<球技大会(3):裕美子負傷!> [片いなか・ハイスクール]
「片いなか・ハイスクール」連載第149回
<球技大会(3):裕美子負傷!>
本番さながら、いや、本番以上に盛り上がる体育館。
体育館の外にいてもわかるほど、その大喝采は響いていた。
C組とB組の女子によるバレーの練習試合は、双方の男子クラスメイトが応援する中、白熱した試合を繰り広げていた。何しろB組はバリバリのバレー部員が2人出ているにもかかわらず、C組女子は一歩も引けを取ってなかったのだ。
しかしC組はメンバーが悪かった。後半から出場した体力なし女のイザベルはほとんど試合に貢献していなかったが、デッドヒートで長引く試合にここへ来て体力が尽きてしまった。
足がもつれてよろけたところにバレー部の強烈なサーブがイザベルの頭に命中した。
はね返った球は高々と打ちあがり、それを目で追う見学中の男子の頭もいっせい上を向いた。
「こりゃ、シャノンの天井サーブ並みに上がったぞ!」
サーブを拾いにに来た裕美子は、海老反ったイザベルがバックドロップ状態で落ちてくるのを見て、イザベルの下に飛び込んでいった。
妙にくぐもった音を立てて2人はこんがらがると、一塊になってコートの中央に倒れ込んだ。
「うわ、やった!」
「ちょっと、大丈夫か、あれ!」
男子が助けに駆け付ける。
真っ先に着いたのはリーダーとアロン。
チャンが「小泉さん、大丈夫ですか!」と上にいたイザベルをはがそうとする。一緒にイザベルを持ち上げようとしたアロンだが、仰向けに潰れている裕美子の顔をみて叫んだ。
「小泉、やべえ顔から血が出てる!」
「ええ?!」
リーダーは引き起こしていたイザベルを放って裕美子の方へ行った。見捨てられたイザベルを、次に着いたミシェルとウォルトがダッシュして支えに行きながら叫ぶ。
「わあ!リーダー、イザベルを放り捨てるなー!」
保健委員のクリスティンはその周りでおろおろしている。
アロンは裕美子の汗でやや湿った髪をかきあげると顔を覗きこんでけがを確かめた。体操着で血をぬぐおうとしたが、汚れを気にしてその手を止めると、チャンに向って顔を上げて言った。
「リーダー、タオルとかのきれいなのある?メガネが割れて破片でどこか切ったんだ」
「よ、よし、待ってろ。クリスティン!消毒薬たのむ!」
「は、はい!」
チャンとクリスティンはすっ飛んでいった。
「目は大丈夫。目の下・・ほっぺたの上の方みたいだ。大丈夫か小泉」
裕美子はちょっと頭を抱えて顔を腕でぬぐうと、腕に着いた血を見た。
「あ、傷口汚すからよせ。チャンがきれいなタオル持ってくるから」
「右の頬がひりひりする・・」
「メガネの破片で切ったみたいだ。医務室行こう」
その向こうでウォルトが声を上げた。
「おーい、元彼ぇ。イザベル起きねえよ、気失ってる」
「そっちも医務室だ。かついでってくれ」
次回「球技大会(4):ご指名」へ続く!
前回のお話「球技大会(2):対決!バレー部員」
☆☆ 「片いなか・ハイスクール」目次 ☆☆
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<球技大会(3):裕美子負傷!>
本番さながら、いや、本番以上に盛り上がる体育館。
体育館の外にいてもわかるほど、その大喝采は響いていた。
C組とB組の女子によるバレーの練習試合は、双方の男子クラスメイトが応援する中、白熱した試合を繰り広げていた。何しろB組はバリバリのバレー部員が2人出ているにもかかわらず、C組女子は一歩も引けを取ってなかったのだ。
しかしC組はメンバーが悪かった。後半から出場した体力なし女のイザベルはほとんど試合に貢献していなかったが、デッドヒートで長引く試合にここへ来て体力が尽きてしまった。
足がもつれてよろけたところにバレー部の強烈なサーブがイザベルの頭に命中した。
はね返った球は高々と打ちあがり、それを目で追う見学中の男子の頭もいっせい上を向いた。
「こりゃ、シャノンの天井サーブ並みに上がったぞ!」
サーブを拾いにに来た裕美子は、海老反ったイザベルがバックドロップ状態で落ちてくるのを見て、イザベルの下に飛び込んでいった。
妙にくぐもった音を立てて2人はこんがらがると、一塊になってコートの中央に倒れ込んだ。
「うわ、やった!」
「ちょっと、大丈夫か、あれ!」
男子が助けに駆け付ける。
真っ先に着いたのはリーダーとアロン。
チャンが「小泉さん、大丈夫ですか!」と上にいたイザベルをはがそうとする。一緒にイザベルを持ち上げようとしたアロンだが、仰向けに潰れている裕美子の顔をみて叫んだ。
「小泉、やべえ顔から血が出てる!」
「ええ?!」
リーダーは引き起こしていたイザベルを放って裕美子の方へ行った。見捨てられたイザベルを、次に着いたミシェルとウォルトがダッシュして支えに行きながら叫ぶ。
「わあ!リーダー、イザベルを放り捨てるなー!」
保健委員のクリスティンはその周りでおろおろしている。
アロンは裕美子の汗でやや湿った髪をかきあげると顔を覗きこんでけがを確かめた。体操着で血をぬぐおうとしたが、汚れを気にしてその手を止めると、チャンに向って顔を上げて言った。
「リーダー、タオルとかのきれいなのある?メガネが割れて破片でどこか切ったんだ」
「よ、よし、待ってろ。クリスティン!消毒薬たのむ!」
「は、はい!」
チャンとクリスティンはすっ飛んでいった。
「目は大丈夫。目の下・・ほっぺたの上の方みたいだ。大丈夫か小泉」
裕美子はちょっと頭を抱えて顔を腕でぬぐうと、腕に着いた血を見た。
「あ、傷口汚すからよせ。チャンがきれいなタオル持ってくるから」
「右の頬がひりひりする・・」
「メガネの破片で切ったみたいだ。医務室行こう」
その向こうでウォルトが声を上げた。
「おーい、元彼ぇ。イザベル起きねえよ、気失ってる」
「そっちも医務室だ。かついでってくれ」
次回「球技大会(4):ご指名」へ続く!
前回のお話「球技大会(2):対決!バレー部員」
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bitさん、xml_xslさん、kuzeさん、takemoviesさん、HAtAさん、釣られクマさん、(。・_・。)2kさん、秋水司さん、ポコちゃん♪さん、niceありがとうございます。
ポコちゃん♪さん、はじめまして~。
これからもよろしくお願いします。
by TSO (2010-11-23 13:42)
K-STILEさん、niceありがとうございます。
ビブラム 5本指シューズさん、mbtさん、コメントいただいてますが、本サイトコンテンツの内容とは無関係のようなので申し訳ありませんが削除させていただきます。
by TSO (2010-12-01 23:08)