<球技大会(6):この人の横がいい> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第152回
<球技大会(6):この人の横がいい>
その後、裕美子は修理がすむまでしばらくメガネなしで学校に通った。
裕美子親衛隊メガネない派のミシェルは大喜び。リーダーもまた喜んでいた。
そして実は裕美子の隣のアロンも。
黒板がよく見えないので裕美子はアロンにしょっちゅう聞いてくるのだ。そのたびにメガネのない裕美子の顔をよく見る。まさか一日中この顔が見られるとは・・。
アロンはその横顔を眺めていた。
すると裕美子の左手がそろりとこっちへ伸びてきた。
「あ、あの、アロン君、あそこなんて・・・」
アロンの方に顔を向けた裕美子は、ずっと見られていたらしいことに気付いて、ほほを赤く染めると顔をノートに落としてしまった。
メガネがないと、いつもはわからない感情がよく見えて新鮮である。
しばらくしてピンク色のほっぺたをのぞかせながら裕美子が口を開いた。
「・・アロン君、最近よくわたしの顔見てる気がしますね。・・・もしかしてメガネないわたしの方が好み?」
「え?そ、そうだな。というか、メガネの小泉がいいって人、聞いたことないけど」
「じゃあ、メガネ直ってきても外してましょうか?・・・アロン君と一緒のときだけ・・」
アロンもまた赤くなった。
-----
ある日、パウロがサッカーで怪我した足の検査で学校を休んだ。
「あ、そう。今日パウロ検査か。じゃあこの席、1日空席か」
これはいい機会とミシェルは裕美子のところへ行った。
「小泉君、今日僕の横の席空いてるんだが、こない?ここだと黒板見えないんだろう?アロンに聞いてばかりじゃないか」
アロンは頬づえをついてぼーっとしていたが、そのままの姿勢で顔だけミシェルに向けて言った。
「別に迷惑してないよ。俺、遠視なくらい遠目が効くから、見えない小泉とのギャップが面白いんだよね」
「でも少しはアロンを解放してあげたらどうだい?」
「構わないってのに」
困ったなという顔の裕美子だった。ちょっと席を立ち上がって空いているパウロの席を確認する。
しかしミシェルの顔を見ると首を横に振った。そして2歩左横へ、つまりアロンの後ろへ寄ると、
「わたし・・」
背中を丸くしているアロンの服に右手を伸ばしてつかみ
「この人の」
左手も背中に乗せた。
「横がいい・・」
びっくり仰天するミシェル。
背中をつかまれたアロンもまたびっくりして起き上がった。
「こ、小泉かわいいー。・・えー?!あれ?お前らそういう仲?」
「ま、まだだ、まだ!」
「なんだ?まだって」
アロンが起き上がってもまだ裕美子はつかんだ服を放してなかった。そして腰から上をちょっと折ると、その背中にぴとっと数秒体をくっつけた。
ざわわっとクラスの女子がざわめく。
何事もなかったように離れて席に着くと
「ここで大丈夫です。こめんなさい」
とミシェルに言った。
しばらく唖然のミシェルだったが急にアロンの背中をばしばしたたいて
「かわいー!そういう玉とは思わなかったよ。どこまでも意外だなあ君は。じゃ、俺は遠慮しとくよ、またな」
アロンは背中にジーンと広がる痛みをこらえている。
次回「球技大会(7):ほっぺた」へ続く!
