺たちは今、遭難しようとしている。・・・・勝手な行動を取ったわけでもなく、間違った道に向かったわけでもない。これは学校が望んだのだ!』


道なき林の中を草木をかき分けて進む9名のパーティー。
俺はおそらくこの物語の主人公、アロン・コー二ック。つい半月前、この都会ともいなかとも言えない街の高校に入学したばかりの男子高校生だ。
『おかしい、この物語は、普通の他愛ない学園ものだったはず。普通に学校生活の中で繰り広げられる出来事や、ラブストーリーがのほほんと語られると聞いていたのに、なんだこのサバイバルゲームは』

先頭を歩く男子が振り返った。
「方向、間違いないか?!」
彼はこのパーティーのリーダーを務めるジョン・ディアス。180cm以上のスラリとした長身で、モデルのよう・・というか実際モデルのバイトしてるらしい。。アフリ力系で肌は黒っぽいが、色々血が混じっているようでさらりとした直毛の髪をしている。
コンパスを持った男子が
「いいと思う・・」
と答えた。こいつはアンザック・ボールデン。人のよさそうな奴だ。アンザックは方向いいというが、アロンの意見は違った。
「アンザック、俺、あの小さい崖をのぽり下りしたとき、斜面の向きのせいで方向感覚が少しずれたような気がする」アロンは言った。
「え?方位はあってるけど」
「起点が左右にぶれれば目標の方位は少しずつずれるだろ。少し目標ルートより右に行ったような気がするんだけど」
「俺もそんな気がする。左へ15度くらいじゃないか?目標方向は」
俺に賛同した太ったこいつはウォルト・ペーターゼン。記録係に割当たっている。今日は相当いいダイエットになっているだろう。
「ど、どうする?俺、方向合ってると思ってた。ジョン、アロン達が少し進む方向が違うみたいだって言うんだ」
「確かか?言っとくけど、俺の方向感覚はまったくあてにするなよ。後ろに進むって言われても、ああそうかって思うくらい音痴だから」ジョンは方向音痴らしい。
「どっか見晴らしいいとこないかな。できたらもう一度目標確認したいな」とアロン。しかし林の中はまったく見晴らしのききそうなところがなかった。
「おーい、女子で向かう方向に自身ある奴いるか?」ジョンがパーティーの女子に聞いた。
「え?もしかして迷っちゃったんですか?」
不安に駆られ、目をうるうるさせてるこの娘はクリスティン・ローゼン。おっとりしてて、こんなところではいかにも役に立ちそうにない。でも救護係だから、手当してもらうにはいいかもしれない。
「なんだよ、頼りないなあ!ちゃんと道案内してよね」
ここにも170cm級のモデル並みの体系の女子が一人。誰彼とも認める超美人のシャルロット・ドヌーヴだ。モデルはやってないようだが、雑誌で見かけてもおかしくない容姿である。ただ結構性格がきつい感じがする。
ジョンが反論した。「そりゃねえよ。ここは男女関係なく力合わせないと、本当にやばいぜ。人任せにしないで、みんな同じように考えてくれよ」
ジョンは結構パーティーをまとめるにはいいリーダーかもしれない。
「でも方向感覚って、女の方が鈍いこと多いからねえ。適材適所で使ってよね。あ、でもシャルロットはお化け屋敷でも道迷わずにすぐ出てこれるじゃない」
超美人のシャルロットと仲のいい彼女はダーニャ・ラミウス。中学が一緒だったそうだ。
「あれは怖いからとっとと出てきただけでしょ!だいたいお化け屋敷の中とここじゃ比べるものが違うでしょ」シャルロットはお化けは嫌いなようだ。
「すごいわ。わたしお化け屋敷の暗い道、迷って出てこらんなくて、いつも泣き崩れて係員に救助されるんですぅ」と見かけから予想つく通りのクリスティン。この人だけはここもお化け屋敷と同次元らしい。この人に救護されることはなさそうな気がしてきた。
「冗談言えるくらい元気なら、それはそれでいいや。カーラは?」アロンはカーラという女の子に聞いた。カーラ・プロストは今のところつかみどころのない娘だった。通信係に割当たっている。
「もう少し・・左じゃないかと思う。で、でも自身ないから!」
「おー!ジョン、もう一人同じ意見がいたぞ」
「カーラも左寄りか?じゃ、そっち行ってみよう」
方向は決まった。ところでこのパーティーにはもう一人女子がいる。アロンはそのもう一人、かたわらにがっくりと疲れて座り込んでるイザベル・ナイトレイに声をかけた。
「イザベル、大丈夫?」
「しゅ、出発する直前に声かけて・・」
イザベルは出発前から本人が宣言していたように、体力がまったくないらしいのだ。まだ工程の4分の1に満たないのにこの疲れよう、今日1日持つんだろうか。

