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<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(2):ラジオ体操> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第350回
<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(2):ラジオ体操>


「勇夫どころか、アロンもレソフィックも連絡つかなくなったんだけど!」

ハウルの家に遊びに来ていたクリスティンは冷たいソーダをすすってから答えた。

「今日早くから出かけたみたいよ?3人して。じゃなくて、レソフィック君とアロン君は勇夫君を追っかけて行ったのかな」
「あらクリスティン、やけに詳しいわね」
「うふふふ。レソフィック君情報よ~。知りたぁい?。あ、アイス食べたくなってきたわぁ~」
「ほー。太ってもいいのかなあ?」
「うふふふふふふふふふふふふふふふふふ。今日は早起きして散歩して1万歩以上歩いてるからいいのよぉ~」
「・・・あっそ。とにかく勇夫どもはまたいないわけね。これはみんな集まって反省会しましょうか。またお泊まり会にする?」
「カーラはもうお家の人と旅行行っちゃうわよ」
「そっか。じゃ、カーラ抜きね。裕美子に連絡しなきゃ。・・来るかなあ」
「お泊りが難しそうだったら昼の会にしたら?あ、ユミちゃん早起きそうだから、朝会がいいのかも」
「なるほど~。お泊りして朝会すればいいのね」
「それはどうかなぁ~。無理強いしちゃだめよぉ」

にっとハウルは笑うと、ケータイを取り出した。

「その前にハウル~。アイス~」
「しょうがないなあ」




二人でガリゴリさんアイスバーをかじりながら、ハウルは裕美子に電話をかけた。

「ハロー、ラジオ体操連盟の者です。あなたは朝早起きだと聞きました。明日朝参加していただけないでしょうか」
・・(……ハウルさんの国にもラジオ体操があるなんて、知りませんでした)・・
「やーねー、労働者が勤勉なのはどっちの国も同じじゃなーい」
・・(…それで、どこでやるんですか?)・・
「ポタ山の運動広場。9時です」
・・(……普通夏休みのラジオ体操は6時半くらいには始めますが)・・
「え?そんな早いの?!起きらんないわ!」
・・(…それじゃ、また…)・・
「ま、待ったー!わ、わかったわ。6時半ね!・・・前の日から泊まって起こしてくれないかしら~」
・・(…目覚まし貸してあげましょうか。わたしなくても起きられますから)・・
「・・仕方ない。大丈夫、クリスティンという目覚ましがあるから」
・・(他にはどなたが?)・・
「今のところ私とクリスティンだけよ。カーラは家族旅行だから」
・・(わかりました。それでは明日、6時半にポタ山の運動広場で)・・
「うん。待ってるね」
・・(…本当に待ってますか?そのためには6時半よりもっと前に着いてないと…)・・
「ごめん!私いなくっても待っててね!帰っちゃダメよ!」
・・(…くすっ。わかりました。来るまで待ってます)・・
「ありがと。それじゃね」

電話を切ると、ニコニコ顔をクリスティンに向けた。

「オッケー、連れ出せたわ」
「用件言わなかったけど、いいのかな。本当にラジオ体操しに来るかもよ?」
「・・あ、あり得るわね、裕美子なら」
「うふふふ。それよりユミちゃんより早く行ってびっくりさせようよ」
「え?!!お、起きれな・・」
「私は今日からお泊りでいいのよねぇ。目覚まし時計だから」
「別にいいわよ。ってか、クリスティンがうちに泊まるのはいつものことだし」
「カーラから借りた本、読み終わったから持って行くねぇ。次はお兄さんに貸す?」
「え?!やめてよ、アニキにBLの趣味なんてないから!」
「あらそう。お兄ちゃんと妹の関係のもあったわよ」
「うええ、ますますやめて!」
「ハウルが借りたのは普通?」
「うん、フツーにノーマル。でも、私ら世代の純愛のから大人のねっとりしたのまであったけど」
「カーラ、守備範囲広いわねえ」
「現実の世界にその幾分かでも出してくれればねえ・・」




