<第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(8):腹ごしらえ> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第314回
<第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(8):腹ごしらえ>
学校が終わると、裕美子は即行で家に帰ってシャワーを浴び、着替えをした。
「えっと、懐中電灯、虫除けスプレー、お守りは・・いらないっと」
「あらぁ、変なもの持って行くのねえ」
「!!。ちょ、ちょっと藪が家のそばにあるそうなんで・・
「ふーん。気を付けてね。男の子にもよろしくね」
「いいいいません!」
こ、これは突っ込まれる前に早いとこ出発しないと・・
『Enter Enter MISSION...』
ちょうど裕美子のケータイが鳴った。靴を履きながら電話に出た。
「も、もしもし・・はい小泉です。あ、ハウルさん。はい、今出るところです。・・ええ、夜もそのまま・・・よろしくお願いします」
かかとを靴にかっ込むと
「それじゃ、行ってきます!」
と逃げるように裕美子は家を出た。
「いってらっしゃ~い」
学校に集まった後、みんなでサンドイッチ屋「HighWay」に行ったドタバタエピソードは、次の第1部のお話しをそのままご覧ください。
<第1部:第11章 7月のホタル鑑賞(3):リーダーがいます>
<第1部:第11章 7月のホタル鑑賞(4):脈あるのかしら>
夕焼けをバックに農道の曲がり角に現れたキラリキラリと光る6つの自転車のライト。その後ろから自転車のライトをかき消す強力なバイクのライトが現れた。それはアロンを筆頭に、ホタルが飛ぶという現場に向かっている秘密のホタル見学ツアーの一行だった。
トラクターが残していった土の塊を避けたり、あるいはわざと乗り上げたり、男の子達は単純に真っ直ぐ進むだけのようなことはしなかったが、後ろからついて来る女の子達がペースを落とすような必要はなかった。
そして道路脇に東屋が現れたところで、先頭を行くアロンが止まった。そこは農作業の休憩などに使われているものだ。
「もう、すぐそこだよ。ここ椅子とかあるから、ここでサンドイッチ食おう」
「は~い」
自転車が乱雑に停められ、一番端にバイクが停まった。荷物運び役としてレソフィックだけバイクで来たのだ。
ハウルが真っ先にレソフィックのところに駆け寄った。レソフィックが背負っていたディーパックからは、ニョキニョキと何本も長いパンが飛び出ていた。
「シーフードクラブのハーフと、ミートボールサンドのハーフちょうだい」
「待て待て。東屋のテーブルの所に広げるから。お前、ハーフ2つも食うの?」
「勇夫はフットロング2本でしょ?悔しいけど、ちょっとそこまでは食べる自信ないわ」
「あいつの胃袋は尋常じゃないから。それにしたってハーフ2つってことはフットロング1本分だろ。他の女子はクォーター1つだから、おまえその4倍も食うんだぞ」
「それが何か?あなたお金払ってるわけじゃなし、4倍食べようが10倍食べようが迷惑掛けてないんだからいいでしょうが」
「・・それ全部おまえの活動の源になるんだろ。それ減らしたら随分世の中の迷惑減るんじゃ・・・いや!オレ何も言ってないぞ!なんで恐い顔オレ向けてんだ?睨むのやめろ!」
「レソフィックのハーフどれ?没収!」
「ハーフ3つ食うの?!ヤメロー!!」
ホタルが飛ぶという現場近くの東屋で、みんなはサンドイッチ屋「HighWay」で買ったサンドイッチをかぶりついていた。男の子達はフットロングという大人の膝下くらいもある大きさのをアロンとレソフィックは1.5本、勇夫に至っては2本も頼んでいた。女の子達はフットロングの4分の1のクォーターである。ハウルだけはハーフを2つ、つまりフットロング1本分を頼んでいたが、レソフィックから取り上げたハーフが1つハウルの膝の上に乗っていた。
「野菜はこの辺で採れたものなんだよね?」
「ここ来る途中も畑たくさんあったよね。わあ、トマトとかキュウリおいしいわあ」
「みんな夏の野菜ですね。旬のものですから。ピーマンもおいしいですよ」
「えー?ピーマンはあんまり・・」
「カーラ、ピーマンダメなの?うふふ、まだ子供ね~」
「い、いいでしょ!・・ハウルは好き嫌いなさそうねぇ」
「選り好みしてる暇があったらさっさと口入れないと食べるものなくなっちゃうのよねぇ。ハウルのうちはみんな食いしん坊だから」
「ひ、ひどい言われようだわ。クリスティン、もうちょっと言い様ないの?」
「じゃぁ、その膝の上のパンはなぁに?」
「べ、別に食べ足りないから取り上げた訳じゃないのよ。だってレソフィックが・・・」
次回「第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(9):ホタル乱舞」へ続く!
