<同棲(3):許可> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第203回
<同棲(3):許可>
アロンは裕美子の場所を作るため部屋を片付けた。
一休みしたところで裕美子は実家に電話し、寮を出ることを説明した。
「・・・それでアパート見つけるまで友達の家にごやっかいすることに・・はい、はい。あ、泊めてもらうのはね、アロン君の家です。そう、お付き合いしてる人。・・OK?」
アロンは聞いててハラハラしていた。
「マジかい、女の子の家って言わなくて大丈夫かな」
「ハイ、ハイ。お母さんありがとう。お父さんにもうまく言っといてくれる?ありがとう。え?・・はい。・・・アロン君、代わってって。私のお母さん。たぶん変なことは言われないと思うけど」
来るだろうと分かってはいたが、とても心の準備などできる暇はなかった。
「・・緊張するね。許してもらえるといいけど」
汗ばんだ手で裕美子の携帯を受け取るアロン。
「も、もしもし、アロンです」
・・(アロン君、ごめんなさい娘が変なお願いしてご迷惑かけて。そちらは大丈夫なの?)・・
「ええ、僕は構わないです。裕美子さんのことご心配でしょうけど、しっかりした人ですから大丈夫かと・・」
・・(何いってんの、たまにこういう突拍子もないことしでかすから・・放っとくと心配なのよ・・でも、あなたのところに相談にいくとはねえ)・・
「いや、僕もびっくりしてます」
・・(それだけ裕美子が信頼してるってことね)・・
「いえ、そんなことは・・」
・・(あんまり誘惑しないでね)・・
「いや、裕美子さんはしっかりしてるから受け付けないと思いますけど」
・・(どうかしら。でも娘の見る目は信じてるから、あなたも信じてるけど・・間違い起こしちゃダメよ、何かあったら不幸はあなた達に行っちゃうんだから)・・
「はい、はい、わかってます。期待を裏切らないよう気を付けます」
・・(ごめんね、本当は何かあったらあなたに迷惑かけちゃうのよね・・すぐアパート探しさせるから。それまで娘をよろしくね)・・
「わかりました」
・・(私達も頼れるところが他になくて・・あの娘がこんなこと言ってくること自体すごい驚きなんだけど、それほど信頼できる人ができたことは私もうれしいのよ。でも完全に心を開くまではちょっとかかるかもね・・もう1回代わってもらえる?)・・
「はい。あ、あの、寮にはそちらからも断りいれてもらえますか?裕美子さんだけじゃ聞き入れてくれないと思うんで・・」
・・(そりゃそうよね。わかったわ。ありがとう。)・・
「じゃ、代わります。はい。」
やきもきしながら一部始終を聞いていた裕美子が携帯を受け取る。
『しかしなんだ?「完全に心を開くまではちょっとかかるかも」って』
お母さんの言葉がひっかかるアロン。
「もしもし、しっかりした人でしょう?安心して」
・・(そうね、こないだ会った時もいい感じの青年だったし、任せちゃおうかな。でも間違い起こしちゃだめよ、いい?)・・
「ありがとう、お母さん」
・・(寮への連絡だけど、明日すぐ入れておくわね)・・
「はい、お願いします」
・・(それでこの週末に人と荷物は出ちゃいなさい。事務手続きは後からでもいいから)・・
「わかりました。寮へ連絡ついたら、こっちにも知らせてください。引き上げに行きますから」
・・(分かったわ)・・
その後しばらく会話した後、電話を切った。
「これで万時OKです」
「お父さんは許してくれるかな」
「たぶん大丈夫」
1時間ほど後、裕美子の携帯に電話がかかった。
「はい、お母さん?・・お父さんに?・・よかった、ありがとう。ハイ、言っときます。はい、はい、それじゃあ、またね」
アロンは緊張して聞いていた。また代われと言われると思って身構えていた。
「はい、OKです。お父さんを言いくるめたみたい。同級生の女の子の家ってことにしたって。ご迷惑かけますがよろしくって」
「ああ、よかったね」
アロンはどっと力が抜けた。
「はー、なんか疲れた。でもお父さん騙して大丈夫かな。ばれたときが怖いんだけど」
「折を見て本当のこと話すわ。いろいろ迷惑かけて本当にごめんなさい」
当面の心配のなくなったアロンはようやく緊張が取れた笑顔になった。
「うん、いいよ。でもちょっとわくわくするね」
「ふふ、そうですね。でもけじめはつけてもらいますよ」
次回「同棲(4):初夜」へ続く!
