<同棲(2):お願い> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第202回
<同棲(2):お願い>
駅前で時間をつぶしてから、裕美子はアロンの家を訪れた。アロンは既に病院から帰ってきていた。
「よお、裕美子。どうしたの?そんなでかい荷物持って」
「検査結果はどうでした?」
「全然問題ないよ」
裕美子は首を傾げてニコっと微笑んだ。
「よかった」
「心配してくれてありがとう。で、その荷物なに?」
「相談したいことがあって。上がってもいいですか?」
「ああ、どうぞ」
「はい、お土産」
と裕美子は駅前で買ったお茶とお菓子を差し出した。
「何?相談て。これで手を打てって?」
「いい勘ですね」
「もしかして寮のこと?やっぱひどいのかい?」
「そうなんです。身の危険を感じるから寮出ようと思って。それで相談て言うより、お願いなんです。・・・いい?」
「俺でできること?」
「アロン君にしか頼めないこと」
その妙に艶っぽい言い方に、アロンはどきっとした。
裕美子はニコっと笑って顔を赤くするととんでもないことを言い出した。
「あのですね・・しばらくここに泊めてほしい。その・・引っ越し先が見つかるまで」
アロンは飛び上がった。
「ええ!ここに?!」
「実力テストが近いから、今はあまりごたごたしたくなくて。テストが終わってからアパート探しするつもりなので、ちょっと長く泊まりたいのだけど・・・いい?」
「本気で言ってんの?」
「・・はい」
メガネ越しに見つめられ、今度はアロンが顔を赤くした。
「・・なんでそんな大胆なんだ。おもしれえというか・・・。でも親に内緒で寮出れないぜ。かといって寮を不在にもできないだろうし」
「親には言っとくつもり。・・あの・・・若い男女で、しかもお互い意識する仲というのはあるんだけど・・・わたしはけじめはつけておきたい。まだわたし達学生でしょ?学生としてやるべきことはまず優先。それをやったうえでないとこういう大胆な行動は非難される。でもやるべきことをやっていれば恐れることないですから。わたし達ならそのうえで恋愛する時間くらい作れますよね?」
裕美子をまじまじと見た。アロンはあらためてその奥深さを感じた気がした。
「・・すげえ。大人しそうに見せて、やっぱ中身はすごいや。いいよ。親の了解あろうとなかろうと来ていいよ。そして俺らなら文句言われない、言わせない。できるさ」
「ありがとう、さすがアロン君です」
裕美子はアロンの手を取った。恥ずかしげに傾げた顔をゆっくり上げてアロンの顔を見る。するとアロンはひしっと裕美子を抱きかかえたので顔が真っ赤になった。
「あ、あのアロン君、ちょっとすみません・・」
そう言って離れると、大きなバッグを取って戻ってきた。
「身の回りのもの持ってきてあるの。もう寮に戻らないつもりだから」
「ええ!今から!?準備いいなあ。どうりででかいバッグ持ってるわけだ」
「ごめんなさい。私の場所作れます?」
「領土半分割譲か。まあ、なんとかするよ」
「ありがとう」
次回「同棲(3):許可」へ続く!
前回のお話「同棲(1):決意」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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「片いなか・ハイスクール」連載第202回
<同棲(2):お願い>
駅前で時間をつぶしてから、裕美子はアロンの家を訪れた。アロンは既に病院から帰ってきていた。
「よお、裕美子。どうしたの?そんなでかい荷物持って」
「検査結果はどうでした?」
「全然問題ないよ」
裕美子は首を傾げてニコっと微笑んだ。
「よかった」
「心配してくれてありがとう。で、その荷物なに?」
「相談したいことがあって。上がってもいいですか?」
「ああ、どうぞ」
「はい、お土産」
と裕美子は駅前で買ったお茶とお菓子を差し出した。
「何?相談て。これで手を打てって?」
「いい勘ですね」
「もしかして寮のこと?やっぱひどいのかい?」
「そうなんです。身の危険を感じるから寮出ようと思って。それで相談て言うより、お願いなんです。・・・いい?」
「俺でできること?」
「アロン君にしか頼めないこと」
その妙に艶っぽい言い方に、アロンはどきっとした。
裕美子はニコっと笑って顔を赤くするととんでもないことを言い出した。
「あのですね・・しばらくここに泊めてほしい。その・・引っ越し先が見つかるまで」
アロンは飛び上がった。
「ええ!ここに?!」
「実力テストが近いから、今はあまりごたごたしたくなくて。テストが終わってからアパート探しするつもりなので、ちょっと長く泊まりたいのだけど・・・いい?」
「本気で言ってんの?」
「・・はい」
メガネ越しに見つめられ、今度はアロンが顔を赤くした。
「・・なんでそんな大胆なんだ。おもしれえというか・・・。でも親に内緒で寮出れないぜ。かといって寮を不在にもできないだろうし」
「親には言っとくつもり。・・あの・・・若い男女で、しかもお互い意識する仲というのはあるんだけど・・・わたしはけじめはつけておきたい。まだわたし達学生でしょ?学生としてやるべきことはまず優先。それをやったうえでないとこういう大胆な行動は非難される。でもやるべきことをやっていれば恐れることないですから。わたし達ならそのうえで恋愛する時間くらい作れますよね?」
裕美子をまじまじと見た。アロンはあらためてその奥深さを感じた気がした。
「・・すげえ。大人しそうに見せて、やっぱ中身はすごいや。いいよ。親の了解あろうとなかろうと来ていいよ。そして俺らなら文句言われない、言わせない。できるさ」
「ありがとう、さすがアロン君です」
裕美子はアロンの手を取った。恥ずかしげに傾げた顔をゆっくり上げてアロンの顔を見る。するとアロンはひしっと裕美子を抱きかかえたので顔が真っ赤になった。
「あ、あのアロン君、ちょっとすみません・・」
そう言って離れると、大きなバッグを取って戻ってきた。
「身の回りのもの持ってきてあるの。もう寮に戻らないつもりだから」
「ええ!今から!?準備いいなあ。どうりででかいバッグ持ってるわけだ」
「ごめんなさい。私の場所作れます?」
「領土半分割譲か。まあ、なんとかするよ」
「ありがとう」
次回「同棲(3):許可」へ続く!
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xml_xslさん、あいか5drrさん、HAtA.さん、bitさん、akechiさん、くぼたんさん、りたーむさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-05-12 22:31)