<アロンの両親一時帰国(1):裕美子部屋探し?> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第214回
<アロンの両親一時帰国(1):裕美子部屋探し?>
裕美子が寮から逃げ出してアロンの家に転がり込んだのが1月中旬のこと。
それから2人の生活は、家に帰れば掃除、洗濯、食事、1月末の実力試験に向けた試験勉強と余計な時間なんかなかった。特に試験勉強は裕美子の監督下、比較的短いながらも集中して行われ、寝るのが早い裕美子は22時、遅くとも23時には床についた。一緒に寝泊りすることに心配だったアロンだが、ガードの固い裕美子は、こういうときお決まりのお風呂場で着替え中にばったりなどのハプニングも起こることなく、生活のリズムを作る事の方に夢中で順調に10日ほどが過ぎていった。
恋人らしいことといったら、寝る前のキスくらいだろうか。これだけは儀式として定着した。
そして1月26日 火曜日。
本校、分校一斉実施の実力試験が終わった。
「テスト終わりましたね。どうでした?」
「すごい調子よかったよ。なんたってだいぶ勉強させられたから、裕美子に」
「わたし、一人でするよりずっと楽しかったです」
いつもメガネで表情は見えにくいのだが、この日は機嫌の良さそうなのが体全体から出ていて本当に楽しそうだ。
「えー?、勉強が?俺、何人でやろうがやだよ。そっちは結果は?」
「ばっちりでした」
向こうで一緒にいた勇夫とレソフィックは、もうツーリングマップを手にして話していた。
「よー、アロン。試験終わったから週末はツーリング行くぞ。この後どこに行くか”スターフロント”行って相談するんだけど、お前どうする?」
勇夫が聞いた。
「週末はオッケー。悪いけど”スターフロント”は2人で行ってくれ。場所は任せるよ」
「なに、これから裕美子ちゃんといちゃいちゃすんのか?」
アロンは2人の首根っこを捕まえて睨むとやや小声で言った。
「うっせーな。試験終わったから裕美子の部屋探しあんだよ」
「そっかー、残念だな。ずっといてもらいたいだろうに」
「しーっ」
なお、同棲状態なことを知っているのは勇夫とレソフィックの他には美女くらいなもんである。一応口止めしていた
アロンと裕美子は2人一緒に学校の玄関を出た。
アロンが尋ねた。
「駅前寄って不動産屋のぞいてく?」
律儀にけじめを守っている。アロンの部屋は一時的な避難場所でしかないのだ。実力試験が終わるまでは試験勉強に集中し、終わってから裕美子の部屋探しをするということになっていた。
裕美子は無表情に前を向いたまま答えた。
「先帰っててください。一人で行ってきます」
「大丈夫?」
「ええ」
頭のいい裕美子のことである。迷ってなければ任せて大丈夫だろう。
「わかった。じゃあ夕飯の支度は俺がしとくから。ゆっくり回っといで」
2人は学校の門を出たところで別れた。
裕美子は駅の方へ出ると、不動産屋では外に張ってある物件をさらっと眺めただけで入ることなく通り過ぎ、雑貨屋に入っていった。そして陶器売り場でアロンのマグカップを買ったり、衣装ケースを買ったりした。
次回「アロンの両親一時帰国(2):裕美子の選んだ部屋」へ続く!
前回のお話「同棲(13):ベッド交換」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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「片いなか・ハイスクール」連載第214回
<アロンの両親一時帰国(1):裕美子部屋探し?>
裕美子が寮から逃げ出してアロンの家に転がり込んだのが1月中旬のこと。
それから2人の生活は、家に帰れば掃除、洗濯、食事、1月末の実力試験に向けた試験勉強と余計な時間なんかなかった。特に試験勉強は裕美子の監督下、比較的短いながらも集中して行われ、寝るのが早い裕美子は22時、遅くとも23時には床についた。一緒に寝泊りすることに心配だったアロンだが、ガードの固い裕美子は、こういうときお決まりのお風呂場で着替え中にばったりなどのハプニングも起こることなく、生活のリズムを作る事の方に夢中で順調に10日ほどが過ぎていった。
恋人らしいことといったら、寝る前のキスくらいだろうか。これだけは儀式として定着した。
そして1月26日 火曜日。
本校、分校一斉実施の実力試験が終わった。
「テスト終わりましたね。どうでした?」
「すごい調子よかったよ。なんたってだいぶ勉強させられたから、裕美子に」
「わたし、一人でするよりずっと楽しかったです」
いつもメガネで表情は見えにくいのだが、この日は機嫌の良さそうなのが体全体から出ていて本当に楽しそうだ。
「えー?、勉強が?俺、何人でやろうがやだよ。そっちは結果は?」
「ばっちりでした」
向こうで一緒にいた勇夫とレソフィックは、もうツーリングマップを手にして話していた。
「よー、アロン。試験終わったから週末はツーリング行くぞ。この後どこに行くか”スターフロント”行って相談するんだけど、お前どうする?」
勇夫が聞いた。
「週末はオッケー。悪いけど”スターフロント”は2人で行ってくれ。場所は任せるよ」
「なに、これから裕美子ちゃんといちゃいちゃすんのか?」
アロンは2人の首根っこを捕まえて睨むとやや小声で言った。
「うっせーな。試験終わったから裕美子の部屋探しあんだよ」
「そっかー、残念だな。ずっといてもらいたいだろうに」
「しーっ」
なお、同棲状態なことを知っているのは勇夫とレソフィックの他には美女くらいなもんである。一応口止めしていた
アロンと裕美子は2人一緒に学校の玄関を出た。
アロンが尋ねた。
「駅前寄って不動産屋のぞいてく?」
律儀にけじめを守っている。アロンの部屋は一時的な避難場所でしかないのだ。実力試験が終わるまでは試験勉強に集中し、終わってから裕美子の部屋探しをするということになっていた。
裕美子は無表情に前を向いたまま答えた。
「先帰っててください。一人で行ってきます」
「大丈夫?」
「ええ」
頭のいい裕美子のことである。迷ってなければ任せて大丈夫だろう。
「わかった。じゃあ夕飯の支度は俺がしとくから。ゆっくり回っといで」
2人は学校の門を出たところで別れた。
裕美子は駅の方へ出ると、不動産屋では外に張ってある物件をさらっと眺めただけで入ることなく通り過ぎ、雑貨屋に入っていった。そして陶器売り場でアロンのマグカップを買ったり、衣装ケースを買ったりした。
次回「アロンの両親一時帰国(2):裕美子の選んだ部屋」へ続く!
前回のお話「同棲(13):ベッド交換」
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xml_xslさん、bitさん、くぼたんさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-06-23 20:48)