<スキー旅行(6):大部屋> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第185回
<スキー旅行(6):大部屋>
宿にチェックインすると、みんなは部屋に案内された。15人が収容できる大部屋である。
大部屋といっても日本のような畳ではない。壁に3段ベッドがならぶ合宿所のようだ。
いや、実際合宿などに使われてるところらしく、宿の中をスキー部っぽいのがたくさん歩いてる。廊下を歩いているミシェルはそこでこんな会話を聞いた。
「ホワイトホース高校の連中、ここの宿取れなかったみたいだぞ。予約できたはずなのにって嘆いてた」
「それでどこに泊ったんだ?」
「ゲレンデから送迎バスで20分くらいの離れたところになっちゃったんだって。バスがないと行き来できないところらしいから練習時間にも制限ができちゃって、冬季大会けっこうヤバイらしいぞ」
「ここにもハウルの犠牲者が・・」
ミシェルがその会話を気の毒そうに聞いて言う。すると背後からハウルがミシェルの耳をつかんで引っ張った。
「あたし、別に違法なことしたわけでもないでしょが」
大部屋は、入り口から右側の壁が3段ベッドになっていて、5列ある。ベッドの前、部屋の左側がフリースペースでテーブルや椅子が置いてある。一番奥のドン着きに大きな窓があった。窓から少し上を向くとゲレンデが見えた。この宿はゲレンデの隣という絶好条件のところであった。
部屋の割り振りは、入り口側2列を女子、窓の方から2列を男子ということになった。
間の1列についてはハウルが指名した。
「男女緩衝地帯として裕美子とアロンがこの列に寝るってんでいい?」
ジョンがニヤつきながら
「どうせ朝には一つのところで寝てるんだろ」
と言ってくる。
アロンと裕美子は2人して焦ったようにジョンにまくし立てた。
「そ、そんなことしねえよ!」
「そ、そうです。こんなところで一緒に寝て何するっていうんですか」
するとハウルがなぜか顔を赤らめて言う。
「な、何したっていいけどさぁ。裕美子、一応場所はわきまえようね」
「どういう意味?」
カーラも何を想像してるのか顔を赤らめながら言った。
「あなた、やると思ったことは実行するからよ」
裕美子に至っては真っ赤なやかんのようになった。
「ものによります!!」
するとアンザックがうれしそうに手を上げて言った。
「カップルになった人は真ん中の列へ移動できまーす」
横にいたイザベルが横目使いでアンザックを見る。
「あんた、まさか移動しようって思ってるの?」
「だ、だめ?」
「誰と?」
「あたしこんなガキどもと、やーよ」
シャノンが興味なさげに手を振りながら言った。
すると美女も
「このメンツじゃあり得ないんじゃない?」
と言った。
「あ、あり得ないの?美女もそう思ってんの?がっかりだあ」
どうやらアンザックは、あわよくば美女とと思ってたらしい。
そんなことには一切興味を持たず、入り口近辺に立っていたウォルトはドアノブに手をかけながら部屋の中に向って声をかけた。
「腹減ったよー。そろそろ晩飯行こうよー」
次回「スキー旅行(7):やっぱり雪崩発生」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(4):計算高い人?」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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<スキー旅行(6):大部屋>
宿にチェックインすると、みんなは部屋に案内された。15人が収容できる大部屋である。
大部屋といっても日本のような畳ではない。壁に3段ベッドがならぶ合宿所のようだ。
いや、実際合宿などに使われてるところらしく、宿の中をスキー部っぽいのがたくさん歩いてる。廊下を歩いているミシェルはそこでこんな会話を聞いた。
「ホワイトホース高校の連中、ここの宿取れなかったみたいだぞ。予約できたはずなのにって嘆いてた」
「それでどこに泊ったんだ?」
「ゲレンデから送迎バスで20分くらいの離れたところになっちゃったんだって。バスがないと行き来できないところらしいから練習時間にも制限ができちゃって、冬季大会けっこうヤバイらしいぞ」
「ここにもハウルの犠牲者が・・」
ミシェルがその会話を気の毒そうに聞いて言う。すると背後からハウルがミシェルの耳をつかんで引っ張った。
「あたし、別に違法なことしたわけでもないでしょが」
大部屋は、入り口から右側の壁が3段ベッドになっていて、5列ある。ベッドの前、部屋の左側がフリースペースでテーブルや椅子が置いてある。一番奥のドン着きに大きな窓があった。窓から少し上を向くとゲレンデが見えた。この宿はゲレンデの隣という絶好条件のところであった。
部屋の割り振りは、入り口側2列を女子、窓の方から2列を男子ということになった。
間の1列についてはハウルが指名した。
「男女緩衝地帯として裕美子とアロンがこの列に寝るってんでいい?」
ジョンがニヤつきながら
「どうせ朝には一つのところで寝てるんだろ」
と言ってくる。
アロンと裕美子は2人して焦ったようにジョンにまくし立てた。
「そ、そんなことしねえよ!」
「そ、そうです。こんなところで一緒に寝て何するっていうんですか」
するとハウルがなぜか顔を赤らめて言う。
「な、何したっていいけどさぁ。裕美子、一応場所はわきまえようね」
「どういう意味?」
カーラも何を想像してるのか顔を赤らめながら言った。
「あなた、やると思ったことは実行するからよ」
裕美子に至っては真っ赤なやかんのようになった。
「ものによります!!」
するとアンザックがうれしそうに手を上げて言った。
「カップルになった人は真ん中の列へ移動できまーす」
横にいたイザベルが横目使いでアンザックを見る。
「あんた、まさか移動しようって思ってるの?」
「だ、だめ?」
「誰と?」
「あたしこんなガキどもと、やーよ」
シャノンが興味なさげに手を振りながら言った。
すると美女も
「このメンツじゃあり得ないんじゃない?」
と言った。
「あ、あり得ないの?美女もそう思ってんの?がっかりだあ」
どうやらアンザックは、あわよくば美女とと思ってたらしい。
そんなことには一切興味を持たず、入り口近辺に立っていたウォルトはドアノブに手をかけながら部屋の中に向って声をかけた。
「腹減ったよー。そろそろ晩飯行こうよー」
次回「スキー旅行(7):やっぱり雪崩発生」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(4):計算高い人?」
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by TSO (2011-02-28 20:24)