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<学内ライブ(6):ユーリ、美女を制す> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第140回
<学内ライブ(6):ユーリ、美女を制す>


さて、デートと称して落ちあった2人。休憩中にさっそくひと悶着なりそうだった。

「ところでメガネになんて言われて、今日デートなんて誘う気になったの?」
「美女が無茶な申請出してるから相談に乗ってやってくれって」
「むちゃな~!?」
「学校外のバンド呼ぼうとしてるんだって?」
「私のいつものバンドメンバーだけど?いけない?」
「うちの生徒のための学内ライブだからなー。そりゃ抵抗あるだろう」
「だって聞いた?うちの学校に存在するバンドの演奏。いくら田舎とはいえ、あんなレベルじゃ、私ぜんぜん引き立たないわ」
「たまには他の人を引き立ててみたら~?」
「どうして私がへりくだるような事しなきゃならないの、冗談!」
「そんなだから、他の人が霞んじゃうんだよな」
「あのね、考え方を変えてよ。私がパワーを落として周りに合わせてもつまんないのよ。パワーをぶつけ合ってお互いが引き立つってのが理想でしょ」
「ああ、なるほどね・・それは正論だな。でもそういう相手ってそうそういないだろうから、かなーり難しそうな注文だな」
「学内ライブに関しちゃ、私のいつものバンド!決まり!」

勝手に結論出されたところで、アイスコーヒーで一息入れる。
パワフルで相手してるだけでかなり疲れる。
ハウルも相当パワフルだが、こんな疲れ方はしない。どうにも相性があわないようだ。




しばらくアイスコーヒーで充電すると、次の話題に行った。

「おまえさあ、本気で俺と付き合おうって思ったのか?」
「だってフリーみたいだったじゃん。カーラとかまとわり付いてたけど、恋人でもなさそうだし」
「カーラか・・」

アロンは裕美子ともめてる関係者をもう一人認識した。
『カーラと小泉も友達だったのに、今の2人には重荷になってるな』

「他にもずいぶん人気者になったじゃない。だいたい私の誘いを断ってくるなんて思いもしなかったわ」
「すげえ自信。なるほど、人気者になった俺を腰袋にぶら下げて歩いて、見せびらかしたかったんだ」
「・・・はっきり言うわね」

アロンはふんぞり返ってアイスコーヒーを飲みながら美女を凝視する。美女も。そんなことで目線をずらすような女ではない。

「俺を振り回す奴が世にいてもいいけど、美女じゃない」
「なんですって?」
「付き合うなら長く続く人がいいよ。さっき美女も言ってたけど、お互いが引き立つのが理想だって。わかるだろ、一緒にいて。俺達はお互いを引き出すには、力の方向にずれがあるじゃん」
「ふん、ゆうこと聞いてくれないやつだとは思ってたけどね!」
「わるいね。あ、でも今日はちゃんと相談に乗るよ、ライブの話」
「なんか策あるの?」
「俺がどうこうできるわけじゃないけど、助けっとを探しておいたよ。もうすぐ来るかな」

もうすぐ現れたのは裕美子だった。
「め、メガネ?!」
「美女さん、うまくいってますか?」
「腹立つ~!わかってるくせに!」
「もう一人連れてきてます。ユーリ・ラトキンさん」
「こんにちは、君がうわさの美女さん?」


ユーリも加わって4人で美女のライブについての話が始まった。

「ユーリさんは本来生徒会の方なんですけど、実行委員側にも入っていて、全体の演出を取り纏めているんです」と裕美子が紹介した。
「で?何曲歌わせてもらえるのかしら?10曲くらい?」
「それは無理だ、君だけのライブじゃないんだぜ。一応今の出場者数では1グループ3曲を目安にしてる」
「え?たったそれだけなの。がっかりだわ。ところで、バンドメンバーは私のいつもの連中でやりたいんだけど」
「それなんだ、うちの生徒じゃないんだろう?」
「うちの学校にどれほどうまいのがいるっての?私の可憐なるステージに釣り合うだけのバンドがいるなんて聞いたためしがないわ・・・いっとくけど、マジである程度のレベルいるよ」
「ずいぶんな自信だな」
「普段からなんにでも自信過剰ではあるが、歌は実際ずば抜けてすごいよ」
アロンが美女を援護する。裕美子もうんうんとうなずいた。
「でしょう?アロン。さすがだわ、判ってるのねぇ」
「でも基本的にうちの学校のライブだからねえ・・」
「いっぺん聞いてみるといいわ。練習でもいいからいっぺん見に来て見なさい。見てみりゃうちの学校のバンド連中、恥ずかしくってみんな辞退するわよ」
「でも俺一人じゃ決定できないよ。実行委員の大半が認めないと・・・。どうしようかな・・・。じゃあ、いい日を言ってくれるかい?」
「いつでもいらっしゃ~い、だいたい週2回やってるから。かるーく感激させてあげるわ」

自信はあるとはいえ、かなりなめた態度であった。真剣だったユーリが怒る。

「・・・おい、ざけんなよ。仮にもうちの学校のイベントに部外者を呼ぼうってんだ。みんなにぐうの音も出ないくらいやらねえと、そんなわがまま通ると思ってんのか?!本気でやる気なら本気でプレゼンしろよ!」

さすがの美女もびくっとした。ユーリはかなり本気らしい。

美女はちょっと縮こまって手帳を確認すると、
「20日がいいわ・・18時からよ」
と神妙に答えた。
「来週の20日?わかった、ちょっと委員のみんなの都合聞いてみるから」
とユーリは立ち上がった。電話をかけに行ったようだ。

ユーリがいなくなったところで美女が口を開く。

「何よあいつ、偉そうに」
「いや、実際偉いんです」と裕美子。
「へへ、珍しい、迫力負けしてやんの」とアロン。
「か、からかわないでよね!」
「美女さん相当に無茶な注文してたのに、取り合ってくれてますね」
「無茶!?裕美子、あんたが言いだしっぺね!?どうりでアロンがさらりときついことゆうと思った!」
「美女さん、ユーリさんは冗談にしてませんよ。ちゃんと答えてあげようとしてるじゃないですか」

美女がめずらしく赤面しながら答えた。

「・・・わかってるわよ」


次回「学内ライブ(7):でこぼこが合う人」へ続く!

前回のお話「学内ライブ(5):まずは美女から」
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コメント 2

TSO

bitさん、kuzeさん、HAtAさん、無人運転が続いてる中、いつもniceありがとうございます。
次回は挿絵を考えていたんですが、間に合わないかも~。そしたら下書き絵のまま載せちゃうかも~。
by TSO (2010-10-22 23:36) 

TSO

xml_xslさん、ほちゃさん、タッチおじさんさん、やまさん、ケンケン@さん、niceありがとうございま~す。
by TSO (2010-10-24 20:02) 

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