<第2部:第7章 隣町への買い物(3):正しいお誘い> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第302回
<第2部:第7章 隣町への買い物(3):正しいお誘い>
講義の合間の休みに、ハウルとカーラが裕美子の席にやってきた。ハウルはいつものように元気なニコニコ顔。カーラはちょっと恥ずかしそうにもじもじしていた。太陽から話しかけられたようにハウルが話題を振りまいてきた。
「裕美子、帰りに隣の駅まで買い物付き合わない?あたし帽子買い換えようと思って」
『あ、今朝の話ですね』
するとカーラももじもじしながら誘ってきた。
「ついでにわたしもちょっと見ようかと思ってるの。どう?」
そしてちらっと横のアロンに目線を移して、
「・・・・あ、アロン君・・アロン君もちょっとどう?あ・・あの・・選ぶのちょっと手伝ってもらおうかと・・・思っ・・・て・・」
と、だんだん声がフェードアウトしながらもアロンも誘った。
『あ、誘うのは、選ぶの手伝ってっていうことだったのね』
カーラに誘われたアロンは半ば裕美子に答えた感じだった。
「語尾がよく聞き取れなかったけど。でもなんだか妙に自然に誘われた気がするなぁ」
裕美子も同感だった。これなら疑問をはさむことなく、行ってもいいかなという気になってくる。
「自然ですね。朝のはなんだったんでしょう」
ハウルがニコニコ顔を維持しながらも頭の上にハテナマークを浮かべた。
「ん?」
それにアロンと裕美子が答えた。
「朝、リーダーが誘いに来たけど。ハウルと帽子買いに行くから俺と小泉も来いって。何で誘われたんだかよくわかんないんだけど」
「みんなで行くのが好きだからとか言ってましたっけ?」
ハウルのニコニコ顔が困惑顔に変わって、頭の上のハテナマークがいくつも浮かび上がると激しく旋回しだした。
「はあ?!リーダーが誘いに来た?」
カーラはもっと慌てた様子になって、ハウルの腕をつかんで驚いた声をあげた。
「ええ?リーダーが来るのは直前まで内緒では?」
「ナニ引っ掻き回してんのよあいつ!」
二人が顔突き合わせて肩をいからせてるので、裕美子はきょとんとして首を傾げた。
「え?」
慌ててハウルがアロンと裕美子に聞き返した。
「な、なんでもない!で、もしかして行かないとか言っちゃった?」
「行くって一応リーダーに答えたけど。俺も小泉も」
アロンの答えに声のトーンもあがったまま
「よかった。じゃ、放課後ね!」
と叫ぶように告げると、二人して急いでそこを立ち去っていった。
「なんだありゃ」
誘われた理由はわかったけど、なんであんなに慌てたようになったんだかが今度は分からない。
裕美子もまた首を傾げたまま調子を合わせるようにアロンに言った。
「なんだったんでしょうね?」
アロン君が来るなら、ひとまずいいですけど。
次回「第2部:第7章 隣町への買い物(4):待ち合わせ」へ続く!
前回のお話「第2部:第7章 隣町への買い物(2):放課後のお誘い」
対応する第1部のお話「第1部:第10章 リーダー相談する(4):リーダー、引っ掻き回す」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2013 TSO All Rights Reserved
今回は第1部と同じ場面でした。ハウルちゃんたちが何を慌ててたのか、裕美子ちゃんはわかっていませんが、間の話は第1部の通りです。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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<第2部:第7章 隣町への買い物(3):正しいお誘い>
講義の合間の休みに、ハウルとカーラが裕美子の席にやってきた。ハウルはいつものように元気なニコニコ顔。カーラはちょっと恥ずかしそうにもじもじしていた。太陽から話しかけられたようにハウルが話題を振りまいてきた。
「裕美子、帰りに隣の駅まで買い物付き合わない?あたし帽子買い換えようと思って」
『あ、今朝の話ですね』
するとカーラももじもじしながら誘ってきた。
「ついでにわたしもちょっと見ようかと思ってるの。どう?」
そしてちらっと横のアロンに目線を移して、
「・・・・あ、アロン君・・アロン君もちょっとどう?あ・・あの・・選ぶのちょっと手伝ってもらおうかと・・・思っ・・・て・・」
と、だんだん声がフェードアウトしながらもアロンも誘った。
『あ、誘うのは、選ぶの手伝ってっていうことだったのね』
カーラに誘われたアロンは半ば裕美子に答えた感じだった。
「語尾がよく聞き取れなかったけど。でもなんだか妙に自然に誘われた気がするなぁ」
裕美子も同感だった。これなら疑問をはさむことなく、行ってもいいかなという気になってくる。
「自然ですね。朝のはなんだったんでしょう」
ハウルがニコニコ顔を維持しながらも頭の上にハテナマークを浮かべた。
「ん?」
それにアロンと裕美子が答えた。
「朝、リーダーが誘いに来たけど。ハウルと帽子買いに行くから俺と小泉も来いって。何で誘われたんだかよくわかんないんだけど」
「みんなで行くのが好きだからとか言ってましたっけ?」
ハウルのニコニコ顔が困惑顔に変わって、頭の上のハテナマークがいくつも浮かび上がると激しく旋回しだした。
「はあ?!リーダーが誘いに来た?」
カーラはもっと慌てた様子になって、ハウルの腕をつかんで驚いた声をあげた。
「ええ?リーダーが来るのは直前まで内緒では?」
「ナニ引っ掻き回してんのよあいつ!」
二人が顔突き合わせて肩をいからせてるので、裕美子はきょとんとして首を傾げた。
「え?」
慌ててハウルがアロンと裕美子に聞き返した。
「な、なんでもない!で、もしかして行かないとか言っちゃった?」
「行くって一応リーダーに答えたけど。俺も小泉も」
アロンの答えに声のトーンもあがったまま
「よかった。じゃ、放課後ね!」
と叫ぶように告げると、二人して急いでそこを立ち去っていった。
「なんだありゃ」
誘われた理由はわかったけど、なんであんなに慌てたようになったんだかが今度は分からない。
裕美子もまた首を傾げたまま調子を合わせるようにアロンに言った。
「なんだったんでしょうね?」
アロン君が来るなら、ひとまずいいですけど。
次回「第2部:第7章 隣町への買い物(4):待ち合わせ」へ続く!
前回のお話「第2部:第7章 隣町への買い物(2):放課後のお誘い」
対応する第1部のお話「第1部:第10章 リーダー相談する(4):リーダー、引っ掻き回す」
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今回は第1部と同じ場面でした。ハウルちゃんたちが何を慌ててたのか、裕美子ちゃんはわかっていませんが、間の話は第1部の通りです。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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はせおさん、やってみよう♪さん、bitさん、いっぷくさん、teftefさん、yamさん、(。・_・。)2kさん、niceありがとうございます。
by TSO (2013-12-30 21:55)
こーちゃんさん、niceありがとうございます。
by TSO (2014-01-02 17:49)