<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(7):明日の作戦> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第355回
<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(7):明日の作戦>
夏休み最後の日。ハウルたちはポタ山の運動公園に集まっていた。
「カーラ、また日焼けした?」
「こないだお父さんの釣りに付き合って、1日、そしたら、ははは・・」
「あだ名ソバカスちゃんになっちゃうよ?日焼け止め持ってきた?」
「あるある」
カーラ、ポーチから日焼け止めを取り出した。ハウルがそれを手に取って、まさかサンオイルじゃないよねと中身を確認した。
「ちゃんと塗っときなよ。さてそれで、明日はあの野郎共に夏休み後半相手しなかったことどう償うつもりか問い詰めるからね」
「今日は帰ってきてるんでしょう?呼んでみないの?今日だけでも遊んでもらえばぁ?勇夫君、お土産持って帰ってるかもよぉ?」
クリスティンがにこにこと言う。
「今日はやめた方がいいと思うよ」
「どうしてぇ?カーラもアロン君とお話したいよねぇ」
「あ、あ、あたし別に・・」
「じゃあちょっと掛けてみようか?」
ハウルはケータイを取り出すと、アドレス帳から”しもべ”というのを選んで電話をかけた。
「ハロー、勇夫君。今は家?おかえりー」
・・(ハウルか!ちょうどよかった、今から会えるか?!)・・
「内容によりますけどー」
・・(夏休みの宿題終わってねえんだ!ちょっと写さ・・)・・
「自業自得だ!一人でやってろ! ブツッ!!」
みなまで言わせる前に電話を切った。
「ほれ見なさい。今日は関わんないほうがいいわよ。どうせアロンとレソフィックも手伝わされてるんでしょうし」
苦笑いのみんなである。
「裕美子はどうだった?リーダーとは何かあった?」
「え?リ、リーダーですか?せ、生徒会の行事で会ってますけど・・」
「夏休みも生徒会あるのねぇ」
「兄弟校の生徒会同士の交流会です。海浜公園まで行ってバーベキューとかしました」
「リーダー、ちゃんとエスコートしてくれた?」
「ええ。勇夫君たちとバーベキューやった後だったからいろいろ勝手が分かってて、そこでもリーダーはリーダーシップを発揮してましたよ。寝込んでたけど、ちゃんと見るものは見てたんですね。さすがでした。でも、お肉は勇夫君たちが準備した物の方がぜんぜん美味しかったですよ」
「ほら、やっぱリーダー偉いわ。裕美子にいいところも見せて。それに比べ勇夫達はどうよ。褒められたのはあの連中が調理したお肉の方じゃないの」
「でもユミちゃんが褒めるくらいだから、あのバーベキュー一生懸命準備してくれてたのねぇー」
「ふーん。一応私らと遊ぶときは手を抜いてはいないってことね。感心感心。そこは認めてあげよう。・・そっか、裕美子はリーダーと二人になれたのか」
「二人だけではなく、生徒会の人達みんなとですけど・・・」
「それじゃあグループじゃなくてー、いっぺんペアの人と遊んでみる~?」
「ふ、二人きりで?!」
カーラががばっと上半身を上げた。
「ハウルはユミちゃんが羨ましかったみたいだしぃ~」
「な、な、何を言ってるのクリスティン!」
「グループ交際っていってもひとまずペアの人決まってるんだし~、ハウルの相手できる人はどうせ勇夫君しかいないんだし。っていうより、夏休みのことは個人的に勇夫君に文句言いだけだったしぃー」
「うっ。ちょ、ちょっと食べ歩きに付き合ってもらおうと思っただけよ!。しもべなんだから付いて来るの当然でしょ?そ、それがぜんぜん来れないってんだからあいつ・・・ちょと会って文句も言いたいと思うわけよ。それで・・」
「はいはい、わかってるわよ~。私もレソフィック君と遊びたいしねー」
「えっ!!」
レソフィックにいい思いを抱いてない裕美子はクリスティンを仰天した目で見上げた。
「ク、クリスティンさん、レソフィック君のこと・・す、す・・」
「どんな人なのか、よーくいじってみないとねぇー」
うふふふふと意味ありげに笑うクリスティンに、裕美子とカーラは、この人もハウル並みに特殊な相手が必要な人だと思った。これはレソフィックの身が危ないかもしれない。
そこでハウルがまとめた。
「じゃあ、次の週末は各自ペアの人と予定決めて遊ぶように」
「え、えーっ?」
カーラが飛び上がった。
そんなカーラを裕美子も見た。カーラのペア相手はアロンだ。
