<スキー旅行(5):実はすごく怖い人?> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第184回
<スキー旅行(5):実はすごく怖い人?>
樹氷原を降りると、ばらばらだったみんなが集まってきた。
裕美子はアンザックを見つけると、そこへすいーっと寄って行った。
「アンザックさん、ビデオ貸してください」
「え?なにさっきの?いいじゃん、後でビデオディスクにしてあげるよ」
「いらないです」
ハウルがやってきた。
「なあに、どうしたの?」
「なんでもありません」
「樹氷原でさー、アロンと裕美子がぶっちゅ~ってしてたとこ撮ったんだ」
シャノンとクリスティンが目をキラキラさせて乗り出してきた。
「えー?見せて見せて!」
「やーん、やっぱそういうことしてるんだ。私たちの前ではしてくれなかったのに」
カーラも
「裕美子、やるう。どうりで姿が見えなくなったと思った」
「わ、わざと消えたわけじゃないです」
すると美女まで
「本当?あなたシナリオ描くの上手いからねえ」
と言う。
みんながうんうんとうなずく。
「み、みんなまで・・わたしいつからそんな印象を持たれてるんですか?」
鈍い勇夫でさえ同意見のようだ。
「いやあ、アロンをゲットしていく過程を見ていると、そんな気が・・するよな」
みんながうんうんとうなずく。
裕美子はともかく問題のシーンを消そうと、すばやくアンザックの手からビデオカメラをひったくった。
「あ!」
ビデオは首からストラップで繋がっていたので、アンザックも裕美子の傍らへビデオに引っ張られてきた。
「えっと、フォーマット・・?」
「うわあ!それだけはご勘弁!!」
「じゃあどれですか?そのシーン」
いろいろいじくりまくる。
ハウルが指をくわえながら覗き込んだ。
「1回くらい見ようよー」
アンザックも首を引っ張られたまま苦しそうに言った。
「どのシーンか確認するのに、再生してみないと・・」
「これかしら」
みんなが上に被さるように覗き込んでくる。
再生したのは、ウォルトが樹氷にソリで激突するところだった。
イザベルが高らかに笑う。
「あはははは!」
「違う・・」
次はジョンとシャルロットの美男美女が美しく滑り、下で爽やかに合流するシーンだった。まるで映画のようである。
「いいなあ、容姿が整ってるだけでこれだもんなあ」
「これも違う・・」
次は対象的にイザベルがたどたどしく降りてくるシーン。最後に転んだ。すると後から勢いよく来た勇夫とレソフィックが目の前で急停止し、倒れているイザベルに雪をかけた。
レソフィックと勇夫がお互いを見ながら
「普通はこんなもんだよな」
と楽しそうに言った。
イザベルが吠える。
「どこが普通よ!背中に雪入って冷たかったんだからね!」
次に出てきたのは勇夫が樹氷に登ろうとしてるところで、大きな雪の塊ごととれて落ちるシーンだった。
これにはハウルが喜ぶ。
「わはははは!これ撮ってたんだ。保存版保存版!」
「いらねーよ、そんなの!」
「みんな、何してたんだか・・」と裕美子。
「だめだよ勇夫、樹氷壊しちゃ」とアロン。
次に再生したのは
『あ、あれアロンと裕美子だ。こんなところにいました。二人して見詰め合ってますね・・・あ、アロンが寄っていきました』
裕美子は慌てて停止ボタンを押す。
乗り出して見ていたハウルが
「あ、もうちょっと!」
と言ってアンザックの上にのしかかった。
裕美子はみんなが覆い被さっているところから抜け出して消しにかかる。アンザックは上に乗っかっていたハウルを降り落とし、ビデオに引きずられて裕美子と一緒に集団から抜け出した。
「消しますか?・・・YES!」
消えた!
