<過去との決別(7):あのとき支えてくれた人> [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ!
トップ絵、予告通り去年の絵です‥手抜きすみません。
Merry christmas.
タイトル間違えてました。再アップしてます。重ね重ねすみんませんです。
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「片いなか・ハイスクール」連載第243回
<過去との決別(7):あのとき支えてくれた人>
3月11日 木曜日
翌朝、ダリビーチでアロンが辺りの宿や店などに聞き込みを始めようとしていたとき、裕美子のお父さんから電話があった。
・・(アロン君、心当たりがもう一つあった。裕美子が中一のときの担任の先生だ。中学のとき、唯一の味方だった人だ。今は別の学校へ赴任しているらしい。家の住所を突き止めた)・・
「どこですか?すぐ行ってみます」
・・(ラナ県だ。君らの町から4時間はかかる。遠いぞ)・・
「ラナ県ですか?俺、今ダリビーチにいるんです。高速で2時間で行けます。すぐ行きます」
・・(すまない。私も行ってみる。・・アロン君、本当に君には感謝している。君はあの裕美子が・・・、人間不信になっていた裕美子が、家族のいない先に一人で残るとまで決心させた、家族と同等に信頼した人間なんだ。どんな結果になったとしても君には感謝しているよ)・・
最悪の事態になったとしても受け入れる覚悟を決めたかのような裕美子のお父さんの発言。だが、アロンは裕美子を信じていた。
「大丈夫、裕美子はいます。今のC組でも一時期悪い雰囲気になったときがあったけど、彼女は乗り越えたんです。裕美子の精神はそんな軟じゃありません」
・・(でもそれは君の支えがあったからだ)・・
「お父さん、行きましょう。その恩師のところへ。きっと今はそこが支えです」
・・(そうだな。行ってみよう)・・
リーダーはアロンからの電話を受けていた。
「うん、うん。わかった。アロンは直行するんだな。着くのは2,3時間後?じゃ、よろしく頼む。状況すぐ連絡してくれ」
ドジ担任はチャンから話を聞いた。
「そこが濃厚そうなんだな?じゃあこっちはあまり動かずにいるか。レソフィック、一応アロンを引き継いでダリビーチの聞き込みに行ってくれるか?」
「戻ってきたときのための駅前の張り込みはどうする?」
ミシェルがカーラに尋ねた。
「1時間交代で、駅まん前のお店へ。1番手グループ決めよう」
見張りの順番を作っているのを上から覗き込みながら今度はリーダーがカーラに聞いた。裕美子がいない間、参謀格はカーラらしい。
「ショッピングタウンは見なくていいんだね?」
「あそこは夜店閉じるから、あそこでは夜を越せないわ」
「なるほどね。やっぱり恩師の先生のところが最有力だね。ドジ先生、アロンが見つけたときのことを考えて、みんなが乗れるあのでっかいバン持ってこれませんか?裕美子さんがラナ県の恩師のところにいたら駆け付けましょう」
「あれ校長のうちのなんだよな・・借りれっかな」
アロンはダリビーチから高速を飛ばしてラナ県に入った。
向かったのはラナ県の郊外。辺りはのんびりした小麦畑が続いていた。アロン達の分校のある町の外れの丘陵地帯にちょっと似ていた。
GPSの案内で裕美子の親から教えてもらっていた住所へ向かうと、バイクは緩やかな小麦畑の丘を駆け上がり、見晴らしのいい高台の上の、広い庭を備えた平屋の家がいくつかあるところへ着いた。
そのどれかが裕美子中一のときの女性担任、グリア・ガーランド先生の家ということか。
一軒一軒確かめながらゆっくりバイクを走らせていく。どの家も庭をきれいに手入れしていた。その中で、一際西洋芝の緑が鮮やかな家があった。白く塗られた木の柵が眩しい。その柵の一角に観音開きの扉がある。その扉に打ちつけられた表札を見て、アロンはバイクのエンジンを止めた。表札には「ガーランド」とあった。
次回「過去との決別(8):もう一人じゃない」へ続く!
前回のお話「過去との決別(6):捜索活動」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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トップ絵、予告通り去年の絵です‥手抜きすみません。
Merry christmas.
