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<オリエンテーリング (14)> [片いなか・ハイスクール]

「片いなか・ハイスクール」連載第14回
<オリエンテーリング (14)>

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B班。
みんなはオレンジの炎が木の間から見えて大喜びしていた。

「もうちょっとよ!あそこにみんながいるわ!」
重いウォルトをジョンが抱え、イザベルをアロンが抱え、クリスティンをアンザックが抱え、ダーニャをシャルロットが抱え、カーラが先導する。アロンはその焚火の炎になんとなく異常を感じた。焚火が横に広がっている。
「な、なんか変じゃないか?、あの焚火」
しかし抱えられているイザベルは、そんなものを見るゆとりなどなかった。

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A班焚火地点。
駆け付けたレソフィックが吠えていた。

「ばっかか、勇夫!なんだ、このすごい量の杉の枯れ葉は!山火事にする気か!」
「緊急アピール用に集めといたんだ」
「これじゃ水足りねえよ!パウロ、薪を分散させろ!広げて踏み消すんだ!」
「あちちちち!」

レソフィックは持ってきた毛布を水で濡らして、小さく分散させた火にかぶせて窒息消火を始めた。

ドジ担任やリーダーも駆け付けた。
「うわー!C組の栄光を、事件起こしてふっとばさないでくれえ!」
「こんな盛大な火だったのか?!水たらないぞ!」リーダーもびっくりする。
レソフィックが叫ぶ。「リーダー!燃え広がらない程度に散らすんだ。それで個別に踏み消せ!」
「な、なるほど、わかった!おいキャリー、その辺の木の枝使って掻き出して散らばして!」

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B班。
先頭のカーラが気付いた。
「変だわ。近づいているはずなのに、焚火の炎が小さくなってく」
イザベルを抱えるアロンもそれを見ていった。
「何かやらかしたな」

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しばらくすると、周りにちらちらとオキ火が散乱する現場にB班が到着した。鎮火は成功したようである。
A班のほとんどがそこにいた。
「がんばれー!」
「あと300mよ!もう少し!」
ドジ担任が注意する。
「手、貸しちゃだめだぞ!ゴールするまで、応援だけだぞ!」
B班はみんな誰かしら担ぎながらで満身創痍である。手を貸すなというのはつらい。でも、手を貸したら完走にならないのだ。

勇夫が松明を持って応援していた。
「アロン、もうちょっとだぞ!」
アロンは懐中電灯で勇夫の顔を照らす。その顔はすすけて黒かった。
「何か・・・やったろ」
「うひ!」

A班はB班を取り囲みながら、声援を投げかけつつ一緒にゴールへ歩んだ。
「あと100m!」
「イザベル!がんばって!」
「クリスティン、もう少しの我慢!」
「ウォルト!歩けなかったら転がれ!」

いよいよゴールラインだ。
ゴール担当の先生たちが拍手している。

先頭のカーラがゴールラインに立った。そして振り返る。
その横にウォルトとジョンがゴールラインに立った。振り返って両手を広げた。
ダーニャとシャルロットがゴールライン前に座り込んだ。その横にアロンはイザベルを降ろした。
クリスティンとアンザックがジョン達の両手の中に入る。

「行くぞゴールへ!」
B班は顔を見合わせた。シャルロットが
「はやくー!」
と叫ぶ。
A班が一斉に掛け声をかけた。

「せーの!」

どどどっ。

B班はゴールラインに倒れこんで越えると、A班が「わああ!」と言ってその上に覆い被さるように抱きついてきた。B班の女の子は泣いている。

A班リーダーが雄たけびをあげた。
「うわおー!C組全員完走だー!」
わあーーー!
漆黒の空にみんなに歓声がこだました。


次回「入学式(1)」へ続く!

前回のお話「オリエンテーリング (13)」
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コメント 1

TSO

第1章、オリエンテーリングの巻が終わりました!
連載14回になろうとは・・こんな長編になるとは・・

どこがラブコメだったんだ?

第1章完了を記念して、「RightWorld」をいっときメインブログに昇格します。パチパチ。

明日から第2章でやんす。
by TSO (2010-01-27 00:54) 

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