片いなかの南にある比較的大きな丘陵がポタ山だ。山頂の展望台を中心に、尾根に沿って公園や野外音楽堂、彫刻の森などがあり、麓はグランドを備えた運動公園、駐車場などがある。自転車でやってきた裕美子は、運動公園の端の駐輪場に自転車を停めると、公園の中に入っていった。

運動公園は陸上のトラックのあるところと、野球かサッカー広場といったところがある。どちらも芝生が整備されていて、この時間から運動している人が何人もいた。

「陸上競技場かサッカー場か、どっちにいくかわからないから、駐輪場の近くにいた方がよさそうですね」

そう言って駐輪場からすぐの芝生のところにかばんを下ろすと、背伸びをして屈伸とかを始めた。
すると奥の方からクリスティンがやってきたので、裕美子はちょっと驚いた。

「おはよ~、ユミちゃん」
「おはようございます。もういらしてたんですね。本当に待ってたとはちょっとびっくりしました。・・あの、ハウルさんも?」
「うふふふ、ハウルもいるわよ~。あっちで寝てるけど」

指差したのはサッカー広場の方だった。裕美子はかばんを拾い上げ、そちらに向かって歩き出した。

「何時頃いらしたんですか?」
「1時間くらい前かな~?」
「え?それじゃまだ暗かったんじゃ・・」
「薄明るくなってきた頃かしらねえ。でも私の目が覚めちゃったからもう来ちゃった」
「そ、それは、ご苦労様です」
「それにしても、やっぱりユミちゃん、運動する格好で来たわねえ」

裕美子はトレーニングパンツにTシャツという姿であった。

「本当にラジオ体操するのかなって、ちょっと疑問はありましたけど・・・それでよかったみたいですね?」

クリスティンもジャージ姿だった。

「あのまま話進めちゃったからね~。引き返せなくなっちゃった」
「本当は違ったんですか?」
「うふふ。この後も遊びたいなあって思ってるんだけど。ユミちゃん大丈夫?体操終わったら帰っちゃう?」

裕美子はちょっと頬を赤らめた。

「どっちなのかよくわかんなかったので・・。普段着も持ってきてます」

そう言って肩に掛けてたかばんをちょっと持ち上げた。

「そう、よかったあ。着替えがなくっても、ハウルの服着せちゃおうって言ってたのよ」
「え?・・・でも、ハウルさんのでも、ちょっと大きいと思いますけど・・」

前方の芝生の上に横たわっているハウルが見えた。傍まで寄ると、ふかふかの芝に包まれて幸せそうに寝ていた。口元にはお決まりのよだれがついている。裕美子は、仰向けになっているハウルの、開けっ放しのジャージの下のTシャツの胸のふくらみに目を置いた。

『背丈も10cmくらい違うし、ここも、やっぱりハウルさんの方が大きい・・・』

「ハウルが中学の時の服がいっぱい余っててねぇ、それがたぶんユミちゃんに合いそうなのよ」
「ハウルさんのお古、ですか?」
「そう。お古って言っても、痛んでないのがいっぱいあるの。成長期だったからすぐサイズ合わなくなっちゃってね」
「はあ・・。わたしの体はハウルさんが中学生のときと同じですか・・」

裕美子は胸の辺りに手を置いて言った。

「もったいないから本当に着てみない?はあ~い、ハウル、ユミちゃん来たわよ~。起きて~ぇ」


次回「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(3):ハウルのお古の服」へ続く!

前回のお話「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(1):男子を捕捉できず」


対応する第1部のお話「第1部:第16章 改めてカップルで(1):遊んでくれなかったなー?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆



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まだまだ第1部にはない夏休み終盤のお話です。
ちなみにハウルちゃんはドイツ系です。
ハウルちゃん達がカーラちゃんから借りた本ってなに?え、第1部にも出てこなかったカーラちゃんの意外な趣向が明らかに??
ところで片いなかの郊外にはポタ山とポコ山というのがあるんですが、読み返すと第1部でもどっちがどっちだか混乱してますね。小さい山がポコ山、丘陵一帯を公園としてる方がポタ山(写生大会をした方)という設定になります。そのうち第1部も直しておこうと思います。


※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。



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