タイトル間違えてました。再アップしてます。重ね重ねすみんませんです。
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「片いなか・ハイスクール」連載第243回
<過去との決別(7):あのとき支えてくれた人>
3月11日 木曜日
翌朝、ダリビーチでアロンが辺りの宿や店などに聞き込みを始めようとしていたとき、裕美子のお父さんから電話があった。
・・(アロン君、心当たりがもう一つあった。裕美子が中一のときの担任の先生だ。中学のとき、唯一の味方だった人だ。今は別の学校へ赴任しているらしい。家の住所を突き止めた)・・
「どこですか?すぐ行ってみます」
・・(ラナ県だ。君らの町から4時間はかかる。遠いぞ)・・
「ラナ県ですか?俺、今ダリビーチにいるんです。高速で2時間で行けます。すぐ行きます」
・・(すまない。私も行ってみる。・・アロン君、本当に君には感謝している。君はあの裕美子が・・・、人間不信になっていた裕美子が、家族のいない先に一人で残るとまで決心させた、家族と同等に信頼した人間なんだ。どんな結果になったとしても君には感謝しているよ)・・
最悪の事態になったとしても受け入れる覚悟を決めたかのような裕美子のお父さんの発言。だが、アロンは裕美子を信じていた。
「大丈夫、裕美子はいます。今のC組でも一時期悪い雰囲気になったときがあったけど、彼女は乗り越えたんです。裕美子の精神はそんな軟じゃありません」
・・(でもそれは君の支えがあったからだ)・・
「お父さん、行きましょう。その恩師のところへ。きっと今はそこが支えです」
・・(そうだな。行ってみよう)・・
リーダーはアロンからの電話を受けていた。
「うん、うん。わかった。アロンは直行するんだな。着くのは2,3時間後?じゃ、よろしく頼む。状況すぐ連絡してくれ」
ドジ担任はチャンから話を聞いた。
「そこが濃厚そうなんだな?じゃあこっちはあまり動かずにいるか。レソフィック、一応アロンを引き継いでダリビーチの聞き込みに行ってくれるか?」
「戻ってきたときのための駅前の張り込みはどうする?」
ミシェルがカーラに尋ねた。
「1時間交代で、駅まん前のお店へ。1番手グループ決めよう」
見張りの順番を作っているのを上から覗き込みながら今度はリーダーがカーラに聞いた。裕美子がいない間、参謀格はカーラらしい。
「ショッピングタウンは見なくていいんだね?」
「あそこは夜店閉じるから、あそこでは夜を越せないわ」
「なるほどね。やっぱり恩師の先生のところが最有力だね。ドジ先生、アロンが見つけたときのことを考えて、みんなが乗れるあのでっかいバン持ってこれませんか?裕美子さんがラナ県の恩師のところにいたら駆け付けましょう」
「あれ校長のうちのなんだよな・・借りれっかな」
アロンはダリビーチから高速を飛ばしてラナ県に入った。
向かったのはラナ県の郊外。辺りはのんびりした小麦畑が続いていた。アロン達の分校のある町の外れの丘陵地帯にちょっと似ていた。
GPSの案内で裕美子の親から教えてもらっていた住所へ向かうと、バイクは緩やかな小麦畑の丘を駆け上がり、見晴らしのいい高台の上の、広い庭を備えた平屋の家がいくつかあるところへ着いた。
そのどれかが裕美子中一のときの女性担任、グリア・ガーランド先生の家ということか。
一軒一軒確かめながらゆっくりバイクを走らせていく。どの家も庭をきれいに手入れしていた。その中で、一際西洋芝の緑が鮮やかな家があった。白く塗られた木の柵が眩しい。その柵の一角に観音開きの扉がある。その扉に打ちつけられた表札を見て、アロンはバイクのエンジンを止めた。表札には「ガーランド」とあった。
次回「過去との決別(8):もう一人じゃない」へ続く!
前回のお話「過去との決別(6):捜索活動」
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☆Happy Christmas☆
素敵なクリスマスをお過ごし下さい。
by (。・_・。)2k (2011-12-24 12:51)
メリークリスマス!!
今年もあともう少し・・・・・お互い頑張りましょう~~
by やま (2011-12-24 21:21)
(。・_・。)2kさん、kawasemiさん、あいか5drrさん、HAtAさん、toramanさん、やまさん、いっぷくさん、「直chan」さん、niceありがとうございます。
(。・_・。)2kさん、やまさん、コメントありがとうございます。
メリークリスマス!
みなさんクリスマスらしいすばらしい作品をアップしているので予定外の行動に出てしまいました。ということで次の記事へ・・
by TSO (2011-12-25 21:24)