<スキー旅行(8):夜の語らい> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第187回
<スキー旅行(8):夜の語らい>
夕食後、部屋では買い込んできたお菓子やジュースを並べて大宴会になっていた。
一部いけない飲料も混じっているようである。
「バイキングで食べるの見てると、勇夫君てウォルト君と同じくらい食べてるよね」
クリスティンが不思議がって言った。
「それなのになんで勇夫は太ってないのよ」
ハウルの疑問にカーラが、
「運動量じゃないかしら」
と分析する。するとウォルトが自分を庇護した。
「俺、食う量減らしてもたくさん食っても変わりないんだ。それなら食った方が得だろ?」
「健康面から考えたら食う量減らした方がいいと思うけど。早死にしちゃ損じゃないか」
レソフィックは変わりないなら長生きする方を取るようだ。その意見にカーラが公平な評価をした。
「その人生観は人によるかもね」
「そういうもんかなあ」
すると、シャノンは独自のウォルト感からくる見解を真っ赤に酔っぱらった顔で言った。
「ウォルトはさー、人間じゃないから、価値観も違うところにあるんだよー」
美女はその見解にではなく、シャノンの赤いを見て言った。
「お子様がそんなに飲んじゃまずいんじゃない?」
「なにおー?あたしより生まれた日遅いくせに」
そう。シャノンはクラスで一番生まれが早いのだ、この見かけなのに。
「カーラ、昼の話の続きはぁ?」
イザベルが昼を思い出してカーラに催促した。
飛びまくる話題も、いよいよ本題に突入である。
「え?ああ、裕美子の?」
裕美子がぴくぴくっと反応する。
するとレソフィックが、
「アロン、これ小泉にあげるよ。飲んでもらって」
とアロンに渡したのはおいしそうなフルーツの絵が入った飲み物。果汁20%の他に何か5%ほど入っているようだ。
カーラが親指を突き立てた。
「レソフィック君、ナイスアイディアよ」
「なに?裕美子に飲ませろ?」
「あ、それ甘くておいしいよー」
ハウルがその意図を察知してさらに勧める。警戒する裕美子。
「ちょっと待ってください。それ、お酒でしょ?いいです、寝ちゃうから」
「寝ちゃったっていいじゃない、宿だし。寝てほしいんだけど」
「だめ!寝ちゃうとお前また変なことするだろ」
アロンが即ダメ出しした。
「カーラを話しやすくするだけよー」
するとジョンまで悪だくみに肩入りしてきた。ジョンもいろいろ聞いてみたいらしい。
「わかった。アロン、2人だけの時間過ごして来い。今なら邪魔入らないぞ」
「わたし達追い出して、何の話するんです?」
「俺ら、激しくくしゃみしそうだよな」
「なにを呑気な・・いやですよ、ぜったいへんな噂話する気なんです」
「大丈夫だって、事実しか言わないから。レソフィック君、アロン君の方の話し教えてね」
カーラがレソフィックに目配せする。
「まかせろ」
レソフィックまであっち側に付かれてアロンは焦った。
「お、お前が何知ってるってんだ!」
裕美子は調子のいいカーラに近寄って覗き込んだ。
「カーラさん、また酔ってますね?」
「ん?今日はまだ飲んでないのよ」
「あ、そういえばそうだっけ。それにしちゃノリいいわね」
ハウルも意外な顔をして、カーラが今飲んでるものを確かめた。確かに単なるオレンジソーダだ。
早く話を聞きたいイザベルは、裕美子達がいるのも構わず話を進め始めた。
「でさ、話によるとオリエンテーリングの後にはもう何?、裕美子はアロンを?」
カーラが答える。
「とっくよとっく。だって入学式の日に見染めたんだから」
美女・イザベル「え?!」と驚く。
「入学式の日、教室で初めて会って、そのとき人目惚れなんだって。すてきよねぇ」
クリスティンが両手を合わせてうっとりしたような顔で言った。
「ごほん、ごほん!」
裕美子が咳込む。
するとジョンとミシェルが首をかしげた。
「え?あのとき教室に小泉いたっけ?」
「俺も覚えないなあ。強烈に印象に残ってるのは、大騒ぎしてたハウルと、俺らをガキ呼ばわりしたシャノンだけど」
