<過去との決別(3):人殺し> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
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「片いなか・ハイスクール」連載第239回
<過去との決別(3):人殺し>
3月9日 火曜日
「おい、ドジ担任。裕美子から欠席の連絡あったか?」
ホームルームの後、アロンはドジ担任を捉まえた。
「いんや?珍しいな、あの小泉君が無断欠席なんて。どうしたんだろ。お前付き合ってんだろ?なんかしたんじゃないのか?まさか無理やり迫ったりしたんだろ。いやらしいことしようとしたんだな、こらー!」
「勝手に話し作んなよ!」
こいつに相談しようってのが間違いだったかと思ったが、生徒目線で味方に付く可能性があるのもドジ担任なので、ここはこらえた。
「まあ落ち着いて聞けよ。実はさ、昨日からちょっと変だったんだ。A組にレイ・サクラギってのが転校してきたろ?裕美子の中学の同級らしいんだけど、レイの名前を聞いたとたんに裕美子おかしくなって。・・学校では裕美子の中学のこと何か聞いてないか?」
「さあ」
「やっぱり。ドジ担任に話がいってるとは思えねぇな」
「なんだ、その俺がたよりないみたいな言い方は」
「頼りないじゃねえか。知らないんなら学年主任とか、校長とかに聞いてみてくれよ。頼むぜ」
「まったく。みんなして俺を馬鹿にっしやがって」
その日、A組から変なうわさが広まり始めた。出所はもちろんレイ・サクラギ。
うわさとは、裕美子は人殺し、というものだ。
アロンは再びドジ担任を捉まえた。
「ドジ担任、聞いてくれたか?何か分かった?」
「ああ。小泉くんの中学時代のことだけど、学年主任は何も知らなかった。でも教頭によると、彼女ひどい失調症で引きこもり状態だったそうだ。校長の指示で入学当初はよく様子みるようしてたらしいけど、すぐ大丈夫ってことで様子見もなくなったって。校長が何か一番知ってるみたいなんだけど、留守なんだよね」
「先生は知らないで担任してたのか。信用ねえんだなあ」
「そりゃねえでだろ!調べてやってんのに、ちっとは感謝くらいしろよ」
「裕美子見つけたらな。失調症?確かに最初のころは極度におとなしかったけど。でもそれだけであの噂はないだろ」
「噂?」
「あ、ああ。なんかA組の方からちょっとな」
「A組からのか。俺も小耳に挟んだ」
「ドジ担任も聞いたか・・。やっぱなんかやばいよ。噂の真意はともかく、裕美子探さないとまずいよ」
「そうだな。まだ何かあるのかな。俺はもう少し調べてみる。校長をなんとか捕まえよう」
その日の夜。アロンのアパートの部屋にはレソフィックと勇夫もいた。
アロンは勇夫とレソフィックにも裕美子の中学校について調べてもらっていた。その間、電話をしていたアロンは2人のところに戻ってきた。
「裕美子の実家に電話したけど、留守で誰も出ない。実家に行ったんじゃないのかなあ」
「久々に小泉が戻ってきて、みんなで飯でも食いに行ってるんじゃねえの?」
勇夫は比較的のんきだった。
するとネットで調べていたレソフィックが画面を指差してアロンを呼んだ。
「アロン、これ小泉の中学だろ?3年前の新聞記事だけど」
勇夫が覗き込む。
「んー?男子生徒自殺だって。俺ら中1のときだな」
アロンは腕組をした。
「あの変な噂にちょっと近い話だな。なんか関係してるのかな」
次回「過去との決別(4):事件との関係」へ続く!
前回のお話「過去との決別(2):異常反応」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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「片いなか・ハイスクール」連載第239回
<過去との決別(3):人殺し>
3月9日 火曜日
「おい、ドジ担任。裕美子から欠席の連絡あったか?」
ホームルームの後、アロンはドジ担任を捉まえた。
「いんや?珍しいな、あの小泉君が無断欠席なんて。どうしたんだろ。お前付き合ってんだろ?なんかしたんじゃないのか?まさか無理やり迫ったりしたんだろ。いやらしいことしようとしたんだな、こらー!」
「勝手に話し作んなよ!」
こいつに相談しようってのが間違いだったかと思ったが、生徒目線で味方に付く可能性があるのもドジ担任なので、ここはこらえた。
「まあ落ち着いて聞けよ。実はさ、昨日からちょっと変だったんだ。A組にレイ・サクラギってのが転校してきたろ?裕美子の中学の同級らしいんだけど、レイの名前を聞いたとたんに裕美子おかしくなって。・・学校では裕美子の中学のこと何か聞いてないか?」
「さあ」
「やっぱり。ドジ担任に話がいってるとは思えねぇな」
「なんだ、その俺がたよりないみたいな言い方は」
「頼りないじゃねえか。知らないんなら学年主任とか、校長とかに聞いてみてくれよ。頼むぜ」
「まったく。みんなして俺を馬鹿にっしやがって」
その日、A組から変なうわさが広まり始めた。出所はもちろんレイ・サクラギ。
うわさとは、裕美子は人殺し、というものだ。
アロンは再びドジ担任を捉まえた。
「ドジ担任、聞いてくれたか?何か分かった?」
「ああ。小泉くんの中学時代のことだけど、学年主任は何も知らなかった。でも教頭によると、彼女ひどい失調症で引きこもり状態だったそうだ。校長の指示で入学当初はよく様子みるようしてたらしいけど、すぐ大丈夫ってことで様子見もなくなったって。校長が何か一番知ってるみたいなんだけど、留守なんだよね」
「先生は知らないで担任してたのか。信用ねえんだなあ」
「そりゃねえでだろ!調べてやってんのに、ちっとは感謝くらいしろよ」
「裕美子見つけたらな。失調症?確かに最初のころは極度におとなしかったけど。でもそれだけであの噂はないだろ」
「噂?」
「あ、ああ。なんかA組の方からちょっとな」
「A組からのか。俺も小耳に挟んだ」
「ドジ担任も聞いたか・・。やっぱなんかやばいよ。噂の真意はともかく、裕美子探さないとまずいよ」
「そうだな。まだ何かあるのかな。俺はもう少し調べてみる。校長をなんとか捕まえよう」
その日の夜。アロンのアパートの部屋にはレソフィックと勇夫もいた。
アロンは勇夫とレソフィックにも裕美子の中学校について調べてもらっていた。その間、電話をしていたアロンは2人のところに戻ってきた。
「裕美子の実家に電話したけど、留守で誰も出ない。実家に行ったんじゃないのかなあ」
「久々に小泉が戻ってきて、みんなで飯でも食いに行ってるんじゃねえの?」
勇夫は比較的のんきだった。
するとネットで調べていたレソフィックが画面を指差してアロンを呼んだ。
「アロン、これ小泉の中学だろ?3年前の新聞記事だけど」
勇夫が覗き込む。
「んー?男子生徒自殺だって。俺ら中1のときだな」
アロンは腕組をした。
「あの変な噂にちょっと近い話だな。なんか関係してるのかな」
次回「過去との決別(4):事件との関係」へ続く!
前回のお話「過去との決別(2):異常反応」
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by TSO (2011-11-23 22:04)