さて、ここで我々のパーティーとは何ぞやということに触れておこう。
このサバイバルめいてきた行軍は「オリエンテーリング」と名打った学校行事なのだ。クラスメンバーのお互いをよく知り、結束を固めることが第1目的。そしてグループ対抗となっていることで団結力、協調性なども試されているらしい。
舞台は、片田舎な我が高校から電車で数駅行ったところにある緑豊かなクスス山の東山麓。この1年生対象のオリエンテーリングは学校の恒例行事らしいが、クスス山で開催されるのは今年が初めてとのことだ。

この片田舎にある我が高校は、もっと都会にある本校の第1分校である。
第1分校はAからCの3クラスあって、アロンはC組。男女各9名、総勢18名のクラスである。各クラスはさらに2班に別れ、アロンがいるのはC組B班だ。C組のA班とB班はクスス山麓のオリエンテーリングエリアに、互いに対角線反対側から入り、相手班の入った入り口からエリアを出なければならない。途中にはチェックポイントが5カ所あって、そこを通過することになっている。12時間以内で出られたら完走だ。12時間を越えると失格である。12時間というと夜の9時になるので、まずありえないと思っていたが、いまや現実味のある話になってきた。
しかも配られている地図は、東西南北、オリエンテーリングエリア全体の大きさとチェックポイントの位置関係、直線距離はわかるが、そこへ至る道や地形は一切載ってない。道は探せということらしい。
このオリエンテーリングはクラスごとに別々の日に行われている。
A組は月曜やって翌日は休日。B組は火曜やって翌日休日。俺らC組は本日水曜日が開催日だ。問題は前のクラスからどんなだったか話をまったく聞けなかったことだ。完走したのかさえわからない。というかこの日程は、そういったことを聞けないように仕組まれていたとしか思えない。
しかも最初のチェックポイントを目指すC組B班は、、オリエンテーリングエリアに入って1時間ほどで獣道さえなくなった。

学校は生徒を遭難させようとしているとしか思えん!
そういう状況を作り出して、いやがうえにも結束力を作り出そうとしているようだ。

ただこれが、学校側が生徒の死を望んでない証拠に、30分に1回定時連絡をして、問題があればすぐ救助に向かう準備が整えられているとのことだ。話によると麓にはヘリも準備してあるという。本当か知らんが。
果たして俺らは今日中に家に帰れるのだろうか。


次回「オリエンテーリング (2)」へ続く!
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆


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オリエンテーリング (2) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第2回
<オリエンテーリング (2)>

俺達の前に、また切り立った斜面が正面に現れた。
土の斜面は急すぎて滑りそうだ。右に岩棚があり、そこを使った方が登りやすそうである。
「ジョン、あそこから登った方がよさそうだぞ」
アロンはB班のサブリーダーでもあった。おそらくこんな野山で遊んでいる経験は、この班ではアロンが一番かもしれない。ここに来るまでの間、自然とそんな知識がしれて、信頼がアロンに集まっていた。
「なるほど」
「でもすごい急ですよぉ。落ちたら大怪我しますぅ~」まったく自信なさそうなクリスティンだった。
「もうだめ、そんなとこ登れない」体力のないイザベルは見上げるような斜面に既にねをあげていた。
アンザックが少し登ってみる。
「手掛かりはいっぱいあって登り易いぞ」
「アンザックさん、手足長いですう。その段差は登れないですう」クリスティンが下から声をかけた。
「アロン、途中の何カ所かに男子を留まらせて、女子をフォローした方がいいんじゃないか?」ジョンが提案をした。
「それはいい案だ。あそこと、あそこかな。そしたらジョン、上の段まで行ってくれ」
「フォ、フォローって、どうやるんですか?」クリスティンが心配顔で聞く。
「手、引っ張ったり、後ろから押したりしてフォローするよ」
「う、後ろから?お尻押すんですか」
「結果的にそうなったら、ごめんね」
「い、いやですぅ~」
「どさくさにまぎれてやったら、蹴り落とすよ!」シャルロットがギロリと鋭い目で睨みつけてくる。
「だからなるべくそうならないようにするよ。アンザック、そのまま上まで登って、上からロープ垂らしてくれよ。そういうところはロープも使って登れるようにしよう」
「わーったー!」
疲れ切ったイザベルが力なく「わたし、そのロープで引き上げて・・」と言った。するとウォルトが意地悪気に笑いながら
「首にくくりつけて引っ張ったら首吊りだな。体に縛ってもあちこちにぶつかってあざだらけになるんじゃないか?」
「ひええぇぇ」
「自分で登るしかないよ、イザベル」アロンはイザベルに向って行った。続いて太ったウォルトを見ると、
「お前、岩棚の途中に留まれる?」
ウォルトはしばらく岩の積み上がった斜面を眺めると
「・・・いや、しんがりで誰か落ちたときのクッションになるよ」
「それいい案かも。じゃあ、しんがり任せた」
「おーい、登ると尾根に出て見晴らせるぞー。チェックポイント近いかもしれない」
上からアンザックが叫んだ。
「ほんとうか?やったな。ロープ結んだら投げてくれー」
途中まで登ったジョンがうれしそうに下に手を振った。
「イザベル、チェックポイントだって。がんばろ!」カーラが元気付ける。
中段まで登ったアロンが下に声をかけた。
「イザベルからのぼろー!」