前回のお話「第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(7):お泊りの約束」
対応する第1部のお話「第1部:第11章 7月のホタル鑑賞(5):あなたも私を探して」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
Copyright(c) 2009-2014 TSO All Rights Reserved
えー、前にもありましたが、裕美子ちゃんのケータイの着信はガルパンのエンディング曲になってます。
それにしてもハウルちゃんはハーフのサンドイッチ3つ食べたんでしょうか。食べたんだろうなぁ。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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<第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(8):腹ごしらえ>
学校が終わると、裕美子は即行で家に帰ってシャワーを浴び、着替えをした。
「えっと、懐中電灯、虫除けスプレー、お守りは・・いらないっと」
「あらぁ、変なもの持って行くのねえ」
「!!。ちょ、ちょっと藪が家のそばにあるそうなんで・・
「ふーん。気を付けてね。男の子にもよろしくね」
「いいいいません!」
こ、これは突っ込まれる前に早いとこ出発しないと・・
『Enter Enter MISSION...』
ちょうど裕美子のケータイが鳴った。靴を履きながら電話に出た。
「も、もしもし・・はい小泉です。あ、ハウルさん。はい、今出るところです。・・ええ、夜もそのまま・・・よろしくお願いします」
かかとを靴にかっ込むと
「それじゃ、行ってきます!」
と逃げるように裕美子は家を出た。
「いってらっしゃ~い」
学校に集まった後、みんなでサンドイッチ屋「HighWay」に行ったドタバタエピソードは、次の第1部のお話しをそのままご覧ください。
<第1部:第11章 7月のホタル鑑賞(3):リーダーがいます>
<第1部:第11章 7月のホタル鑑賞(4):脈あるのかしら>
夕焼けをバックに農道の曲がり角に現れたキラリキラリと光る6つの自転車のライト。その後ろから自転車のライトをかき消す強力なバイクのライトが現れた。それはアロンを筆頭に、ホタルが飛ぶという現場に向かっている秘密のホタル見学ツアーの一行だった。
トラクターが残していった土の塊を避けたり、あるいはわざと乗り上げたり、男の子達は単純に真っ直ぐ進むだけのようなことはしなかったが、後ろからついて来る女の子達がペースを落とすような必要はなかった。
そして道路脇に東屋が現れたところで、先頭を行くアロンが止まった。そこは農作業の休憩などに使われているものだ。
「もう、すぐそこだよ。ここ椅子とかあるから、ここでサンドイッチ食おう」
「は~い」
自転車が乱雑に停められ、一番端にバイクが停まった。荷物運び役としてレソフィックだけバイクで来たのだ。
ハウルが真っ先にレソフィックのところに駆け寄った。レソフィックが背負っていたディーパックからは、ニョキニョキと何本も長いパンが飛び出ていた。
「シーフードクラブのハーフと、ミートボールサンドのハーフちょうだい」
「待て待て。東屋のテーブルの所に広げるから。お前、ハーフ2つも食うの?」
「勇夫はフットロング2本でしょ?悔しいけど、ちょっとそこまでは食べる自信ないわ」
「あいつの胃袋は尋常じゃないから。それにしたってハーフ2つってことはフットロング1本分だろ。他の女子はクォーター1つだから、おまえその4倍も食うんだぞ」
「それが何か?あなたお金払ってるわけじゃなし、4倍食べようが10倍食べようが迷惑掛けてないんだからいいでしょうが」
「・・それ全部おまえの活動の源になるんだろ。それ減らしたら随分世の中の迷惑減るんじゃ・・・いや!オレ何も言ってないぞ!なんで恐い顔オレ向けてんだ?睨むのやめろ!」
「レソフィックのハーフどれ?没収!」
「ハーフ3つ食うの?!ヤメロー!!」
ホタルが飛ぶという現場近くの東屋で、みんなはサンドイッチ屋「HighWay」で買ったサンドイッチをかぶりついていた。男の子達はフットロングという大人の膝下くらいもある大きさのをアロンとレソフィックは1.5本、勇夫に至っては2本も頼んでいた。女の子達はフットロングの4分の1のクォーターである。ハウルだけはハーフを2つ、つまりフットロング1本分を頼んでいたが、レソフィックから取り上げたハーフが1つハウルの膝の上に乗っていた。
「野菜はこの辺で採れたものなんだよね?」
「ここ来る途中も畑たくさんあったよね。わあ、トマトとかキュウリおいしいわあ」
「みんな夏の野菜ですね。旬のものですから。ピーマンもおいしいですよ」
「えー?ピーマンはあんまり・・」
「カーラ、ピーマンダメなの?うふふ、まだ子供ね~」
「い、いいでしょ!・・ハウルは好き嫌いなさそうねぇ」
「選り好みしてる暇があったらさっさと口入れないと食べるものなくなっちゃうのよねぇ。ハウルのうちはみんな食いしん坊だから」
「ひ、ひどい言われようだわ。クリスティン、もうちょっと言い様ないの?」
「じゃぁ、その膝の上のパンはなぁに?」
「べ、別に食べ足りないから取り上げた訳じゃないのよ。だってレソフィックが・・・」
次回「第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(9):ホタル乱舞」へ続く!
前回のお話「第2部:第8章 7月のホタル鑑賞(7):お泊りの約束」
対応する第1部のお話「第1部:第11章 7月のホタル鑑賞(5):あなたも私を探して」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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えー、前にもありましたが、裕美子ちゃんのケータイの着信はガルパンのエンディング曲になってます。
それにしてもハウルちゃんはハーフのサンドイッチ3つ食べたんでしょうか。食べたんだろうなぁ。
※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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