＜第２部：第４章 クラス委員決め（４）:年間行事＞ [片いなか・ハイスクール]
東日本大震災被災地がんばれ！
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「片いなか・ハイスクール」連載第267回
＜第２部：第４章 クラス委員決め（４）:年間行事＞
さらに次の日。前回の生徒会から２日後。
生徒会は再び集まりがあった。
その日の会合では、年間行事予定の説明が行われた。各行事と生徒会の関わり、他の委員との関わりなどだ。
『防災委員とは関わり合うことあるのかな』
一瞬期待感が湧いたが、すぐそれは引っ込んだ。
関わりがあったとしても、はたしてイザベルさんとくっついたアロン君と一緒になるというのはどうだろう。かえって悲しくないだろうか。
説明が一通り終わった。
体育系の行事は体育委員、文科系の行事は文化委員が主体というのは予想通り。健康診断は保険委員、避難訓練は防災委員というのも当たり前のことだ。生徒会は全ての行事に関わってバックアップするが、人手が必要な行事では直接の手伝いは他の委員がやることになっていた。だが説明を聞いているとかなり偏りがあった。
同じように思ったらしい、横に座っていたチャンが発言した。
「ずいぶん広報委員が呼ばれているようですが？」
チャンの言う通り、多くの行事にサポートとして広報委員が入っていたのだ。広報委員はＣ組ではレソフィックである。裕美子はまだレソフィックに対して悪い印象を持っていたので、こんなに関わるのはどうにかできないものだろうかと聞いてて思ってたところだった。
「事前の開催告知や宣伝活動なんかで関わうからよぅ、そのまま参画するっちゅうのがパターンやね」
「でも先生からはもっと広く関われるようにできないかって話も出てるよ」
「それは本校の言い分だろう？人数の少ない分校でやったらみんな事務局になっちゃうよ」
「それにしても広報委員の偏りはやっぱり何かしないとかなあ」
裕美子は顎の辺りに手をやって少し考えた。
『どうせ関わるなら防災委員、アロン君がいい。だってアロン君はまだイザベルさんの彼氏と決まった訳じゃない。もしかすると断るかもしれない。・・今はアロン君と関われる機会を増やそう』
裕美子は手を挙げた。
「あの、提案なんですけど・・会場設営とかのある行事はもっと防災委員使ったらどうですか？教室の営繕を担当しているし、工事を伴う作業は広報より向いているんじゃないでしょうか」
防災委員は別名安全衛生委員。火事や災害など事が起きたときだけでなく、普段から怪我防止や安全確保のため教室の修繕も担当しているのだ。備品補充もそういった流れの中の仕事なのである。
「そうだねえ・・」
「学内ライブなんか広報いるけぇもよぅ、結局ステージやら作るんに大工作業でいつも防災呼んじゅうじゃん。あやつら慣れちゅうってんで」
「そだな。それなら最初っから入れときゃいいんだ」
「あと大掛かりな設営があるんは、絵画展？」
「あれは業者が工事するじゃん」
「その工事指示を出さななんねぇ。いいじゃん、今年は防災にやらせてみれば？」
『やった！なんかうまくいった』
「あ、あと思いつくところでは、球技大会に保険委員を回すとか。怪我とかありませんか？」
「あるある！」
「小泉さん、冴えてるねえ。１年生とは思えないな」
もちろん最後のはカムフラージュである。こないだから防災委員をひいきしすぎてるからだ。感付く人がいるかもしれない。バレてないか横のチャンをちらっと見た。
「小泉さん、やっぱり思った通り、あなたはすごい人だ」
気付いてないにしてもそれはいくら何でも褒めすぎだと思う。本当の理由を知ったらひっくり返るだろうな・・
馬鹿が付きそうなほど人の良さそうな笑いを向けるチャンを見て、オリエンテーリングの時の強権発動者と同じ人とは思えなかった。
こうして裕美子はアロンと一緒になる学校の仕事を着実に増やしていったのだった。
次回「第２部：第４章 クラス委員決め（５）:イザベルのお礼アタック２回目」へ続く！
前回のお話「第２部：第４章 クラス委員決め（３）:イザベルのお礼アタック」
対応する第１部のお話「第１部：第５章 クラス委員」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2012 TSO All Rights Reserved
10月の絵画展の実行委員にアロンがいたのは偶然ではなかったのですね。絵を集めるために奔走したり、会場に絵を持っていく最中に幼なじみの正体がばれたりと、二人にとって何かとあったイベントでしたから、裕美子の根回しは無駄になってなかったわけです。
※片いなか・ハイスクール第２部は、第１部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第１部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第１部のお話」で飛ぶことができます。