次回「オリエンテーリング (3)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (1)」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆


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オリエンテーリング (3) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第3回
<オリエンテーリング (3)>

全員が尾根にたどり着いた。その尾根を少し登ると木々が開け、向う側が見渡せる。
チェックポイントの資料を記録係のウォルトが引っ張り出した。チェックポイント周辺の写真と説明、およびそこからの景色の写真である。そして叫んだ。
「ここだ!ここチェックポイントだ!ついたぞー!」
わあっと歓声が上がった。
ジョンがうれしそうに言う。「カーラ、ドジ担任に連絡してくれ、着いたって」
C組の担任がなぜドジ担任かは別の機会に話そう。
カーラは衛星を経由して繋がる電話を使って電話した。
「B班です。今第1チェックポイントに着きました。え?3つ並んだ石?え・・と、はいあります。はい。ダーニャ、そこの真ん中の石の上に何か書いてある?」
「この石?・・・あら、星マークが掘ってあるわ」
「星のマークがあります。当たり?やったー!」
「ヤッター!」とクリスティンも喜ぶ。
「11時8分、第1チェックポイント到着。水既に2リットル消費っと」記録係のウォルトがノートにメモしている。
「やれやれ、やっとひとつ?」シャルロットは嘆いていた。

アロンとジョンは吹き上がる風に汗を乾かしながら先を見ていた。そこへ、シャルロットもやってきた。
「次どこ?」
「あれだ。三角のはげ山。てっぺんに枯れ木が1本」
「あれ?直線ではそう遠くないけど、どうやって行くの?」
尾根の下はまた崖であり、下の方はおそらく川床がありそうだった。直線ではとても行けそうにない。
「尾根伝いに向うへ下って、あの川床をあの辺で渡って、森を突破するとはげ山の手前のちょっと開けたところに出る」とアロンが予想ルートを指さしなぞる。
「あんな遠回りさせんの!どうにかしてよー、あたし短気なんだよねー」
「ここ降りるか?一人で。その先で落ちて死ぬぞ」
「どうせ尾根下ったところで熊に会って死んだりするんだわ。なら下ってやる!」
「冗談ゆう元気があるならいいや」
「冗談言ってない!」
アロンとシャルロットの漫才をよそに、ジョンは冷静にウォルトに声をかける。
「ウォルト、こっから見た予想ルートを書き留めといてくれない?」
「えー?どれ。うわー、俺、絵はすっごい下手なんだよー」
「どうれ?わたし書いてあげよっか」ダーニャがノートを受け取ると、さらさらと書き始めた。絵が得意らしい。

次回「オリエンテーリング (4)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (2)」
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オリエンテーリング (4) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第4回
<オリエンテーリング (4)>