『今度の週末、カーラさんはアロン君と二人っきりになっちゃうの?』
「グ、グループ交際でしょ?グループのみんなと交流深めるんじゃ・・」
「まだそんなこと言ってるの?カーラ。気に食わなかったらその時他のペア考えてあげるわよ」
「ここから本当に愛が芽生えたらうれしいよねぇ~」
カーラが真っ赤になった。
「も、もうちょっとみんなで遊ばない?」
「なぁに、カーラも食べ歩きに参加したいの?」
「私はレソフィック君と二人になりたいわぁ。いじり倒すにはレソフィック君を他の人から切り離して援護が受けられないようにしないとねぇ」
「ク、クリスティン、あなたいったい何する気なの?」
『カーラさん、アロン君と二人になるの嫌・・なわけないですよね。なんでそんなに躊躇うのかしら。・・・アロン君のこと、どう思ってるんだろう』
「じゃあ方針が決まったところで、バトミントンの続きやろー」
ハウルがラケットを持って立ち上がった。
「はぁい、今トップはハウルよ~。次がユミちゃん。僅差でカーラ。私は1回も勝ててないわあ」
「むふふふ。裕美子は反射神経すごいけど、戦術がねー」
「・・わたし、ハウルさんがそんなに腹黒い人とは思いませんでした」
「あはは、ユミちゃんは素直すぎなんだって」
「何言ってんの、これが実力ってもんよ。はい、裕美子そっちのコートね」
「いいでしょう、今度は少しは抵抗してみせます」
「ユミちゃん、もうはめられてるよ。ハウル、太陽を背にしてるわよ」
次回「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(8):各ペアの予定」へ続く!
前回のお話「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(6):会長のペアチケット」
対応する第1部のお話「第1部:第16章 改めてカップルで(1):遊んでくれなかったなー?」
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※片いなか・ハイスクール第2部は、第1部のエピソードを裏話なども交えながら本編のヒロイン裕美子の視点で振り返るものです。ぜひアロン目線の第1部のその部分と読み比べてみてください。「対応する第1部のお話」で飛ぶことができます。
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<第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(7):明日の作戦>
夏休み最後の日。ハウルたちはポタ山の運動公園に集まっていた。
「カーラ、また日焼けした?」
「こないだお父さんの釣りに付き合って、1日、そしたら、ははは・・」
「あだ名ソバカスちゃんになっちゃうよ?日焼け止め持ってきた?」
「あるある」
カーラ、ポーチから日焼け止めを取り出した。ハウルがそれを手に取って、まさかサンオイルじゃないよねと中身を確認した。
「ちゃんと塗っときなよ。さてそれで、明日はあの野郎共に夏休み後半相手しなかったことどう償うつもりか問い詰めるからね」
「今日は帰ってきてるんでしょう?呼んでみないの?今日だけでも遊んでもらえばぁ?勇夫君、お土産持って帰ってるかもよぉ?」
クリスティンがにこにこと言う。
「今日はやめた方がいいと思うよ」
「どうしてぇ?カーラもアロン君とお話したいよねぇ」
「あ、あ、あたし別に・・」
「じゃあちょっと掛けてみようか?」
ハウルはケータイを取り出すと、アドレス帳から”しもべ”というのを選んで電話をかけた。
「ハロー、勇夫君。今は家?おかえりー」
・・(ハウルか!ちょうどよかった、今から会えるか?!)・・
「内容によりますけどー」
・・(夏休みの宿題終わってねえんだ!ちょっと写さ・・)・・
「自業自得だ!一人でやってろ! ブツッ!!」
みなまで言わせる前に電話を切った。
「ほれ見なさい。今日は関わんないほうがいいわよ。どうせアロンとレソフィックも手伝わされてるんでしょうし」
苦笑いのみんなである。
「裕美子はどうだった?リーダーとは何かあった?」
「え?リ、リーダーですか?せ、生徒会の行事で会ってますけど・・」
「夏休みも生徒会あるのねぇ」
「兄弟校の生徒会同士の交流会です。海浜公園まで行ってバーベキューとかしました」
「リーダー、ちゃんとエスコートしてくれた?」