ぽちっと応援してください。
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さらに次の日。前回の生徒会から２日後。
生徒会は再び集まりがあった。
その日の会合では、年間行事予定の説明が行われた。各行事と生徒会の関わり、他の委員との関わりなどだ。
『防災委員とは関わり合うことあるのかな』
一瞬期待感が湧いたが、すぐそれは引っ込んだ。
関わりがあったとしても、はたしてイザベルさんとくっついたアロン君と一緒になるというのはどうだろう。かえって悲しくないだろうか。
説明が一通り終わった。
体育系の行事は体育委員、文科系の行事は文化委員が主体というのは予想通り。健康診断は保険委員、避難訓練は防災委員というのも当たり前のことだ。生徒会は全ての行事に関わってバックアップするが、人手が必要な行事では直接の手伝いは他の委員がやることになっていた。だが説明を聞いているとかなり偏りがあった。
同じように思ったらしい、横に座っていたチャンが発言した。
「ずいぶん広報委員が呼ばれているようですが？」
チャンの言う通り、多くの行事にサポートとして広報委員が入っていたのだ。広報委員はＣ組ではレソフィックである。裕美子はまだレソフィックに対して悪い印象を持っていたので、こんなに関わるのはどうにかできないものだろうかと聞いてて思ってたところだった。
「事前の開催告知や宣伝活動なんかで関わうからよぅ、そのまま参画するっちゅうのがパターンやね」
「でも先生からはもっと広く関われるようにできないかって話も出てるよ」
「それは本校の言い分だろう？人数の少ない分校でやったらみんな事務局になっちゃうよ」
「それにしても広報委員の偏りはやっぱり何かしないとかなあ」
裕美子は顎の辺りに手をやって少し考えた。
『どうせ関わるなら防災委員、アロン君がいい。だってアロン君はまだイザベルさんの彼氏と決まった訳じゃない。もしかすると断るかもしれない。・・今はアロン君と関われる機会を増やそう』
裕美子は手を挙げた。
「あの、提案なんですけど・・会場設営とかのある行事はもっと防災委員使ったらどうですか？教室の営繕を担当しているし、工事を伴う作業は広報より向いているんじゃないでしょうか」
防災委員は別名安全衛生委員。火事や災害など事が起きたときだけでなく、普段から怪我防止や安全確保のため教室の修繕も担当しているのだ。備品補充もそういった流れの中の仕事なのである。
「そうだねえ・・」
「学内ライブなんか広報いるけぇもよぅ、結局ステージやら作るんに大工作業でいつも防災呼んじゅうじゃん。あやつら慣れちゅうってんで」
「そだな。それなら最初っから入れときゃいいんだ」
「あと大掛かりな設営があるんは、絵画展？」
「あれは業者が工事するじゃん」
「その工事指示を出さななんねぇ。いいじゃん、今年は防災にやらせてみれば？」
『やった！なんかうまくいった』
「あ、あと思いつくところでは、球技大会に保険委員を回すとか。怪我とかありませんか？」
「あるある！」
「小泉さん、冴えてるねえ。１年生とは思えないな」
もちろん最後のはカムフラージュである。こないだから防災委員をひいきしすぎてるからだ。感付く人がいるかもしれない。バレてないか横のチャンをちらっと見た。
「小泉さん、やっぱり思った通り、あなたはすごい人だ」
気付いてないにしてもそれはいくら何でも褒めすぎだと思う。本当の理由を知ったらひっくり返るだろうな・・
馬鹿が付きそうなほど人の良さそうな笑いを向けるチャンを見て、オリエンテーリングの時の強権発動者と同じ人とは思えなかった。
こうして裕美子はアロンと一緒になる学校の仕事を着実に増やしていったのだった。
次回「第２部：第４章 クラス委員決め（５）:イザベルのお礼アタック２回目」へ続く！
前回のお話「第２部：第４章 クラス委員決め（３）:イザベルのお礼アタック」
対応する第１部のお話「第１部：第５章 クラス委員」
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10月の絵画展の実行委員にアロンがいたのは偶然ではなかったのですね。絵を集めるために奔走したり、会場に絵を持っていく最中に幼なじみの正体がばれたりと、二人にとって何かとあったイベントでしたから、裕美子の根回しは無駄になってなかったわけです。
※片いなか・ハイスクール第２部は、第１部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第１部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第１部のお話」で飛ぶことができます。
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by TSO (2012-08-26 10:16)