アロン達がはげ山に到着したのは、およそ1時間半後だった。
12時半をすぎたので、ここで昼食を取ることにした。
「まだ5分の2?信じらんない。このペースだといつ終わるの?」シャルロットがまた嘆く。
ダーニャが指折り数えた。
「一ポイント2時間弱だから、スタートから10時間後。夜の6時か7時かしら」
イザベルがダーニャに泣きついてきた。
「まだ6時間も後じゃない。死んじゃう!ジョーン、リタイヤどうやるの?」
「リタイヤ?自主リタイヤは18時過ぎるか、重大なけが人が出るて続行不能とかにならないと、受け付けてくれないよ。個人だけのリタイヤはないよ」
「もう一歩も動けない。重大なけがと同じなんだけど・・」
「半分は行こうよ。かんばろ!」クリスティンが声をかけた。
「あなた、前向きね」
「えへ。救護係ですから」
「へえ、頼りなるねえ。確かにそれも救護だ。見直した」とアロンが感心しながらイザベルのところに来た。
「足出して」
「え?」
「前に投げ出して伸ばして。そうそう」
アロンはイザベルのふくらはぎを揉み始めた。
「あ、あ、・・」イザベルは恥ずかしさのあまり顔を赤くした。
「うわぁ・・」とその横のクリスティンも顔を赤らめる。
「血行よくすると疲労物質が流れて回復するぜ」
太ももにまで手を伸ばしたところで
「いや、やだぁ!」とイザベルに拒否された。
「アロン君、わたしやるよ。レディーの太ももは男子にはちょっとね」とカーラがバトンタッチした。
「あ、そう。そうだよね」
「アロン?触ってもいいからわたしの足、揉んで」シャルロットがズボンの裾をまくって、そのすらりときれいな足を出している。
「自分で揉め。余裕じゃん、おまえ」
「なんでよ!後でやりたいって言っても触らしてやんないからね」
「あの美女様、俺が揉みましょうか」と下心ありそうなアンザックが這ってやって来た。
「美女様だって」ぷぷっとダーニャは笑った。
「あんたが?・・・・じゃあやって」
「失礼しまーす」
「いたたたたた!あんた下手っぴ!もういい!」シャルロットはアンザックを遠ざけると自分で揉み始めた。


次回「オリエンテーリング (5)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (3)」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆


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オリエンテーリング (5) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第5回
<オリエンテーリング (5)>

20分ほどの昼食と休憩をしてB班は出発した。
次なる目標は中間チェックポイント、はげ山から見える2つ向うの尾根の上の大きな岩である。
「クスス山から下るいくつもの尾根と、その間の谷をまっすぐ貫く方向にチェックポイントがある。わざわざきついルートたどらされるように仕組まれてるぜ」ジョンも仕掛けが見えてきてうんざりしてきた。
一つ目の尾根を越えるポイントは、ちょっと尾根が切れこんで低くなっているところを選んで目指したが、こんもり深い森と、降りてみると小さな起伏のある複雑な地形の谷底になっていて、底近辺を通過するとき、方向が怪しくなってしまった。
磁石を持っているものの、さっぱりわからなくなったアンザックがアロンに声をかけた。
「どっち方向だっけ?」
「いやあ、だいたいこっちだろうけど、俺もよくわかんねえや」
「ま、迷ったんですかぁ?」クリスティンがすごい不安そうな顔をする。
「あれ?美女さん、ウォルトどうした?」とアンザックがシャルロットに聞く。
「だいぶペースが落ちてたよ。イザベルとなかよく倒れてんじゃない?」とシャルロット。
来た方を見渡すと、しんがりを務めるジョンの頭が見えた。

ウォルトとイザベルが木の杖をつきながらやってきて、追いつくとどっと座り込んだ。
「アロン、俺、水が尽きた」ウォルトが空の水筒を振る。
「3リットルは持ってたろ?」
「飲み干した」
「水の補給も考えなきゃか」
「下りきったら底の方に沢くらいあるんじゃなない?」カーラが水のありそうな方を指した。
「そうだな。でもあそこまで下ったら戻るの大変だぜ。ウォルト、進む方向がよくわかんなくなったんだけど、どっちの方だと思う?」
「え?この方角だろ」と自身満々に手を上下して行く先を示した。
「ウォルト君、方向感覚すごいねえ」とカーラが感心する。
「へえ、空間を把握する能力に長けてるんだな」アロンも感心した。
「じゃあ褒美に水くれ」
「しょうがねえなあ」
「私もまだあるから、あげるわ」とウォルトの水筒は、カーラとアロンによってで1リットル近く補充された。

次回「オリエンテーリング (6)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (4)」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆


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オリエンテーリング (6) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第6回
<オリエンテーリング (6)>

