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<イザベルのお礼アタック(4)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第26回
<イザベルのお礼アタック(4)>

日曜。アロンは2つ隣の駅の大型商業施設「ショッピングタウン」でイザベルと落ち合い、イザベルの服を買うのに付き合った。

ここで2人はウォルトとアンザックにばったり会う。

「なーんだ、お前ら付き合ってたんだ」
ウォルトにそう言われて顔を赤らめるイザベルだが、
「たまたまここで買い物する都合がお互いあって、一緒に周ってるんだ」とアロンは何気もなく答える。
するとアンザックはニヤつきながら言った。
「そういうことする仲を付き合ってるって言うんだろ」
「うーん、よくわからんが・・」
腕組をしているアロン。すると
「行きましょ、アロン君」
とイザベルに手を引かれて2人は去っていった。

「ちぇ、そうそうにカップル誕生かよ」
「なんだウォルト、うらやましいのか?ダーニャが相手との仲介をする恋愛相談所ってのやってるらしいぞ。目当てのやついるんなら話してみたら?」
アンザックはどこかでダーニャの副業を聞いたらしい。

イザベルの買い物が終わったところで、甘み処で一旦休憩をした。

「このあいだのオリエンテーリングでは参ったわね。私ああいうの嫌いなのよね。テーマパークとかの方がいいな」
「ああ、大変そうだったもんな。でも完走してすこしは自身ついたんじゃないの?」
「そうね。かなり相当むちゃくちゃめちゃめちゃ無理すればあれくらいはできるってわかったし。でも1週間筋肉痛でロボットみたいになったわ。もうこりごりよ」
「へえ、俺好きだけどなああいうの。クスス山ではけっこうくやしい思いもしたからさ、来週はレソフィック達とリベンジとばかりにアパラ山行くんだぜ」
「ええ?!また山行くの?」
「あ、それで俺の買い物ってその準備なんだけど、ちょっといろんな店回るから歩くぜ。どう回るのがいいかな」


今度はアロンの方の買い物。アロンの買い出しとは、翌週末レソフィック・勇夫と行こうと計画しているアパラ山縦走の準備だった。

超大型のショッピングモール「ショッピングタウン」の案内図をインフォメーションから持ってきて、アロンがポケットから取り出した買い出しリストで店を決めると、効率よい店めぐりルートを決めた。それにもかかわらずショッピングモールじゅうを歩き回らなければならなかった。
ショッピングタウンの案内図に書かれた買い物ルートを見たイザベルは目を丸くした。
「こんなに回るの?見ただけで疲れてきた」
「ショッピングタウンの設計者に言ってくれよ。分散してんだもん」

そして体力不足のイザベルはこの3分の1もまわらず疲れ果ててしまい、買い出しは中止。アロンは勇夫に電話し、買い出しを引き継がせると、イザベルを家に送った。

帰路途中のコーヒーショップで休憩中のこと。
「ごめんね、買い物中途半端にしちゃって」
「勇夫に引き継いだから大丈夫だよ、気にしなくていいよ。でもショッピングタウンを歩き回れるくらいの体力はつけた方がいいんじゃねーかな。別に病気なわけでもないんだし」
「うん・・・考えとく」
「オリエンテーリングでは、はるかにもっと歩けたじゃん」
「ショッピングタウンじゃ、緊迫度ないからかな・・・あのときは帰れないかもって危機感あったし。ちょっと・・・悔しかったし・・」
アロンはにこりと返した。
「よくやったと思うぜ」
イザベルは日の暮れ始めた外の景色を窓越しに眺めていた。
「・・・あのさあ、もし俺と付き合うなら、俺外で遊ぶこと多いから、それも自然の中によく行くから、体力もそうだけど、都会じゃないところで遊ぶ趣味もないと続かないと思うよ」
「そうみたいね・・・なんとなく私じゃ無理かもって思ったわ・・」
「ごめん、なんか振っちゃったみたいで」
「・・・・」ちょっとしょげるイザベルだった。

「そうだ、クッキー食ってみなきゃ」
「ここで?」
「いいだろ?さて、できばえやいかに」
バリバリ頬張ってみる。
「うん、うまい。今度のはいい」
「本当?」
「甘さ具合だけじゃなくて、ほかの材料とのバランスとか、焼き具合も進歩してる。すごいね、数回作っただけなのに。・・俺も役に立ったってことかな」
「へへ」ちょっと涙ぐむイザベル。
「彼氏に作ってやんな。今度は最初からストライクで」
「ありがとう」
「そういや、こないだの甘くないやつ、勇夫に受けがよかったんだけど」
「勇夫君?う~ん・・・彼氏じゃないから、なんか気が向かないわ」
ひそかに振られた勇夫であった。


次回「ダーニャの恋愛相談所(1)」へ続く!

前回のお話「イザベルのお礼アタック(3)」
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