<第2部:第7章 隣町への買い物(7):夏の旅行計画> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第306回
<第2部:第7章 隣町への買い物(7):夏の旅行計画>
帽子屋を出た一行はファミレスに入った。
テーブルは右半分に女子、左半分に男子という陣取りになった。裕美子はその狭間に座ったというか、座ることになったというか、リーダーの隣になった。
正面にはカーラ、その横はアロン。カーラが横というのがちょっと気になったが、裕美子はアロンの顔が見える位置でもあったので嬉しく思った。
アロンの向こうはミシェル。リーダーの向こうは勇夫だ。裕美子の右側の女子はクリスティンで、その正面がハウルである。
結局帽子を買ったのはハウルとカーラ、アロンだけで、買いたいのがあってと言っていたチャンは何も買わなかった。
「何でリーダー、買わなかったんだ?」
ミシェルの問いに口を尖らせて答えた。
「勇夫がぶつくさ言うもんだから・・」
「メキシコの帽子は合うって言ったべ」
リーダーは横の裕美子を見た。
「小泉さんも、そう思ったんですか?」
確かにメキシコ帽は似合ってると思いましたけど・・、被りたかったのはそれじゃなかったでしょ?
「何にしたとしても、そのうち自分に馴染んでくるものですから・・。思い切っちゃえばよかったのに」
「そ、そうかー。やっぱりそうかー」
「ま、これから夏かぶるには、アレはちょいと暑そうだったけどな。さて、ハウル、夏の旅行の話しようぜ」
ミシェルはさっそく、夏に有志で行こうといった海への旅行のことについて話し出した。
「場所はダリ・ビーチでいいよな?何人来るか人数を把握しなきゃ」
「ダリ・ビーチ、真っ白な砂浜できれいなんでしょ?」
「岬に近付くと岩場もあるんだよ」
「面白そう!」
「どこに泊まるの?」
「人数次第だけど、民宿とかかなぁ」
「わは!楽しみ!」
ハウルが半身を乗り出して聞いた。
「ここにいるみんなは行くよね?」
「大丈夫か?君ら。ぜったい羽目外すだろう」
すかさずリーダーが保護者ぶるが、
「バイクで行ってもいいかあ?」
「あ、それいい!」
と勇夫とアロンは構う様子ない。
『あ、アロン君、行くんだ』
そう思ったとたん、カーラが小さく手を挙げた。
「私も」
クリスティンが裕美子の肩に手を回して引き寄せながら言った。
「旅行大好きよ~。ユミちゃんも行くもんねぇ~」
アロンが行くと分かったところで、クリスティンにふんわりした笑顔で見られたら、思わずこくっと頷いてしまった。
「ユミちゃんも行くよ~」
『ど、どうしょう!行くって返事しちゃった!』
「んで、リーダーは?」
横の裕美子を少し驚いた顔で見下ろしていたチャンは、ミシェルの問いかけにビックリして顔を上げた。
向こうでハウルが激しくジェスチャーしている。
「そ、そうだな。う、海、いいもんだ」
リーダーも行く意思表示をした。そして裕美子に語りかけた。
「小泉さん、僕らでしっかり監視しないとですね」
裕美子はゆっくりリーダーを見上げた。
ここにいる人たちに、監視が必要となるような悪さをする人はいないんじゃないかしら。むしろアロン君ともっと近い間柄になれるなら、少しくらい冒険できた方がいいわ。
「いいじゃないですか、少しくらい。成長するためには、いろいろやってみたいときだってありますよ」
またまたリーダーは驚いた顔をした。
「こ、小泉さん、結構アクティブですねえ」
次回「第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(1):放課後ティータイム」へ続く!
