<スキー旅行(3):ウォルトvsイザベル> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第182回
<スキー旅行(3):ウォルトvsイザベル>
12月30日
朝無事にスキー場に着き、というか、追い越し車線をぶっ飛ばしたバスは早くスキー場に着きすぎた。
その分みんな&運転手さんは駐車場で仮眠を取って、すっきりした顔で起きてきた。
ウェアを着替えてみんなはゲレンデに立った。
いい天気である。広いゲレンデはまだ早朝のせいもあり人もまばら。ロッジ前の広場で道具の準備をしている人の方が多そうである。
体育委員の勇夫の音頭で準備体操をし終えると、ジョンが見回しながら聞いた。
「初心者っているんだっけ?」
クリスティンが手を挙げた。
「わ、私今回で3回目なので、あんまりうまくないです」
するとイザベルが
「私も似たようなもんよ。とりあえず自力で降りられればいいのよ」
と言った。
「みんな一応滑れるんだな?それじゃ第1リフトで足慣らしに1本滑ろうか」
ジョンの提案で、目の前の第1リフトをみんなで上がった。
なおスキーは
ハウル、美女、アンザック、クリスティン
ショートスキー
アロン、裕美子、レソフィック、カーラ
スノーボード
勇夫、イザベル、ミシェル、ジョン、シャノン
ソリ
ウォルト
リフトで上に着くとウォルトがいき巻いた。
「イザベル、勝負だ!」
「え?本当にやるの?
「当たり前だ。ソリ歴13年を馬鹿にされちゃ困る」
「あたしそんなにうまくないのよね」
「それなのに俺を馬鹿にしたのか?!」
「わかったわよ。やるわよ」
「よーし。じゃイザベル、先行っていいぞ」
「え?いいの?じゃあ、先行くわよ」
イザベルはスノボをセットすると、一足先に降りていった。しかしエッジを効かせた滑りではなく、ずらし滑りで、スピードはぜんぜんである。イザベルはまだスノボキャリア浅いようだ。
とはいえあまりにも先行させるのでレソフィックが心配する。
「いいのか?あんなに行かせちゃって」
「言ったろ?俺速いんだって。なにしろ地球に愛されてるからな」
「なんだそれ」
「地球が強烈に俺を引っ張ってくれるのさ」
シャノンが胡散くさそうに言う。
「それって、体重が重いからって言ってる?」
「まああ見てなって!よーし、行くぞチェイサー!」
ウォルトがスタートした。それは直滑降のごとく、緩斜面なことをいいことにまっすぐ加速しながらイザベルの方へ驀進していった。
「速ええ!!」
驚く勇夫。アロンもその無駄のない滑走を見て感心した。
「うわ、余計な抵抗がかからないように、うまくソリに乗ってやがる」
「でもソリって急に曲がれないんだろ?あれ、危ねえんじゃねえの?」
ジョンは何となく胸騒ぎがした。
ソリは勢いを増してイザベルの横をかすめて、あっという間に抜き去った。
アンザックとミシェルが手をたたいて喜ぶ。
「うおー!ぶち抜いたぞ」
しかしそれであきらめることなく、さらに加速していくウォルト。あるいは制御できないのかもしれない。
それを裏付けるかのように券売所の横の吹き溜まりへ、まったくスピードを緩めることなく突っ込んで行って、雪の塊を吹き上げて大爆発した。
みんな唖然とする。
シャノンは半ば呆れたように言った。
「やっぱ、あいつ人間じゃないよ」
ハウルも笑うに笑えず。
「どうする?一応無事か様子見に行く?」
次回「スキー旅行(4):計算高い人?」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(2):バスもハウルが手配した」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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<スキー旅行(3):ウォルトvsイザベル>
12月30日
朝無事にスキー場に着き、というか、追い越し車線をぶっ飛ばしたバスは早くスキー場に着きすぎた。
その分みんな&運転手さんは駐車場で仮眠を取って、すっきりした顔で起きてきた。
ウェアを着替えてみんなはゲレンデに立った。
いい天気である。広いゲレンデはまだ早朝のせいもあり人もまばら。ロッジ前の広場で道具の準備をしている人の方が多そうである。
体育委員の勇夫の音頭で準備体操をし終えると、ジョンが見回しながら聞いた。
「初心者っているんだっけ?」
クリスティンが手を挙げた。
「わ、私今回で3回目なので、あんまりうまくないです」
するとイザベルが
「私も似たようなもんよ。とりあえず自力で降りられればいいのよ」
と言った。
「みんな一応滑れるんだな?それじゃ第1リフトで足慣らしに1本滑ろうか」
ジョンの提案で、目の前の第1リフトをみんなで上がった。
なおスキーは
ハウル、美女、アンザック、クリスティン
ショートスキー
アロン、裕美子、レソフィック、カーラ
スノーボード
勇夫、イザベル、ミシェル、ジョン、シャノン
ソリ
ウォルト
リフトで上に着くとウォルトがいき巻いた。
「イザベル、勝負だ!」
「え?本当にやるの?
「当たり前だ。ソリ歴13年を馬鹿にされちゃ困る」
「あたしそんなにうまくないのよね」
「それなのに俺を馬鹿にしたのか?!」
「わかったわよ。やるわよ」
「よーし。じゃイザベル、先行っていいぞ」
「え?いいの?じゃあ、先行くわよ」
イザベルはスノボをセットすると、一足先に降りていった。しかしエッジを効かせた滑りではなく、ずらし滑りで、スピードはぜんぜんである。イザベルはまだスノボキャリア浅いようだ。
とはいえあまりにも先行させるのでレソフィックが心配する。
「いいのか?あんなに行かせちゃって」
「言ったろ?俺速いんだって。なにしろ地球に愛されてるからな」
「なんだそれ」
「地球が強烈に俺を引っ張ってくれるのさ」
シャノンが胡散くさそうに言う。
「それって、体重が重いからって言ってる?」
「まああ見てなって!よーし、行くぞチェイサー!」
ウォルトがスタートした。それは直滑降のごとく、緩斜面なことをいいことにまっすぐ加速しながらイザベルの方へ驀進していった。
「速ええ!!」
驚く勇夫。アロンもその無駄のない滑走を見て感心した。
「うわ、余計な抵抗がかからないように、うまくソリに乗ってやがる」
「でもソリって急に曲がれないんだろ?あれ、危ねえんじゃねえの?」
ジョンは何となく胸騒ぎがした。
ソリは勢いを増してイザベルの横をかすめて、あっという間に抜き去った。
アンザックとミシェルが手をたたいて喜ぶ。
「うおー!ぶち抜いたぞ」
しかしそれであきらめることなく、さらに加速していくウォルト。あるいは制御できないのかもしれない。
それを裏付けるかのように券売所の横の吹き溜まりへ、まったくスピードを緩めることなく突っ込んで行って、雪の塊を吹き上げて大爆発した。
みんな唖然とする。
シャノンは半ば呆れたように言った。
「やっぱ、あいつ人間じゃないよ」
ハウルも笑うに笑えず。
「どうする?一応無事か様子見に行く?」
次回「スキー旅行(4):計算高い人?」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(2):バスもハウルが手配した」
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by TSO (2011-02-26 16:41)