<同棲(1):決意> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第201回
<同棲(1):決意>
美女は自分の席で本を読んでいた。
裕美子は美女のところへやってくると、その隣の席の椅子を引き出してちょこんと座った。
美女は本から顔を上げた。
「どう?少しは寮に慣れた?」
「・・美女さんが入ったとき、洗濯当番てありました?」
「洗濯当番?そんなのはなかったわよ。掃除当番はあったけど」
「やっぱり上級生が好き勝手にルール決めてるんだ。・・・美女さんの言ったとおりひどい状態ですね。私ももう十分です」
「でしょう?」
裕美子は寮を出る決意をしたのだ。
「出て行くにしても行くとこがないわ・・・実力試験も近いのに、引っ越し先探しで時間取られるのもいやだし・・どこか知りません?」
「わ、私は不動産屋じゃないわ。たしか不動産屋は駅前に2軒ほどあるわよ」
「引っ越し先が見つかるまでとてもあそこで寝泊まりは耐えられそうにないし。どうしよう・・・そうだ!」
何か思いついたようだった。椅子から立ち上がったが、しかし
「・・・そっか、検査で夕方まで帰ってこないんだっけ・・」
美女がおそるおそる聞いてきた。
「も、もしかしてアロンのところに転がり込む気で?」
裕美子は頬に手を添えてちょっと赤らめて答えた。
「許してもらえるかしら」
「ほ、本気!?」
ちらっと美女を見ると、こくっと頷いた。
ぶったまげる美女だった。
「ほんとに知れば知るほど見かけによらない人ね」
「まだ決まったわけじゃないし、OK出るかもわからないし・・・誰にも言わないでくださいね」
「・・黙っといてあげるけど・・・OK出たかは教えてね」
裕美子は上体を折って美女に顔を近付けると、ちょっと小さい声で言った。
「秘密でお願いしますよ」
裕美子は寮へ帰ると、寮管に休日実家へ帰るからと外泊許可を得た。
「日曜は門限までに帰るんだよ!」
「はい。遅れそうなときは連絡すればいいですか?」
「規則は簡単に曲げられないよ」
「え・・でも実家はアカタ市なので、電車が遅れたりしたら可能性あるかもしれないんですけど・・」
「ふん。そうしたら遅延証明を鉄道会社からもらいなさい。もちろん私のところに遅れると連絡すること。それで私はあんたの実家に電話して何時に出たか確認取るから」
「はあ。わかりました」
管理人室を出ると、そのドアに向かって裕美子は声に出さず言った。
『寮生を信用してないですね・・』
一泊二日にしては大きなバッグに荷物を詰め、裕美子は寮を出た。
駅まで行くと、不動産屋の物件情報を見る。片田舎にはそもそも物件が少なかった。
「これは本当に探そうと思っても、簡単に見つかりそうにないわ」
次回「同棲(2):お願い」へ続く!
前回のお話「入寮(6):自主作成ルール」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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「片いなか・ハイスクール」連載第201回
<同棲(1):決意>
美女は自分の席で本を読んでいた。
裕美子は美女のところへやってくると、その隣の席の椅子を引き出してちょこんと座った。
美女は本から顔を上げた。
「どう?少しは寮に慣れた?」
「・・美女さんが入ったとき、洗濯当番てありました?」
「洗濯当番?そんなのはなかったわよ。掃除当番はあったけど」
「やっぱり上級生が好き勝手にルール決めてるんだ。・・・美女さんの言ったとおりひどい状態ですね。私ももう十分です」
「でしょう?」
裕美子は寮を出る決意をしたのだ。
「出て行くにしても行くとこがないわ・・・実力試験も近いのに、引っ越し先探しで時間取られるのもいやだし・・どこか知りません?」
「わ、私は不動産屋じゃないわ。たしか不動産屋は駅前に2軒ほどあるわよ」
「引っ越し先が見つかるまでとてもあそこで寝泊まりは耐えられそうにないし。どうしよう・・・そうだ!」
何か思いついたようだった。椅子から立ち上がったが、しかし
「・・・そっか、検査で夕方まで帰ってこないんだっけ・・」
美女がおそるおそる聞いてきた。
「も、もしかしてアロンのところに転がり込む気で?」
裕美子は頬に手を添えてちょっと赤らめて答えた。
「許してもらえるかしら」
「ほ、本気!?」
ちらっと美女を見ると、こくっと頷いた。
ぶったまげる美女だった。
「ほんとに知れば知るほど見かけによらない人ね」
「まだ決まったわけじゃないし、OK出るかもわからないし・・・誰にも言わないでくださいね」
「・・黙っといてあげるけど・・・OK出たかは教えてね」
裕美子は上体を折って美女に顔を近付けると、ちょっと小さい声で言った。
「秘密でお願いしますよ」
裕美子は寮へ帰ると、寮管に休日実家へ帰るからと外泊許可を得た。
「日曜は門限までに帰るんだよ!」
「はい。遅れそうなときは連絡すればいいですか?」
「規則は簡単に曲げられないよ」
「え・・でも実家はアカタ市なので、電車が遅れたりしたら可能性あるかもしれないんですけど・・」
「ふん。そうしたら遅延証明を鉄道会社からもらいなさい。もちろん私のところに遅れると連絡すること。それで私はあんたの実家に電話して何時に出たか確認取るから」
「はあ。わかりました」
管理人室を出ると、そのドアに向かって裕美子は声に出さず言った。
『寮生を信用してないですね・・』
一泊二日にしては大きなバッグに荷物を詰め、裕美子は寮を出た。
駅まで行くと、不動産屋の物件情報を見る。片田舎にはそもそも物件が少なかった。
「これは本当に探そうと思っても、簡単に見つかりそうにないわ」
次回「同棲(2):お願い」へ続く!
前回のお話「入寮(6):自主作成ルール」
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☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆
刺激的なタイトルで始まりました新章です。
いいんでしょうか、こんなこと書いて。このままお色気小説へ?
by TSO (2011-05-08 22:20)
F−USAさん、xml_xslさん、あいか5drrさん、ケンケン@さん、bitさん、HAtA.さん、くぼたんさん、takemoviesさん、niceありがとうございます。
by TSO (2011-05-09 21:11)