ウォルトの方向感覚のおかげで一行は目標の切れこんで尾根が低くなっているところにたどり着いた。振り返ると、今たどってきたルートがよく分かった。
「こっちから見ると底の方の地形がよくわかる。俺らのたどった道は全然ベストじゃないな」とアロンが言うと、
「下るの途中でやめて、あの辺から斜面をずっと横にくればよかったのね。そんな急な斜面じゃないし」とカーラも気付いた。
「カーラ、地形見るのがうまいね。山登りするの?」
「いいえ?」
「じゃあ、この数時間で鍛えられたんだ」
「もっと・・いい道、あったの?うえっ」イザベルが咳き込みながら残念そうに言うと、
「でもイザベル、よく頑張ってるわ」カーラがイザベルの背中をたたきながら励ました。

下りきると、中間チェックポイントのある尾根の下まで来た。ここは枯沢のようだ。ここから先の斜面は木が少なめで、チェックポイントの岩までよく見える。すると下っている人たちが見えた。A班に違いない。
「あれ、A班じゃない?」クリスティンが言う。
「あたしら負けてんじゃん」シャルロットが少し悔しそうに言う。
「あんなところ行くわ」カーラがそのA班の進む方向に感心を示した。
「確かに。ものすごい急な崖っぽいところなのに」アロンも不思議に思った。
だがどうやらそこは岩の間にいいルートがあるらしい。垂直な崖をたどることなくそこを通過した。
「下からは見えない道が、上からだとわかるのね・・参考になるわ」
アロンはこの先どう行動すべきか方針が決まった。
「ジョン、もうちょっと登ったところでA班にご挨拶しようぜ」
「ああ、この先のこと聞けるかな」
「何が何でも聞かなきゃダメだって」

次回「オリエンテーリング (7)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (5)」
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オリエンテーリング (7) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第7回
<オリエンテーリング (7)>

大きな岩が突き出たところでB班は止まった。5分もせずA班がそこに到着した。
「勇夫、早いなお前ら。ちょっと休憩して行けよ」
「よお、アロン。どうだ?そっち。リーダー、ちょっとキューケイ!」
A班にいる天月勇夫とレソフィック・ルザルトはアロンの幼友達で、気心知れた長い付き合いである。
「なんだよ、チェックポイントで休んだばっかりじゃないか」
A班のリーダーはチャン・リーウェイ。リーダーを買って出るほど先頭に立ちたい男である。
レソフィックも休憩に援護である。「情報交換は大事だろ。休む価値あるって。まあちょっと待てや」
「じゃあ、5分な」
A班、B班入り混じっての休憩になった。
勇夫がルート状況を聞いてきた。
「この先どんな道だ?」
アロンが答える。
「道なんてねぇよ。洗濯板のようにある尾根と谷をいくつも越えるんだ。森ばかりだから、高いところに登ったときにしか行き先は見えないし。でもウォルトがすごく方向感覚よくてさ、ほとんど狙ったルートで来れたんだ」
「へえ、その割には時間かかってるじゃんか」
「イザベルとウォルトが結構疲労ひどくてさ。ペースゆっくりだから。ところでそっちの道は?」
これにはレソフィックが答えた。
「中間チェックポイントへ登るところ以外はほとんど渓谷沿いだった。明確な道はやっぱりなくって進みづらいんだけど、基本川に沿っていく感じだから、ルート的にはそんな難しくないよ。ただ1回違う川に行っちゃって、1時間タイムロスしたんだ」
勇夫が付け加える。「それでリーダーがすげえ怒っちゃってさ。チャンは、まあ責任感もあるし負けず嫌いなのはいいんだけど、少々自分の意見を押し付け気味でいかん」
アロンは驚いた。「1時間タイムロスしてここ?。ってことは順調なら1時間前にここ通過してたかもしれないんだ。いいペースだな」
「俺らの班、体育会系だからな。テニス、サッカー、バスケ、俺とレソフィックは知っての通りだ」
そうなのだ、勇夫、レソフィック、アロンは少々武道をやっている。
テニスとはミシェル・グレイスのことだ。長身に優男な顔立ちで、女の子に人気のありそうな奴である。
サッカーはパウロ・サンチェス。175cmの南米系の血筋は、ぶつかってもびくともしなさそうな足腰をしている。
バスケといえばキャリー・バルモア。女子ながらクラス一の187cmという長身。バスケ部優待生として入学している。
「あの小さいメガネと美少女も体育会系か?」
メガネとは小泉裕美子。背丈は150cm台半ば。相当視力が悪いらしく、おとなしくってまるで目立たないところにメガネをかけているので、よけい表情がよくわからない。
美少女とはシャノン・レイベン。こちらは小泉よりさらに小さい150cm台前半。さらりとした金髪の長髪で、可憐という言葉がぴったりあう女の子だ。
「2人とも小柄だから身が軽いみたいで、別に足手まといにはなってないよ」
A班にはさらにハウル・レリコールという女子がいる。ハウルは背丈160cm。こちららも顔やしぐさはかわいい系なのだが、考えや行動がやたらと過激で、そのエネルギッシュぶりから、ここで運動部系に遅れを取るとは到底考えられなかった。
「いいな、お前のところの班。森の木もなぎ倒して進めそうだ」


