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<ダーニャの恋愛相談所(2)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第28回
<ダーニャの恋愛相談所(2)>

数日後、アロンは例の黒いノートを持って廊下を行くダーニャの姿を見つけた。
角で立ちどまると、窓の外をながめて何か考えているようだ。窓の外の光を受けて、ダーニャの髪は妙に光って見える。
アロンはそばに行くと、ひょいとその黒いノートを取った。
「あっ、だめ!」
取り返しに飛びつくダーニャだが、それをひょいひょいと軽快にかわすアロン。こういった遊びにはなれているようである。
「これすごいこと書かれてるんだろうなー。落っことしたらえらいことだぜ」
「中見たらぶん殴るからね!!」
「情報の重さがノートの重さになって伝わってくるぜ」

すると後ろから気配を消してレソフィックが忍び寄り、アロンからそのノートをすばやく取り上げた。
「ちっ、俺の背後を取るとは、さすがレソフィックだ」
「アロン、それ多分しゃれになってねぇよ」
レソフィックが差し出したノートをひったくるようにダーニャは取り返した。ダーニャは息が荒くなっていた。
「わかってるよ・・目に付いたからちょっとからかってみたんだ。ごめんよ」

そう言うとアロンは、今度はレソフィックを親指で後ろ指指し
「わかったろ、こいつこんなやつだ。こうやって大人びてるんだ。大人びた振りしてるだけかもしれないけど」
一方レソフィックも腰に手をやって
「アロンは子供っぽいんだよ。でもこいつの場合わかっててやってるんだ。どこまでやったらいけないか見極めながらやるから、にくらしいんだ」
「二人ともお互いをよく知ってるんだね」
「まーな。長すぎる付き合いだし。もう一人勇夫ってもっと子供もいるけどよ」とアロン。
「あいつはとことん子供だよなー。見境なく子供だ」
レソフィックも応じ、けたけたと笑いあう2人。

「あっ!、ダーニャお前、俺の身辺調査レソフィックでやったな?」
「もしかしてダーニャ、俺のことアロンに聞いてるのか?」
「へっ、へへ」
ダーニャは引きつったような困ったような笑いを浮かべた。
「イザベルが来る前、こいつ俺のこと調べてた?」
ちらっとダーニャのほうを伺ったレソフィックだったが
「口外禁止って言われてたけど、もういまさらって感じだからいいよな。オリエンテーリングの後、お前のこと聞きに来たよ」
「依頼元がイザベルって知ってたのか?」
「それは知らんよ。イザベルだってわかってたら、やめたらって言ったかもしれない」
「それはどうして?」ダーニャが聞く。
「アロンはきっと自分の行きたいところへ彼女連れ出すだろうから、行動をともにできる人でないと。あいつじゃ体力足りないよ」
「こないだっから、なんでお前が俺の彼女の理想像を想像しなきゃいけねーんだよ」
「ありがとう、参考になったわ。メモっとこ」
ダーニャはしゃがんで黒いノートにメモを取り始めた。
「ちぇっ、秘密厳守で頼むぜ」
「ご心配なく」
アロンとレソフィックはメモを取るダーニャを残してそこを離れた。

「アロン、あいつが俺の身辺調査してたってことは、近々俺のところに誰かくるんだよな」
「ああ、まだ来てなかったのか。楽しみじゃん」
「こういうの来るってわかってて待ってるのってすげえ変だぜ。どんなのが来るかわかんないのに、かわいいのかブスなのか・・聞かなきゃよかった」
「なるほどねー。口外禁止ってのも意味あるんだな。ま、せいぜい楽しんで待つんだな。ひひひ」
「ちっきしょー」


次回「ダーニャの恋愛相談所(3)」へ続く!

前回のお話「ダーニャの恋愛相談所(1)」
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