前回のお話「球技大会(5):本番試合の行方は?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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<球技大会(6):この人の横がいい>
その後、裕美子は修理がすむまでしばらくメガネなしで学校に通った。
裕美子親衛隊メガネない派のミシェルは大喜び。リーダーもまた喜んでいた。
そして実は裕美子の隣のアロンも。
黒板がよく見えないので裕美子はアロンにしょっちゅう聞いてくるのだ。そのたびにメガネのない裕美子の顔をよく見る。まさか一日中この顔が見られるとは・・。
アロンはその横顔を眺めていた。
すると裕美子の左手がそろりとこっちへ伸びてきた。
「あ、あの、アロン君、あそこなんて・・・」
アロンの方に顔を向けた裕美子は、ずっと見られていたらしいことに気付いて、ほほを赤く染めると顔をノートに落としてしまった。
メガネがないと、いつもはわからない感情がよく見えて新鮮である。
しばらくしてピンク色のほっぺたをのぞかせながら裕美子が口を開いた。
「・・アロン君、最近よくわたしの顔見てる気がしますね。・・・もしかしてメガネないわたしの方が好み?」
「え?そ、そうだな。というか、メガネの小泉がいいって人、聞いたことないけど」
「じゃあ、メガネ直ってきても外してましょうか?・・・アロン君と一緒のときだけ・・」
アロンもまた赤くなった。
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ある日、パウロがサッカーで怪我した足の検査で学校を休んだ。
「あ、そう。今日パウロ検査か。じゃあこの席、1日空席か」
これはいい機会とミシェルは裕美子のところへ行った。
「小泉君、今日僕の横の席空いてるんだが、こない?ここだと黒板見えないんだろう?アロンに聞いてばかりじゃないか」
アロンは頬づえをついてぼーっとしていたが、そのままの姿勢で顔だけミシェルに向けて言った。
「別に迷惑してないよ。俺、遠視なくらい遠目が効くから、見えない小泉とのギャップが面白いんだよね」
「でも少しはアロンを解放してあげたらどうだい?」
「構わないってのに」
困ったなという顔の裕美子だった。ちょっと席を立ち上がって空いているパウロの席を確認する。
しかしミシェルの顔を見ると首を横に振った。そして2歩左横へ、つまりアロンの後ろへ寄ると、
「わたし・・」
背中を丸くしているアロンの服に右手を伸ばしてつかみ
「この人の」
左手も背中に乗せた。
「横がいい・・」
びっくり仰天するミシェル。
背中をつかまれたアロンもまたびっくりして起き上がった。
「こ、小泉かわいいー。・・えー?!あれ?お前らそういう仲?」
「ま、まだだ、まだ!」
「なんだ?まだって」
アロンが起き上がってもまだ裕美子はつかんだ服を放してなかった。そして腰から上をちょっと折ると、その背中にぴとっと数秒体をくっつけた。
ざわわっとクラスの女子がざわめく。
何事もなかったように離れて席に着くと
「ここで大丈夫です。こめんなさい」
とミシェルに言った。
しばらく唖然のミシェルだったが急にアロンの背中をばしばしたたいて
「かわいー!そういう玉とは思わなかったよ。どこまでも意外だなあ君は。じゃ、俺は遠慮しとくよ、またな」
アロンは背中にジーンと広がる痛みをこらえている。
次回「球技大会(7):ほっぺた」へ続く!
前回のお話「球技大会(5):本番試合の行方は?」
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こんばんは~
イラストいいですね~~
アニメのワンシーンを見てるようでした^^
by ケンケン@ (2010-11-25 01:00)
xml_xslさん、K-STYLEさん、takemoviesさん、bitさん、HAtAさん、kuzeさん、りたーむさん、ケンケン@さん、ヒロさん、あすぱいさん、niceありがとうございます。
ヒロさんはいつものヒロさんじゃなくてはじめましてでしょうか?今後ともよろしくです。
K-STYLEさん、過去記事にもたくさんのniceどうもですにゃ。
ケンケン@さん、コメントありがとうございます。
おおー、そう言っていただけると描いたかいがあります。
アニメみたいなのは、コマ割無視して1場面1場面を思い描いて描いたからですかね~。
元々は後ろから2コマ目を描きたくって半年近く落書きしてたんですが、10コマセットにしてようやく気持ちが落ち着いたって感じです。
by TSO (2010-11-25 22:18)
訪問&niceありがとうございました。
素敵なブログですね!
これからもどうぞよろしくお願いします。
by ヒロ (2010-11-26 14:18)
(。・_・。)2kさん、店長さん、はじめまして&niceありがとうございます。
ヒロさん、コメントありがとうございます。
by TSO (2010-11-27 20:59)