次回「オリエンテーリング (8)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (6)」
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オリエンテーリング (8) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第8回
<オリエンテーリング (8)>

女子同士も盛んに話をしていたところ、A班リーダーのチャンが急いで出発を告げた。
「おい、A班そろそろ出発するぞ!みんな敵に情報渡しすぎるなよ」
A班リーダーにむっとする勇夫。
「なんでだよ!渡して何が悪い」
勇夫が言い返えしたたとたん、意外なところから援護射撃がきた。メガネの小泉が言い返してきたのだ。
「もっと情報をあげて、こっちも情報をもらうべきだと思います」
「なに?」
「リーダーは何を優先するんです?」
「な、何って、完走に決まってるじゃないか」
「リーダー、B班の人の話、少しは聞きました?この先の道、今までとは地形も様子も違いますよ。完走したいならもっと情報聞くべきです」
おとなしいキャラと思った小泉だが、よっぽど思うものがあるのか、リーダーに食ってかかっている。
「でも、ただじゃ情報くれないだろう?」
勇夫も参戦した。「こっちの情報渡して何が悪いんだ?」
「だって勝ちたいだろう?情報渡したら、それだけ不利になるんだ」
アロンも馬鹿らしくなって加わった。「30分以上に相当する距離の差をつけられて、その上こっちはゆっくりペースでしか動けないのがいるのに、勝負もなにもあるかよ。その前にクラスメイトって考えないのかよ」
小泉はあくまで正論でチャンに挑む。このメガネはかなり頭がいい。
「B班はここまで5時間以上かかって来てます。私達が体力に任せて進んでも4時間かかれば18時過ぎますよ。オリエンテーリングエリアはクスス山の東側、太陽はクスス山に隠れて日が暮れるのがきっと早いわ。森の中はあっという間に真っ暗になります。日のあるうちに抜けるためにも道を教えてもらった方がいいです。でないと完走も危ないと思います」
チャンが黙りこくった。
それまで両手を胸の前に合わせて様子を聞いていたハウルが、小泉の頭を勢いよくパーンと引っぱたいた。
「裕美子、よく言ってくれた!リーダー、ちょっとあなた今まで自論を通しすぎ。あのさ、B班は知らないかもしれないけど、定時連絡のときドジ担任が口滑っちゃって、まだAクラスもBクラスも完走した班がないんだってことがわかったの。それ知ったらもうリーダー目の色変えちゃってさ。俺の班がやるんだ、俺の班がって」
「小泉さん、すごいわ。日が暮れてからのことまで考えが及ばなかった。私達、ペースが遅いのに日が落ちたら、もう抜けられないわよ」カーラが危機感に襲われた。
アンザックはそれを越えて恐怖感に襲われている。「俺、暗いとこやなんだよー。冗談じゃねえよ」肝っ玉の小さい奴だ。
B班リーダーのジョンがチャンに話しかける。
「このオリエンテーリングの目的はクラス内競争より、クラスの団結なんだろう?力貸してくれよ」
「俺・・・なんかみみっちいな」チャンが力なく言う。
それを聞いてハウルが発破をかける。「リーダー、そう思うなら目標変更!いつまでもくよくよしてないで、ほら」
小泉がもう一度同じ問いをかけた。「リーダー、何を優先しますか?」
チャンはすっくと立ち上がった。気持ちの切り替わりが早いのも彼のいいところだ。
「わかった・・他のクラスが果たせなかった完走。・・それもクラス全員の完走だ!」
わあ!っと歓声が上がった。
「よく言った、チャン!」アロンや勇夫がチャンの背中を叩く。