前回のお話「同棲(2):お願い」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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「片いなか・ハイスクール」連載第203回
<同棲(3):許可>
アロンは裕美子の場所を作るため部屋を片付けた。
一休みしたところで裕美子は実家に電話し、寮を出ることを説明した。
「・・・それでアパート見つけるまで友達の家にごやっかいすることに・・はい、はい。あ、泊めてもらうのはね、アロン君の家です。そう、お付き合いしてる人。・・OK?」
アロンは聞いててハラハラしていた。
「マジかい、女の子の家って言わなくて大丈夫かな」
「ハイ、ハイ。お母さんありがとう。お父さんにもうまく言っといてくれる?ありがとう。え?・・はい。・・・アロン君、代わってって。私のお母さん。たぶん変なことは言われないと思うけど」
来るだろうと分かってはいたが、とても心の準備などできる暇はなかった。
「・・緊張するね。許してもらえるといいけど」
汗ばんだ手で裕美子の携帯を受け取るアロン。
「も、もしもし、アロンです」
・・(アロン君、ごめんなさい娘が変なお願いしてご迷惑かけて。そちらは大丈夫なの?)・・
「ええ、僕は構わないです。裕美子さんのことご心配でしょうけど、しっかりした人ですから大丈夫かと・・」
・・(何いってんの、たまにこういう突拍子もないことしでかすから・・放っとくと心配なのよ・・でも、あなたのところに相談にいくとはねえ)・・
「いや、僕もびっくりしてます」
・・(それだけ裕美子が信頼してるってことね)・・
「いえ、そんなことは・・」
・・(あんまり誘惑しないでね)・・
「いや、裕美子さんはしっかりしてるから受け付けないと思いますけど」
・・(どうかしら。でも娘の見る目は信じてるから、あなたも信じてるけど・・間違い起こしちゃダメよ、何かあったら不幸はあなた達に行っちゃうんだから)・・
「はい、はい、わかってます。期待を裏切らないよう気を付けます」
・・(ごめんね、本当は何かあったらあなたに迷惑かけちゃうのよね・・すぐアパート探しさせるから。それまで娘をよろしくね)・・
「わかりました」
・・(私達も頼れるところが他になくて・・あの娘がこんなこと言ってくること自体すごい驚きなんだけど、それほど信頼できる人ができたことは私もうれしいのよ。でも完全に心を開くまではちょっとかかるかもね・・もう1回代わってもらえる?)・・
「はい。あ、あの、寮にはそちらからも断りいれてもらえますか?裕美子さんだけじゃ聞き入れてくれないと思うんで・・」
・・(そりゃそうよね。わかったわ。ありがとう。)・・
「じゃ、代わります。はい。」
やきもきしながら一部始終を聞いていた裕美子が携帯を受け取る。
『しかしなんだ?「完全に心を開くまではちょっとかかるかも」って』
お母さんの言葉がひっかかるアロン。
「もしもし、しっかりした人でしょう?安心して」
・・(そうね、こないだ会った時もいい感じの青年だったし、任せちゃおうかな。でも間違い起こしちゃだめよ、いい?)・・
「ありがとう、お母さん」
・・(寮への連絡だけど、明日すぐ入れておくわね)・・
「はい、お願いします」
・・(それでこの週末に人と荷物は出ちゃいなさい。事務手続きは後からでもいいから)・・
「わかりました。寮へ連絡ついたら、こっちにも知らせてください。引き上げに行きますから」
・・(分かったわ)・・
その後しばらく会話した後、電話を切った。
「これで万時OKです」
「お父さんは許してくれるかな」
「たぶん大丈夫」
1時間ほど後、裕美子の携帯に電話がかかった。
「はい、お母さん?・・お父さんに?・・よかった、ありがとう。ハイ、言っときます。はい、はい、それじゃあ、またね」
アロンは緊張して聞いていた。また代われと言われると思って身構えていた。
「はい、OKです。お父さんを言いくるめたみたい。同級生の女の子の家ってことにしたって。ご迷惑かけますがよろしくって」
「ああ、よかったね」
アロンはどっと力が抜けた。
「はー、なんか疲れた。でもお父さん騙して大丈夫かな。ばれたときが怖いんだけど」
「折を見て本当のこと話すわ。いろいろ迷惑かけて本当にごめんなさい」
当面の心配のなくなったアロンはようやく緊張が取れた笑顔になった。
「うん、いいよ。でもちょっとわくわくするね」
「ふふ、そうですね。でもけじめはつけてもらいますよ」
次回「同棲(4):初夜」へ続く!
前回のお話「同棲(2):お願い」
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xml_xslさん、りたーむさん、あいか5drrさん、bitさん、くぼたんさん、HAtA.さん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-05-14 22:17)