前回のお話「第2部:第7章 隣町への買い物(6):帽子屋さん」
対応する第1部のお話「第1部:第10章 リーダー相談する(5):「また、頼むな」「えー?もういいよ」」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2014 TSO All Rights Reserved
裕美子にとって最大の転機となる夏の旅行への参加が決まった瞬間でした。
リーダーにハウルが激しくジェスチャーしてたのは、「裕美子が行くって言ったからあんたも行きなさい!チャンスでしょ!」と伝えてたものです。第1部と合わせて読んでもらえればリーダー側の行動が判るかと思います。
これで隣町への買い物の章終わりです。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
ぽちっと応援してください。
<第2部:第7章 隣町への買い物(7):夏の旅行計画>
帽子屋を出た一行はファミレスに入った。
テーブルは右半分に女子、左半分に男子という陣取りになった。裕美子はその狭間に座ったというか、座ることになったというか、リーダーの隣になった。
正面にはカーラ、その横はアロン。カーラが横というのがちょっと気になったが、裕美子はアロンの顔が見える位置でもあったので嬉しく思った。
アロンの向こうはミシェル。リーダーの向こうは勇夫だ。裕美子の右側の女子はクリスティンで、その正面がハウルである。
結局帽子を買ったのはハウルとカーラ、アロンだけで、買いたいのがあってと言っていたチャンは何も買わなかった。
「何でリーダー、買わなかったんだ?」
ミシェルの問いに口を尖らせて答えた。
「勇夫がぶつくさ言うもんだから・・」
「メキシコの帽子は合うって言ったべ」
リーダーは横の裕美子を見た。
「小泉さんも、そう思ったんですか?」
確かにメキシコ帽は似合ってると思いましたけど・・、被りたかったのはそれじゃなかったでしょ?
「何にしたとしても、そのうち自分に馴染んでくるものですから・・。思い切っちゃえばよかったのに」
「そ、そうかー。やっぱりそうかー」
「ま、これから夏かぶるには、アレはちょいと暑そうだったけどな。さて、ハウル、夏の旅行の話しようぜ」
ミシェルはさっそく、夏に有志で行こうといった海への旅行のことについて話し出した。
「場所はダリ・ビーチでいいよな?何人来るか人数を把握しなきゃ」
「ダリ・ビーチ、真っ白な砂浜できれいなんでしょ?」
「岬に近付くと岩場もあるんだよ」
「面白そう!」
「どこに泊まるの?」
「人数次第だけど、民宿とかかなぁ」
「わは!楽しみ!」
ハウルが半身を乗り出して聞いた。
「ここにいるみんなは行くよね?」
「大丈夫か?君ら。ぜったい羽目外すだろう」
すかさずリーダーが保護者ぶるが、
「バイクで行ってもいいかあ?」
「あ、それいい!」
と勇夫とアロンは構う様子ない。
『あ、アロン君、行くんだ』
そう思ったとたん、カーラが小さく手を挙げた。
「私も」
クリスティンが裕美子の肩に手を回して引き寄せながら言った。
「旅行大好きよ~。ユミちゃんも行くもんねぇ~」
アロンが行くと分かったところで、クリスティンにふんわりした笑顔で見られたら、思わずこくっと頷いてしまった。
「ユミちゃんも行くよ~」
『ど、どうしょう!行くって返事しちゃった!』
「んで、リーダーは?」
横の裕美子を少し驚いた顔で見下ろしていたチャンは、ミシェルの問いかけにビックリして顔を上げた。
向こうでハウルが激しくジェスチャーしている。
「そ、そうだな。う、海、いいもんだ」
リーダーも行く意思表示をした。そして裕美子に語りかけた。
「小泉さん、僕らでしっかり監視しないとですね」
裕美子はゆっくりリーダーを見上げた。
ここにいる人たちに、監視が必要となるような悪さをする人はいないんじゃないかしら。むしろアロン君ともっと近い間柄になれるなら、少しくらい冒険できた方がいいわ。
「いいじゃないですか、少しくらい。成長するためには、いろいろやってみたいときだってありますよ」
またまたリーダーは驚いた顔をした。
「こ、小泉さん、結構アクティブですねえ」
次回「第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(1):放課後ティータイム」へ続く!
前回のお話「第2部:第7章 隣町への買い物(6):帽子屋さん」
対応する第1部のお話「第1部:第10章 リーダー相談する(5):「また、頼むな」「えー?もういいよ」」
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裕美子にとって最大の転機となる夏の旅行への参加が決まった瞬間でした。
リーダーにハウルが激しくジェスチャーしてたのは、「裕美子が行くって言ったからあんたも行きなさい!チャンスでしょ!」と伝えてたものです。第1部と合わせて読んでもらえればリーダー側の行動が判るかと思います。
これで隣町への買い物の章終わりです。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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by TSO (2014-02-09 21:20)