「いたわよー。教壇の辺りに。いつの間にかいなくなっちゃったけど。私確か握手したよね?」
アロンはここに居続ける自信がなくなってきた。
「裕美子、ここ出ない?耐えらんねえよ」
「う・・ん、でも・・」
「アロンてさ、いつの間にか『裕美子』って呼ぶようになったよね」
とシャノンが新たな視点を持ち出した。これにはレソフィックが応答した。
「恋人宣言したときにスイッチが切り替わったように変わったんだ。きっと何かあったんだぜ」
裕美子もたまらなくなった。
「・・外、出ましょう、アロン君」
アロンと裕美子は2人して立ち上がった。
「あ、逃げる!」
カーラが叫んだ。
すると裕美子はくるっと振り返えると、並んで座っているカーラとレソフィックに向かって言った。
「聞きたいですか?アロン君が名前で呼ぶようになった理由」
そしてメガネ越しにギロリと睨みつけると
「わたしが名前で呼んでって、頼んだんです。だってその権利獲得したんですから。でしょ?カーラさん」
争奪戦に負けたカーラである。見せつけられてしまった。
「はーい、その通りです。ごめんね」
「やっぱ恐いよね、この娘」
と美女が言う。
アロン達が部屋を出ようとしたら。姿がないと思ったアンザックが部屋に入ってきた。外にいたようだ。
「2人ともどこ行くんだ?おーいみんな、ゲレンデ行こうぜ。カウントダウンイベント始まってるぞ。」
「え?もうそんな時間?」
みんなは着込むとゲレンデへ向かった。
次回「スキー旅行(9):カウントダウンイベント」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(7):やっぱり雪崩発生」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2011 TSO All Rights Reserved
<スキー旅行(8):夜の語らい>
夕食後、部屋では買い込んできたお菓子やジュースを並べて大宴会になっていた。
一部いけない飲料も混じっているようである。
「バイキングで食べるの見てると、勇夫君てウォルト君と同じくらい食べてるよね」
クリスティンが不思議がって言った。
「それなのになんで勇夫は太ってないのよ」
ハウルの疑問にカーラが、
「運動量じゃないかしら」
と分析する。するとウォルトが自分を庇護した。
「俺、食う量減らしてもたくさん食っても変わりないんだ。それなら食った方が得だろ?」
「健康面から考えたら食う量減らした方がいいと思うけど。早死にしちゃ損じゃないか」
レソフィックは変わりないなら長生きする方を取るようだ。その意見にカーラが公平な評価をした。
「その人生観は人によるかもね」
「そういうもんかなあ」
すると、シャノンは独自のウォルト感からくる見解を真っ赤に酔っぱらった顔で言った。
「ウォルトはさー、人間じゃないから、価値観も違うところにあるんだよー」
美女はその見解にではなく、シャノンの赤いを見て言った。
「お子様がそんなに飲んじゃまずいんじゃない?」
「なにおー?あたしより生まれた日遅いくせに」
そう。シャノンはクラスで一番生まれが早いのだ、この見かけなのに。
「カーラ、昼の話の続きはぁ?」
イザベルが昼を思い出してカーラに催促した。
飛びまくる話題も、いよいよ本題に突入である。
「え?ああ、裕美子の?」
裕美子がぴくぴくっと反応する。
するとレソフィックが、
「アロン、これ小泉にあげるよ。飲んでもらって」
とアロンに渡したのはおいしそうなフルーツの絵が入った飲み物。果汁20%の他に何か5%ほど入っているようだ。
カーラが親指を突き立てた。
「レソフィック君、ナイスアイディアよ」
「なに?裕美子に飲ませろ?」
「あ、それ甘くておいしいよー」
ハウルがその意図を察知してさらに勧める。警戒する裕美子。
「ちょっと待ってください。それ、お酒でしょ?いいです、寝ちゃうから」
「寝ちゃったっていいじゃない、宿だし。寝てほしいんだけど」
「だめ!寝ちゃうとお前また変なことするだろ」
アロンが即ダメ出しした。