暗闇に身の危険を感じるアンザックが、すぐさま行動に移った。「ウォルト、お前早くルート記録したノート出せ。A班記録係誰だ?見せっこしようぜ」
記録係は小泉だった。「わたしです」
ウォルトがノートを振りかざして、「記録係だけじゃ写すのに時間かかるよ。みんな手伝って」
アロンが口を挟んだ。「ノート交換しちゃえよ。いらないだろ、今まで通ったところのことなんて」
「名案です」と小泉も賛同した。
そこへレソフィックが意見した。「その代わり、両方の情報で地図を完成させないか?もらってる地図は位置関係はわかるけど地形がわからない。大雑把でも地形と道が書き足せればだいぶ違うと思うんだけど」
わらわらと集まってお互いの地図に書き込みが始まった。地形と道が書き足され、クスス山周辺のオリエンテーリング会場の全体像が浮かんできた。

B班からもらったノートに目を通していた小泉がウォルトに声をかけた。
「これ・・面白いですね。水の消費量が書いてありますけど、もう使い切っちゃったんですか?」
するとシャノンがうれしい情報をくれた。
「この尾根の向こうに水源があるわよ。浴びるほど沸いてるから汲んでいきなさいよ」
「ほんと?クスス山のおいしい水?やった、おみやげにしよう」
「降りるまでに飲み干さなきゃな」現実をさらりと言ってのけるシャルロットだった。

次回「オリエンテーリング (9)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (7)」
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オリエンテーリング (9) [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第9回
<オリエンテーリング (9)>

18時わずかにちょっと前、クスス山の陰になった東山麓の森の中は、とっくに暗くなっていた。その中の獣道をライトの光がピカリ、ピカリと光る。A班ゴール地点(B班スタート地点)で待つC組担任はその光を認めた。
「おーい!ここだあ!もうすぐゴールだぞー!」
その声を聞いたか、ライトの光は急に元気付いたようにせわしなく動き始め、そのうちのひとつが勢いよくこっちへ来た。元気にゴールへ飛び込んだのはサッカーで鍛えた足とスタミナのパウロだった。ガッツポーズだ。
「いやっほう!」
「パウロー!やったあー!!」
その後をキャリーが続いて来た。
「ゴール?ここ。やったわー!ここだよー!もう少し、がんばって!」
集団が続々とかたまってやってきた。
チャンが、勇夫が、ハウルが、ミシェルがゴールした。
少し離れて最後の集団が。体力的に不利な小泉とシャノン、そしてそれをフォローしているレソフィックだ。特にシャノンはだいぶ疲れていた。
「シャノンさん、ゴールですよ。見えます?」小泉が声をかける。
「見える、もうちょっと」シャノンの目には涙がにじみつつあった。「あれ、見えなくなってきた・・」
小泉がシャノンの手を引く。レソフィックも手を引く。
先にゴールしたみんなが手をたたいて激励していた。
あと5メートル。あと2メートル。
レソフィックは2人の後ろに回って背中を押した。小泉とシャノンは、ハウルとキャリーが肩を組んだその中に倒れ込んだ。みんなが取り囲んだ。
「わおー!!」
「やったー!完走したぞー!」
「よくやったー、おまえたち!」

だが、その感激はすぐ静まった。
A班リーダーのチャンがC組担任に詰め寄る。
「B班は?B班はどうなった?!」
「え?B班?うん、B班は最後のチェックポイントを30分前に通過した」
「スタートからチェックポイントまで俺らの班でだいたい1時間だったな。今どこだ?どんな状況だ?」勇夫も詰め寄る。
「お前たち、A班が通ったルートを教えたんだろう?ゴール前の山道にさえ出られれば、暗くても道に迷うことはないよ」
「山道まで出られたんですか?」
「体力的にやばいヤツがいるだろう?どうなった?」
「・・イザベルとウォルトは相当きてるそうだ。ダーニャも転んで足を怪我したって。それにクリスティンが靴擦酷いらしい」
レソフィックが心配そうに言う。「満身創痍だな」
担任は時計を見た。「もうすぐ定時連絡だ」
連絡が来るまで張り詰めた空気が支配する。
天幕の下のテーブルの上の電話が鳴った。B班の定時連絡だ。みんなが集まる。担任が電話に出た。
「カーラか?どの辺だ?道に出たか?」

次回「オリエンテーリング (10)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (8)」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆


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