<3学期(1):始業式> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第192回
<3学期(1):始業式>
正月明けの始業式。
スキー旅行にクラスの大半が行っていただけに、久しぶりという気はまったくしなかった。
ドジ担任が教室に入ってきた。
「諸君、新年おめでとう。みんな元気にやってきたな。あれ?」
クラスのみんなを見回すと、日に焼けたというか、雪焼けした顔でいっぱいである。
「え・・と、冬季合宿とかあったっけ?」
「ドジ担任、忘れてちゃ困るよなー。来ねえんだもんなー」
「そうだよ。しょうがねえから校長がC組の面倒見たんだぜ」
「ま、まじい?!俺ほんとにそんな行事知らないんだけど・・それに別に今日誰にも怒られなかったし・・・」
「勇夫、アロン、やめなよからかうの」
「大丈夫、そんな行事なかったから」
「あ、焦らせんなよ!」
「焦る方がおかしいよな」
クラスのみんながニヤニヤ笑っている・
「それにしてもなんでみんな日焼けしてるんだ?まさか、お前らだけでどこか行ったのか?生徒だけで。酒盛りしたんだろ!タバコ吸ったり。保護者にも内緒で悪いことしたんだな、こらー!」
「勝手に決めつけて盛り上がんなよ」
「たまたまだろ」
「俺さあ、屋上で昼寝してたら焼けちゃったんだよな」
「俺、日焼けマシーン買ったんだ」
「俺なんざ南国の島に行ってたんだぜ」
「それにしちゃ、ゴーグルの後跡みたいなのがあるわよ。ゴーグルつけて泳いでたんだ」
「そうそう、水中メガネ朝から晩まで着けててさあ、あははは。昼飯のときも外さなかったんだぜ」
ホラ話が飛び交う。ドジ担任もからかわれているとしか思えない。
「お前らの言ってることに真実みがまったく感じられん」
アロンはまたぎりぎりにやってきたので、裕美子と言葉を交わすのはホームルーム中が今日初めてである。横を向いて
「おはよう」
と話かけた。
裕美子はにこりともせずアロンの方へ顔を向けた。メガネで表情がよくわからないが、青い顔をしてる感じがする。
「どうしたの?体調でも悪い?」
「・・ホームルーム終わったら、ちょっと話します」
他愛のないホームルームが終わった。
アロンはにこやかに裕美子の方を向いた。裕美子もアロンの方を向くと、すぐに机の上にあったアロンの右手を両手で握った。
素早くそれに反応して飛んでくるハウル。
「新学期早々いちゃいちゃ?もう、裕美子ったら意外とこういうのに歯止めかかんないんだからー」
クリスティンもやってきた。
「ハウル、うらやましいんだったら、あなたも早く仲進展させなきゃ」
「早く進展って、そのためにはまず相手がいなきゃ」
「相手ならいるじゃない」
「あん?」
裕美子は周りの騒ぎなど聞こえないかのようにアロンに向かって言った。
「あの・・わたし、もしかすると引っ越すかも・・」
「え?・・・どこへ?転校するってこと?」
驚いたのはアロンだけではない。裕美子のところに集まってきたハウルもクリスティンもカーラもである。
「えええ!?」
「せ、せっかく結ばれたのに?なに、その悲劇!」
クリスティンもその悲劇に絡んでる。
「ひろきくんは?!」
「まだ詳しいことわかんないんだけど、お父さんが急に転勤決まったみたいで・・・」
「転勤って、どこへ?」
「アカタ」
「と、遠い!!」
ちなみにアカタ市はこの片いなかから都会へ出てさらに新幹線使って5時間くらいかかるところである。
「いつ?!」
「今月中です・・来週か、遅くともさ来週にはお父さんは行きます」
「ひえー!」
次回「3学期(2):転校に仲間達は」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(12):残念でした」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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「片いなか・ハイスクール」連載第192回
