<アロンの両親一時帰国(5):裕美子初対面> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第218回
<アロンの両親一時帰国(5):裕美子初対面>
道場を後にした一行は焼き肉屋へ入った。
レソフィックが注文を仕切ろうとする。
「とりあえず人数分ジョッキ生ビールと・・」
「まてまて、おまえら飲めねえだろ」
「今日ぐらい無礼候でいいだろ」
「今日くらい?今日くらい飲まねえ方がいいんじゃねえのか?」
「見え見えよ」
「げげ!」
そこへアロンがやってきた。裕美子をつれて。
「よ、よう。お待たせ」
レソフィックと勇夫も緊張する。
「早かったな。乾杯はまだしてねえぞ。誰だ?そのお嬢さん」
母親の方がぴんと来る。
「ま、まさか!アロン!できちゃったとか言うんじゃないでしょうね!」
オヤジが飛びかかる。
「な!なにー!そんな頭下げに行く予定入ってねえぞ!お前何したんだ!!お嬢さん、この大馬鹿が何を!」
裕美子は落ち着き払っていた。
「まあまあ、落ち着いてください。・・はじめまして、小泉裕美子と申します」
ペコリとお辞儀をして一呼吸おいた。これで場が静まった。
「実は・・」
アロンが説明しようとしたが、アロンからではまた盛り上がってしまうと思い、裕美子が制した。
「アロン君、わたしから説明します」
裕美子はアロンの父親の方を向くと切り出した。
「アロン君のご両親ですね?小泉裕美子です。アロン君のクラスメイトで隣に座ってます。・・実は、先月末から私のお願いでアロン君のお部屋にご厄介させてもらっています」
アロンの両親はその言葉を何回か反芻して理解しようとした。
「ご、ご厄介って、住んでるってことですか?」
裕美子はまったく屈託なく答える。
「はい。アロン君にはちょっとご迷惑かけていますが、私が頼んで住まわせてもらってます」
一瞬あっけにとられた後、再びアロンに掴みかかりそうになった。
「アロン!お前なんて言ってこの子だましたんだ!」
「アロン君のお父さん、騙されてなんかいませんよ、私がお願いしたんです」
アロンに向かって伸びていく太い手を制すると、裕美子は続けた。
「私の両親が急に転勤になって、一度学校の寮に入ったんですけど、ちょっと風紀がひどくて、それでアロン君にお願いしたんです。私の両親もこのことは知っています」
「あなたのご両親、承知してるの?よく許したわね」
今度はアロンの母親である。
「アロン君、信頼されてますから」
「あなた、この・・裕美子さんのご両親に会ったの?ちゃんと言ったの?」
アロンが堅い調子で答えた。
「何度か会ってる。住み込むことについては電話で話した」
「お父さん、ゆっくり説明しますから、まずは注文とかしてしまいましょう?途中みたいですよね」
店の人が伝票も持ったままつっ立って行く末を見守っていたのに気付いたのだ。
レソフィックが我に返ったように注文を再開した。
「そ、そうだ。積もる話は食いながらしようぜ!カルビ、ロース、ハラミ、タンを人数掛ける3皿と、人数分スープと生ビールジョッキ」
「お前らには飲ませんと言っとろうが!!」
次回「アロンの両親一時帰国(6):空きが出るまで」へ続く!