消し去ってようやくほっとした裕美子。
そのもわっとした髪に触れるほど、アロン以外寄ったことのないすぐそばにアンザックの顔がある。引きずられて苦しそうではあるが、
「・・裕美子って間近でみるとホント・・かわいいなあ」
とつぶやいた。
アンザックのアップを見た裕美子はカメラをそのまま手放した。
「うわ!」
カメラの重さに引っ張られてアンザックの顔が下に落ちる。
「わたしの顔、見れたから充分ですよね?ああ、よかった消せて」
これ以降、裕美子は計算高いだけじゃなく、やるべきことは確実にやり遂げる、実は大変怖いかもしれない人という印象もプラスされた。
次回「スキー旅行(6):大部屋」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(4):計算高い人?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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<スキー旅行(5):実はすごく怖い人?>
樹氷原を降りると、ばらばらだったみんなが集まってきた。
裕美子はアンザックを見つけると、そこへすいーっと寄って行った。
「アンザックさん、ビデオ貸してください」
「え?なにさっきの?いいじゃん、後でビデオディスクにしてあげるよ」
「いらないです」
ハウルがやってきた。
「なあに、どうしたの?」
「なんでもありません」
「樹氷原でさー、アロンと裕美子がぶっちゅ~ってしてたとこ撮ったんだ」
シャノンとクリスティンが目をキラキラさせて乗り出してきた。
「えー?見せて見せて!」
「やーん、やっぱそういうことしてるんだ。私たちの前ではしてくれなかったのに」
カーラも
「裕美子、やるう。どうりで姿が見えなくなったと思った」
「わ、わざと消えたわけじゃないです」
すると美女まで
「本当?あなたシナリオ描くの上手いからねえ」
と言う。
みんながうんうんとうなずく。
「み、みんなまで・・わたしいつからそんな印象を持たれてるんですか?」
鈍い勇夫でさえ同意見のようだ。
「いやあ、アロンをゲットしていく過程を見ていると、そんな気が・・するよな」
みんながうんうんとうなずく。
裕美子はともかく問題のシーンを消そうと、すばやくアンザックの手からビデオカメラをひったくった。
「あ!」
ビデオは首からストラップで繋がっていたので、アンザックも裕美子の傍らへビデオに引っ張られてきた。
「えっと、フォーマット・・?」
「うわあ!それだけはご勘弁!!」
「じゃあどれですか?そのシーン」
いろいろいじくりまくる。
ハウルが指をくわえながら覗き込んだ。
「1回くらい見ようよー」
アンザックも首を引っ張られたまま苦しそうに言った。
「どのシーンか確認するのに、再生してみないと・・」
「これかしら」
みんなが上に被さるように覗き込んでくる。
再生したのは、ウォルトが樹氷にソリで激突するところだった。
イザベルが高らかに笑う。
「あはははは!」
「違う・・」
次はジョンとシャルロットの美男美女が美しく滑り、下で爽やかに合流するシーンだった。まるで映画のようである。
「いいなあ、容姿が整ってるだけでこれだもんなあ」
「これも違う・・」
次は対象的にイザベルがたどたどしく降りてくるシーン。最後に転んだ。すると後から勢いよく来た勇夫とレソフィックが目の前で急停止し、倒れているイザベルに雪をかけた。
レソフィックと勇夫がお互いを見ながら
「普通はこんなもんだよな」
と楽しそうに言った。
イザベルが吠える。
「どこが普通よ!背中に雪入って冷たかったんだからね!」
次に出てきたのは勇夫が樹氷に登ろうとしてるところで、大きな雪の塊ごととれて落ちるシーンだった。
これにはハウルが喜ぶ。
「わはははは!これ撮ってたんだ。保存版保存版!」
「いらねーよ、そんなの!」
「みんな、何してたんだか・・」と裕美子。
「だめだよ勇夫、樹氷壊しちゃ」とアロン。
次に再生したのは
『あ、あれアロンと裕美子だ。こんなところにいました。二人して見詰め合ってますね・・・あ、アロンが寄っていきました』
裕美子は慌てて停止ボタンを押す。
乗り出して見ていたハウルが
「あ、もうちょっと!」
と言ってアンザックの上にのしかかった。
裕美子はみんなが覆い被さっているところから抜け出して消しにかかる。アンザックは上に乗っかっていたハウルを降り落とし、ビデオに引きずられて裕美子と一緒に集団から抜け出した。
「消しますか?・・・YES!」
消えた!
消し去ってようやくほっとした裕美子。
そのもわっとした髪に触れるほど、アロン以外寄ったことのないすぐそばにアンザックの顔がある。引きずられて苦しそうではあるが、
「・・裕美子って間近でみるとホント・・かわいいなあ」
とつぶやいた。
アンザックのアップを見た裕美子はカメラをそのまま手放した。
「うわ!」
カメラの重さに引っ張られてアンザックの顔が下に落ちる。
「わたしの顔、見れたから充分ですよね?ああ、よかった消せて」
これ以降、裕美子は計算高いだけじゃなく、やるべきことは確実にやり遂げる、実は大変怖いかもしれない人という印象もプラスされた。
次回「スキー旅行(6):大部屋」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(4):計算高い人?」
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こんばんにゃ(´∀`)/ かっぱだよ
らぶらぶいちゃいちゃにムフフと思ったら、やっぱり賑やかな面々ですにゃ~
たのしい~(^ω^)~♪
みんな個性的で好きだけど、かっぱはやっぱり、明るくて無邪気なハウルちゃんが好き~
い、いたずらにはちょっと困るけど(゜◇゜;)ハハハ
旅行は始まったばっかり
これからどんな展開になるのか、楽しみ!
by K-STYLE (2011-02-25 20:30)
HAtA.さん、xml_xslさん、くぼたんさん、kuzeさん、bitさん、K-STYLEさん、あいか5drrさん、niceありがとうございます。
かっぱしゃん、コメントありがとうございます。
結局最後にはドタバタに行き着いちゃいます。その急先鋒はハウルちゃんですからね~。コメント応援受けると、またどっか書き加えてでも張り切っちゃうかも~。
by TSO (2011-02-26 19:13)