「ええ。勇夫君たちとバーベキューやった後だったからいろいろ勝手が分かってて、そこでもリーダーはリーダーシップを発揮してましたよ。寝込んでたけど、ちゃんと見るものは見てたんですね。さすがでした。でも、お肉は勇夫君たちが準備した物の方がぜんぜん美味しかったですよ」
「ほら、やっぱリーダー偉いわ。裕美子にいいところも見せて。それに比べ勇夫達はどうよ。褒められたのはあの連中が調理したお肉の方じゃないの」
「でもユミちゃんが褒めるくらいだから、あのバーベキュー一生懸命準備してくれてたのねぇー」
「ふーん。一応私らと遊ぶときは手を抜いてはいないってことね。感心感心。そこは認めてあげよう。・・そっか、裕美子はリーダーと二人になれたのか」
「二人だけではなく、生徒会の人達みんなとですけど・・・」
「それじゃあグループじゃなくてー、いっぺんペアの人と遊んでみる~?」
「ふ、二人きりで?!」
カーラががばっと上半身を上げた。
「ハウルはユミちゃんが羨ましかったみたいだしぃ~」
「な、な、何を言ってるのクリスティン!」
「グループ交際っていってもひとまずペアの人決まってるんだし~、ハウルの相手できる人はどうせ勇夫君しかいないんだし。っていうより、夏休みのことは個人的に勇夫君に文句言いだけだったしぃー」
「うっ。ちょ、ちょっと食べ歩きに付き合ってもらおうと思っただけよ!。しもべなんだから付いて来るの当然でしょ?そ、それがぜんぜん来れないってんだからあいつ・・・ちょと会って文句も言いたいと思うわけよ。それで・・」
「はいはい、わかってるわよ~。私もレソフィック君と遊びたいしねー」
「えっ!!」
レソフィックにいい思いを抱いてない裕美子はクリスティンを仰天した目で見上げた。
「ク、クリスティンさん、レソフィック君のこと・・す、す・・」
「どんな人なのか、よーくいじってみないとねぇー」
うふふふふと意味ありげに笑うクリスティンに、裕美子とカーラは、この人もハウル並みに特殊な相手が必要な人だと思った。これはレソフィックの身が危ないかもしれない。
そこでハウルがまとめた。
「じゃあ、次の週末は各自ペアの人と予定決めて遊ぶように」
「え、えーっ?」
カーラが飛び上がった。
そんなカーラを裕美子も見た。カーラのペア相手はアロンだ。
『今度の週末、カーラさんはアロン君と二人っきりになっちゃうの?』
「グ、グループ交際でしょ?グループのみんなと交流深めるんじゃ・・」
「まだそんなこと言ってるの?カーラ。気に食わなかったらその時他のペア考えてあげるわよ」
「ここから本当に愛が芽生えたらうれしいよねぇ~」
カーラが真っ赤になった。
「も、もうちょっとみんなで遊ばない?」
「なぁに、カーラも食べ歩きに参加したいの?」
「私はレソフィック君と二人になりたいわぁ。いじり倒すにはレソフィック君を他の人から切り離して援護が受けられないようにしないとねぇ」
「ク、クリスティン、あなたいったい何する気なの?」
『カーラさん、アロン君と二人になるの嫌・・なわけないですよね。なんでそんなに躊躇うのかしら。・・・アロン君のこと、どう思ってるんだろう』
「じゃあ方針が決まったところで、バトミントンの続きやろー」
ハウルがラケットを持って立ち上がった。
「はぁい、今トップはハウルよ~。次がユミちゃん。僅差でカーラ。私は1回も勝ててないわあ」
「むふふふ。裕美子は反射神経すごいけど、戦術がねー」
「・・わたし、ハウルさんがそんなに腹黒い人とは思いませんでした」
「あはは、ユミちゃんは素直すぎなんだって」
「何言ってんの、これが実力ってもんよ。はい、裕美子そっちのコートね」
「いいでしょう、今度は少しは抵抗してみせます」
「ユミちゃん、もうはめられてるよ。ハウル、太陽を背にしてるわよ」
次回「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(8):各ペアの予定」へ続く!
前回のお話「第2部:第12章 女の子たちのグループ交際反省会(6):会長のペアチケット」
対応する第1部のお話「第1部:第16章 改めてカップルで(1):遊んでくれなかったなー?」
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☆☆ 災害時 安否確認 ☆☆
見ました。
by U3 (2015-12-04 23:22)
U3さん、コメントありがとうございます。
小説の主人公のように強い正義感と愛情を持って長くサイト運営していけることを、同じ小説仲間として強く祈っています。
by TSO (2015-12-09 00:12)