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<第2部:第1章 出発点(2):運命の人との出会い> [片いなか・ハイスクール]

東日本大震災被災地がんばれ!


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「片いなか・ハイスクール」連載第250回
<第2部:第1章 出発点(2):運命の人との出会い>


黒板の方を見て立っていたら、また誰か入ってきた。

「あんまり日当たりがいいと眠くなるぜ」
「だいいち夏、暑ちぃよ」
「へー、まあまあいいんじゃね」

ドキ!
今まで感じたことのない胸の奥の反応だった。

『あの人・・いい。窓辺の人は大人っぽかったけど、この人はもっと私に近い。高1って幅広いのね』

裕美子は3人入ってきた男子のうちの一人を目で追っていた。そう、裕美子はアロンを見ていたのだ。

「あなたたち、C組?よろしく」

窓の方から元気にまたハウルが声をかけた。

「ういっす。いろいろよろしくたのんます!」
「クラス間違ってなけりゃよろしく」

裕美子の気になった男子が裕美子に気付いてこっちを見た。

『かっこいいとちょっとかわいいがまじってる、カナ?。この人も同じクラス?どんな人だろう』



「君もここの組?」

話し掛けられてはっと我に返り、ぺこりとおじぎをした。

手を上げて
「よろしく、クラス間違ってなけりゃ」
とその男の子は返した。

『声かけてもらっちゃった』

なんだか恥ずかしくなって裕美子は教室を出た。このままだと来る人みんなに声かけられるかもしれない。男女関係なく。
廊下を早足で歩く裕美子は、来たときとは違い前をしっかり見ていた。

『できるかもしれない。再出発』

そしてあの男子生徒を思い出した。

『またあの人にも会っていいんだよね』



校門で待っていた母親と合流した。

「どうだった?」
「みんなが声かけてくれました。普通に。あ、でもすぐ出てきちゃったから、6,7人となんだけど・・」
「よかったじゃない。それが普通なのよ」
「はい。みんな楽しそうだった。あそこの仲間に入っていけるのかしら」
「入れる。入れるわよ。」

帰りの道中、裕美子は教室での出来事にずっと思いを巡らしていた。いや、一人の人を思い出していた。気になってしょうがない。

『あの人ばかり思い出す。いやだ、どうしちゃったんだろう・・』



夜、久々に父親が帰ってきた。

「お父さん、おかえりなさい」

裕美子は父親に抱きついた。今の裕美子にとって唯一の頼れる男であり、力強い支えだ。

「裕美子、どうだった?学校は」
「いい感じでした。中学入ったときを・・ちょっと思い出したかな。でもみんなずっと大人っぽかったけど・・。わたし、がんばれそうな・・・気がします」

この2年以上を一緒に苦しんできた父親である。早く安心させたいという思いもあった。

「ただいま!」

弟のひろきだ。中2である。弟もまた裕美子に合わせて転校を余儀なくされた。巻き添えを食らって怒って当然なのに、「一緒に新しい友達作ろう」と励ましさえくれたかわいい弟である。彼のためにも失敗したくないと思った。

「おかえり、ひろき」

「あれ、ユミ姉ぇが笑ってる。いいことあったんだね」


次回「第2部:第2章 初登校日(1):隣の席」へ続く!

前回のお話「第2部:第1章 出発点(1):入学式の日」

対応する第1部のお話「第1部:第2章 入学式」
☆☆「片いなか・ハイスクール」目次☆☆





※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。

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コメント 2

タッチおじさん

ご訪問と素敵なコメント有難う御座います
お互いに頑張りましょう(^^♪
by タッチおじさん (2012-01-30 00:32) 

TSO

「直chan」さん、ケンケン@さん、あいか5drrさん、(。・_・。)2kさん、ぼんぼちぼちぼちさん、copperさん、HAtAさん、タッチおじさんさん、xml_xslさん、niceありがとうございます。

タッチおじさんさん、コメントありがとうございます。同じ小説アップ仲間として心強く思っています。がんばりましょう!
by TSO (2012-02-12 22:21) 

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