前回のお話「アロンの両親一時帰国(4):久々の対面」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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「片いなか・ハイスクール」連載第218回
<アロンの両親一時帰国(5):裕美子初対面>
道場を後にした一行は焼き肉屋へ入った。
レソフィックが注文を仕切ろうとする。
「とりあえず人数分ジョッキ生ビールと・・」
「まてまて、おまえら飲めねえだろ」
「今日ぐらい無礼候でいいだろ」
「今日くらい?今日くらい飲まねえ方がいいんじゃねえのか?」
「見え見えよ」
「げげ!」
そこへアロンがやってきた。裕美子をつれて。
「よ、よう。お待たせ」
レソフィックと勇夫も緊張する。
「早かったな。乾杯はまだしてねえぞ。誰だ?そのお嬢さん」
母親の方がぴんと来る。
「ま、まさか!アロン!できちゃったとか言うんじゃないでしょうね!」
オヤジが飛びかかる。
「な!なにー!そんな頭下げに行く予定入ってねえぞ!お前何したんだ!!お嬢さん、この大馬鹿が何を!」
裕美子は落ち着き払っていた。
「まあまあ、落ち着いてください。・・はじめまして、小泉裕美子と申します」
ペコリとお辞儀をして一呼吸おいた。これで場が静まった。
「実は・・」
アロンが説明しようとしたが、アロンからではまた盛り上がってしまうと思い、裕美子が制した。
「アロン君、わたしから説明します」
裕美子はアロンの父親の方を向くと切り出した。
「アロン君のご両親ですね?小泉裕美子です。アロン君のクラスメイトで隣に座ってます。・・実は、先月末から私のお願いでアロン君のお部屋にご厄介させてもらっています」
アロンの両親はその言葉を何回か反芻して理解しようとした。
「ご、ご厄介って、住んでるってことですか?」
裕美子はまったく屈託なく答える。
「はい。アロン君にはちょっとご迷惑かけていますが、私が頼んで住まわせてもらってます」
一瞬あっけにとられた後、再びアロンに掴みかかりそうになった。
「アロン!お前なんて言ってこの子だましたんだ!」
「アロン君のお父さん、騙されてなんかいませんよ、私がお願いしたんです」
アロンに向かって伸びていく太い手を制すると、裕美子は続けた。
「私の両親が急に転勤になって、一度学校の寮に入ったんですけど、ちょっと風紀がひどくて、それでアロン君にお願いしたんです。私の両親もこのことは知っています」
「あなたのご両親、承知してるの?よく許したわね」
今度はアロンの母親である。
「アロン君、信頼されてますから」
「あなた、この・・裕美子さんのご両親に会ったの?ちゃんと言ったの?」
アロンが堅い調子で答えた。
「何度か会ってる。住み込むことについては電話で話した」
「お父さん、ゆっくり説明しますから、まずは注文とかしてしまいましょう?途中みたいですよね」
店の人が伝票も持ったままつっ立って行く末を見守っていたのに気付いたのだ。
レソフィックが我に返ったように注文を再開した。
「そ、そうだ。積もる話は食いながらしようぜ!カルビ、ロース、ハラミ、タンを人数掛ける3皿と、人数分スープと生ビールジョッキ」
「お前らには飲ませんと言っとろうが!!」
次回「アロンの両親一時帰国(6):空きが出るまで」へ続く!
前回のお話「アロンの両親一時帰国(4):久々の対面」
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☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆
楽しく読ませていただいています
急に暑くなりました、熱中症や夏風邪に
気をつけて、お過ごし下さいね (^_-)-☆
by タッチおじさん (2011-07-01 08:12)
HAtA.さん、くらいふさん、ケンケン@さん、xml_xslさん、タッチおじさんさん、くぼたんさん、bitさん、F−USAさん、niceありがとうございます。
タッチおじさんさん、コメントありがとうございます。
暑くなりましたね。緑のカーテンや扇風機でがんばって暑さを凌いでます。
タッチおじさんさんも皆さんもお気を付けて、元気に夏を乗り越えましょう。
(^^)/
by TSO (2011-07-02 22:52)
こんばんは!
暑い日が続きますが、夏バテなどには注意してくださいね~~
by やま (2011-07-18 21:50)
あいか5drrさん、ほちゃさん、やまさん、niceありがとうございます。
やまさん、コメントありがとうございます。
気温35度なんて日も当たり前のようになってきて、将来が怖くなってきました。こまめに水分とって猛暑を乗り切りましょうね(^^)/
by TSO (2011-07-23 23:43)