「カーラを話しやすくするだけよー」
するとジョンまで悪だくみに肩入りしてきた。ジョンもいろいろ聞いてみたいらしい。
「わかった。アロン、2人だけの時間過ごして来い。今なら邪魔入らないぞ」
「わたし達追い出して、何の話するんです?」
「俺ら、激しくくしゃみしそうだよな」
「なにを呑気な・・いやですよ、ぜったいへんな噂話する気なんです」
「大丈夫だって、事実しか言わないから。レソフィック君、アロン君の方の話し教えてね」
カーラがレソフィックに目配せする。
「まかせろ」
レソフィックまであっち側に付かれてアロンは焦った。
「お、お前が何知ってるってんだ!」
裕美子は調子のいいカーラに近寄って覗き込んだ。
「カーラさん、また酔ってますね?」
「ん?今日はまだ飲んでないのよ」
「あ、そういえばそうだっけ。それにしちゃノリいいわね」
ハウルも意外な顔をして、カーラが今飲んでるものを確かめた。確かに単なるオレンジソーダだ。
早く話を聞きたいイザベルは、裕美子達がいるのも構わず話を進め始めた。
「でさ、話によるとオリエンテーリングの後にはもう何?、裕美子はアロンを?」
カーラが答える。
「とっくよとっく。だって入学式の日に見染めたんだから」
美女・イザベル「え?!」と驚く。
「入学式の日、教室で初めて会って、そのとき人目惚れなんだって。すてきよねぇ」
クリスティンが両手を合わせてうっとりしたような顔で言った。
「ごほん、ごほん!」
裕美子が咳込む。
するとジョンとミシェルが首をかしげた。
「え?あのとき教室に小泉いたっけ?」
「俺も覚えないなあ。強烈に印象に残ってるのは、大騒ぎしてたハウルと、俺らをガキ呼ばわりしたシャノンだけど」
「いたわよー。教壇の辺りに。いつの間にかいなくなっちゃったけど。私確か握手したよね?」
アロンはここに居続ける自信がなくなってきた。
「裕美子、ここ出ない?耐えらんねえよ」
「う・・ん、でも・・」
「アロンてさ、いつの間にか『裕美子』って呼ぶようになったよね」
とシャノンが新たな視点を持ち出した。これにはレソフィックが応答した。
「恋人宣言したときにスイッチが切り替わったように変わったんだ。きっと何かあったんだぜ」
裕美子もたまらなくなった。
「・・外、出ましょう、アロン君」
アロンと裕美子は2人して立ち上がった。
「あ、逃げる!」
カーラが叫んだ。
すると裕美子はくるっと振り返えると、並んで座っているカーラとレソフィックに向かって言った。
「聞きたいですか?アロン君が名前で呼ぶようになった理由」
そしてメガネ越しにギロリと睨みつけると
「わたしが名前で呼んでって、頼んだんです。だってその権利獲得したんですから。でしょ?カーラさん」
争奪戦に負けたカーラである。見せつけられてしまった。
「はーい、その通りです。ごめんね」
「やっぱ恐いよね、この娘」
と美女が言う。
アロン達が部屋を出ようとしたら。姿がないと思ったアンザックが部屋に入ってきた。外にいたようだ。
「2人ともどこ行くんだ?おーいみんな、ゲレンデ行こうぜ。カウントダウンイベント始まってるぞ。」
「え?もうそんな時間?」
みんなは着込むとゲレンデへ向かった。
次回「スキー旅行(9):カウントダウンイベント」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(7):やっぱり雪崩発生」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2011 TSO All Rights Reserved
にほんブログ村 |
にほんブログ村 |
☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆
HAtA.さん、xml_xslさん、kuzeさん、ファンページMAXさん、bitさん、あいか5drrさん、くぼたんさん、Shin.Sionさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-03-03 18:14)