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<初登校日(3)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第19回
<初登校日(3)>

教壇の上に置かれたくす玉が鈍く光るC組の教室。

全員揃っても窓側の左後ろの席は空いていた。レソフィックが担任に聞く。
「ドジせんせー。ここなんで空いてんの?」
「ちきしょう。初日数分でなんと不名誉なあだな・・一生の不覚をとったぜ・・。そこか?そこはキャリー・バルモアという女子の席だ。バスケ部優待生として入学した子で、187cmという長身の持ち主だ。始業式前から本校のバスケ部の春期合宿に参加中で、明日初めてこっちに来ることになっている」
「へー。そりゃでかい。それじゃ前のほうの席には座れないな」

「ところで、なんでお前ら3人そろって並んでるんだ?たしか知り合いだよな」
「え?連番だったんだよ。ちゃんとよく振って入れたのかぁ?」
「連番?おっかしいな。ちゃんと混ぜたのに・・まあいいや。それじゃお前ら3人で明日来るキャリーの歓迎の準備をしろ。朝のホームルームで連れてくるから」
「えー?!今日は放課後用事あるんだけどなあ」
アロンがぶーたれる。
「そういうことは1週間前に秘書に伝えてスケジュール調整してもらわないと」
と勇夫がありもしないことをいう。
「お前らの席と引き換えだ。やらないんならシャッフルしちゃおうかなー」
「えー?きたねー」

するとアロンの横にいた裕美子が手を上げた。
「あの・・私やってもいいです。・・女の子の歓迎だし、男の人が考えるよりはいいかなと思って・・・。教室飾ったりしていいんでしょうか?」
するとハウルが同調した。
「そーだよ。男に女の子の歓迎なんて、どんな的外したことするかわかんないわよ」
そして
「私もやる。あなたもやってみる?」
とハウルは自分の横の席のシャノンを巻き込み、さらに
「あとその人もやりたいって。推薦でそこの人も」
とクリスティンにカーラを有無を言わさず巻き込んだ。
「へえ、いいのかい?それはにぎやかでいいや。じゃあ頼むよ。勇夫達は別のときにこき使うとしよう」
「うぇ。ちゃんと秘書通してくれよ」

ひとまず一見落着した。
「すまん、ありがとう」
と3人は裕美子に手を合わせる。
裕美子はめがねを直して、
「なにか用事があるようですし・・高くつくかもしれないですよ」
と不気味に答えたのだった。


ハウル、カーラ、クリスティン、シャノン、裕美子の女子は、居残って担任の作ったくす玉を調べる。
クリスティンはうんうんうなりながらくす玉と格闘していた。
「つなぎ目がぜんぜん離れないわ。何でくっつけたのかしら」
それを覗き込みながらカーラが
「ドジ先生の頭に当っても割れないんだから、くぎでも使ったんじゃないの?」
と言うと、ハウルは早々に普通に開けることを諦めた。
「紐引いて割るのはあきらめて、思いっきり何かにぶつけて開くようにしようか」
ハウルは見かけによらず荒っぽい女の子であった。


次回「初登校日(4)」へ続く!

前回のお話「初登校日(2)」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆


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