<3学期(1):始業式>
正月明けの始業式。
スキー旅行にクラスの大半が行っていただけに、久しぶりという気はまったくしなかった。
ドジ担任が教室に入ってきた。
「諸君、新年おめでとう。みんな元気にやってきたな。あれ?」
クラスのみんなを見回すと、日に焼けたというか、雪焼けした顔でいっぱいである。
「え・・と、冬季合宿とかあったっけ?」
「ドジ担任、忘れてちゃ困るよなー。来ねえんだもんなー」
「そうだよ。しょうがねえから校長がC組の面倒見たんだぜ」
「ま、まじい?!俺ほんとにそんな行事知らないんだけど・・それに別に今日誰にも怒られなかったし・・・」
「勇夫、アロン、やめなよからかうの」
「大丈夫、そんな行事なかったから」
「あ、焦らせんなよ!」
「焦る方がおかしいよな」
クラスのみんながニヤニヤ笑っている・
「それにしてもなんでみんな日焼けしてるんだ?まさか、お前らだけでどこか行ったのか?生徒だけで。酒盛りしたんだろ!タバコ吸ったり。保護者にも内緒で悪いことしたんだな、こらー!」
「勝手に決めつけて盛り上がんなよ」
「たまたまだろ」
「俺さあ、屋上で昼寝してたら焼けちゃったんだよな」
「俺、日焼けマシーン買ったんだ」
「俺なんざ南国の島に行ってたんだぜ」
「それにしちゃ、ゴーグルの後跡みたいなのがあるわよ。ゴーグルつけて泳いでたんだ」
「そうそう、水中メガネ朝から晩まで着けててさあ、あははは。昼飯のときも外さなかったんだぜ」
ホラ話が飛び交う。ドジ担任もからかわれているとしか思えない。
「お前らの言ってることに真実みがまったく感じられん」
アロンはまたぎりぎりにやってきたので、裕美子と言葉を交わすのはホームルーム中が今日初めてである。横を向いて
「おはよう」
と話かけた。
裕美子はにこりともせずアロンの方へ顔を向けた。メガネで表情がよくわからないが、青い顔をしてる感じがする。
「どうしたの?体調でも悪い?」
「・・ホームルーム終わったら、ちょっと話します」
他愛のないホームルームが終わった。
アロンはにこやかに裕美子の方を向いた。裕美子もアロンの方を向くと、すぐに机の上にあったアロンの右手を両手で握った。
素早くそれに反応して飛んでくるハウル。
「新学期早々いちゃいちゃ?もう、裕美子ったら意外とこういうのに歯止めかかんないんだからー」
クリスティンもやってきた。
「ハウル、うらやましいんだったら、あなたも早く仲進展させなきゃ」
「早く進展って、そのためにはまず相手がいなきゃ」
「相手ならいるじゃない」
「あん?」
裕美子は周りの騒ぎなど聞こえないかのようにアロンに向かって言った。
「あの・・わたし、もしかすると引っ越すかも・・」
「え?・・・どこへ?転校するってこと?」
驚いたのはアロンだけではない。裕美子のところに集まってきたハウルもクリスティンもカーラもである。
「えええ!?」
「せ、せっかく結ばれたのに?なに、その悲劇!」
クリスティンもその悲劇に絡んでる。
「ひろきくんは?!」
「まだ詳しいことわかんないんだけど、お父さんが急に転勤決まったみたいで・・・」
「転勤って、どこへ?」
「アカタ」
「と、遠い!!」
ちなみにアカタ市はこの片いなかから都会へ出てさらに新幹線使って5時間くらいかかるところである。
「いつ?!」
「今月中です・・来週か、遅くともさ来週にはお父さんは行きます」
「ひえー!」
次回「3学期(2):転校に仲間達は」へ続く!
前回のお話「スキー旅行(12):残念でした」
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あいか5drrさん、xml_xslさん、bitさん、くぼたんさん、ペンギンさん、ケンケン@さん、響さん、F−USAさん、niceありがとうございます。
どうも変だと思ったら、タイトル間違えてましたね。新章に入ってますので直しました。
by TSO (2011-04-18 15:23)